ロシアでもっとも美しい場所100選

観光・自然
エカテリーナ・シネリシチコワ
 世界最大の国が、どれだけ美しく対照的かをしっかりと証明しよう。

1.血の上の救世主教会、サンクトペテルブルク

 外観も素晴らしいが、教会の内部はさらに強い印象を与える。教会内の壁は、7㎢のモザイク画で覆われている。この教会は1881年にアレクサンドル2世が暗殺された場所に建立された。

2.キジー島、カレリア半島

 カレリアのキジー島は、モスクワの北方764㎞のところにあり、ロシア最古の木造寺院群が保存されている。例えば、ラザロ復活教会は、14世紀末のものと推定されている。

3.ベルマムィト台地、カラチャイ・チェルケス共和国

 ベルマムィト山の高さは海抜2592m。ここは、「ロシアのトロルトゥンガ」だ。加えて、エルブルス山が最高によく見える。

4.アイ・ペトリ吊り橋、クリミア

 アイ・ペトリは、クリミアでもっとも有名な山のひとつで、1234mの高さに架かる吊り橋は――クリミア半島でもっとも恐ろしく魅惑的な場所のひとつだ。

5.ニコラ・レニヴェツ、カルーガ州

 モスクワから218㎞のところにあるこの村は、現代アートの野外展示場となっている。すべて、この場所のために芸術家たちが特別に制作したアートオブジェクトだ。ここは980㎢の敷地と草地、川がある。

6.ツバメの巣城、クリミア

 ヤルタの岬の高さ40mの切り立った断崖にある「ツバメの巣」は、中世の古城に似ているが、実のところ、この城がこの地に登場したのは20世紀初頭のこと。ドイツの石油王バロン・フォン・シュタインゲルが建てた。

7.シンガー社の建物、サンクトペテルブルク

 この崇拝される建物がお目見えしたのは20世紀初頭のこと。それ以来、ネフスキー大通りの重要なシンボルとなっている。

8. 風に削られた巨石群(マンププニョル)、コミ共和国

 数千年もの間に風に削られた巨大な7つの石柱(これらは異常地帯にあると考えられている)。タイガの奥深くにあり、ヘリコプターでしか行けない。あるいは、何日もかかるつもりで出発するかだ。

9.ダイヤモンド鉱山「ミール」、サハ共和国

 かつてのダイヤ採掘鉱はかなり大きいため、ヘリコプターはこの上を避けて飛ぶ(気流に吸い込まれてしまわないようにだ)。これは、人工的に掘られた穴としては世界第2位の大きさで、深さ525m、直径1200mだ。

10.ドミニオン・タワー、モスクワ

 モスクワにあるザハ・ハディド・アーキテクツの設計のひとつ(彼女が設計したものとしてはロシア初だ)。工業地帯の真ん中に立つ目の眩むような真っ白い未来派風のビルは――ビジネスセンターだ。だが、重要なことは内部に隠されている。

11.ペテルゴフ、サンクトペテルブルク

 サンクトペテルブルクから47kmのところにある、ロシア皇帝らの夏の住まい。フィンランド湾岸にある黄金の噴水、四阿(あずまや)や果てしなく続く庭園は、一年中観光客向けにオープンしている

12.チャラ砂漠、ザバイカル地方

 おそらく、世界でもっとも不思議な(そして美しい)砂漠だ。なぜなら、シベリアの砂漠は、いくつもの川や湖や氷室に囲まれているからだ。でもこれは本物の砂漠。これについてもっと詳しく知りたいならコチラを。

13.エルミタージュ美術館、サンクトペテルブルク

 世界最大のコレクションを誇る美術館は、美術館じたいが主要な展示品のひとつだ。博物館の本館である冬宮は、ロシア皇帝たちのかつての邸宅だった。

14.イチイとツゲの森、ソチ郊外

 ソチから20kmのところにある古代のままの森は、ほとんど手つかずのまま(約3千年前)の植物相が残っている。

15.レナ川の柱群、サハ共和国

 高さ100mにもなる壮大な石柱が、サハ共和国(ヤクーチヤ)のレナ川沿いに並んでいる。ユネスコの世界遺産リストにも登録されている。

16.カリャジンの水没した鐘楼

 トヴェリ州(モスクワの北200km)のヴォルガ川沿岸にある「ロシアのアトランティス」。古い時代には、ロシアの皇帝たちも訪れていたカリャジン修道院の一部だった。その後、この地域は水没してしまった。残った唯一のものが――灯台として用いられていた鐘楼だ。 

17.ゼムリャフランツァヨシファ(フランツ・ヨーゼフ諸島)、アルハンゲリスク州

 ここには町や村はない。このロシアの北極地方に行く唯一の方法は――グループで水上を行くことだ。費用は数千ドルかかる。 

18.聖ワシーリー大聖堂

 ロシアの首都の絵葉書になっている重要な景勝であり、もっとも有名な教会だ。実際は、9つの聖堂が集まって1つの大聖堂を成している。いちばん流布している説によれば、この聖堂の設計者たちは失明させられたという。

19.イヴォルギンスキー・ダツァン、ウラン・ウデ

 ブリヤート共和国(シベリア)の、バイカル湖から100kmのところにある寺院。ロシアの僧侶たちが暮らすおもな場所。さらにここには、死後も腐敗しなかったラマの遺体が安置されており、彼は生者とみなされている

20.「チェチェンの心」モスク、グローズヌイ

 チェチェン共和国の初代大統領に敬意を表して建てられた、アフマド・カディロフという名のモスクで、ヨーロッパ最大のモスクのひとつ。ミナレットの高さは――63m、中は1万人を収容できる。

21.ケーニヒスベルグ聖堂、カリーニングラード

 このゴシック様式の聖堂は、以前はプロイセンの町ケーニヒスベルグ(現在のカリーニングラード)の主要な聖堂だった。14世紀からここには、公爵たちや大学の教授らの廟があった。哲学者イマヌエル・カントは――ここに埋葬された最後の人物だ。

22.トカレフスキー灯台、ウラジオストク

 灯台が建っている砂州は、太平洋が始まるところとみなされ象徴的な意味を負っている。ちなみにこの灯台は、建てられてから1世紀半になる。

23.アルタイ

 アルタイの山々、湖、緑の草原はよくアルプス山脈に譬えられる。だが、ロシアのどの都市からも遠いというのに、多くの外国人たちがここへやってくる。アルタイ地方への旅行に関する10のアドバイスはこちら

24.エカテリンブルク郊外の岩塩抗

 モスクワの東方600マイルのところに塩の洞窟がある。それらは、ファン・ゴッホの創作のようでもあるし、モスクワのナイトクラブの壁紙のようでもある。にもかかわらず、この模様は――2億8千万年前に海水が蒸発してできたもので、同じものが二つとない自然現象なのだ。幻覚を催させる鉱山をもっと見たければこちら

25.サンドゥヌイ、モスクワ

 おそらく、モスクワでもっとも有名なロシア風サウナで、大理石が施された階段や、円天井、彫像のある宮殿にかなり似ている。かつてはここへ、トルストイやプーシキンやチェーホフが入浴に通っていた。

26.ショアナ聖堂、カラチャイ・チェルケス共和国

 カフカスの山間部の真ん中にあるごく小さな聖堂(わずか13m)は――ロシアでもっとも古い建造物のひとつで、10世紀のものと推定されている。

27.プトラナ台地、シベリア

 森と湖と滝に覆われた火山地帯(死火山)。プトラナ台地は、英国と同じ面積だ。 

28.大ノヴゴロドのクレムリン

 中世ルーシの遺産であり、今日まで残存している最古のクレムリンだ。このクレムリンが年代記で最初に言及されるのは、1044年。モスクワの北西570kmの大ノヴゴロドにある。

29.カムチャッカ半島、極東

 ロシアのもっとも貴重な観光地のひとつ。同じ場所にある約300の火山(うち29は活火山)、いたるところにいる熊、間欠温泉の谷やその他諸々が、カムチャッカの旅行者たちを驚かせる

30.ホワイトスクエア、モスクワ

 ガラスとコンクリートでできた近代的なビルの立ち並ぶオフィスセンターが、真っ白な古儀式派の聖堂を取り囲んでいる。モスクワ的なコントラストが素晴らしい(ここにもその証明がある)。

31.ママエフ・クルガン、ヴォルゴグラード

 南の都市ヴォルゴグラードは、歴史上もっとも多くの死者を出した闘いを経験し、約150万人が犠牲となった。それを記憶にとどめるために、丘の上にこの巨大な記念碑「母なる祖国」像が建てられた。

32.地下鉄「アフトヴォ」駅、サンクトペテルブルク

 ソ連の公式芸術はモザイク画にとりつかれていた。モザイク画は、建物の階段口や通り、工場、廊下――巨大な「ポスター」が貼れるところならどこにでもあった。例えば、地下鉄「アフトヴォ」駅のように(もちろんこれは、間違いなく地下鉄内で撮影されたものだ)。

33.琥珀の間、ツァールスコエ・セロー

 伝説の「琥珀の間」は、第二次世界大戦時に失われたロマノフ家の宝物のひとつだった。戦争を耐え抜いたのは、部屋のいくつかのパーツだけだった。修復された部屋は、サンクトペテルブルク郊外のエカテリーナ宮殿にある。

34.ドゥブロヴィツイ邸、モスクワ州

 モスクワから36kmのところにある屋敷は、ロシアの大貴族でピョートル1世の養育者でもあったボリス・ゴリツィンの注文で造られたものだ。この屋敷は建造からすでに300年以上が経っているが、今も結婚式場として人気だ。結婚登録事務所は――教会からわずか数分のところにある。

35. エルトン湖、ヴォルゴグラード州

 湖面は、膨大な量の塩のせいで流れることができず、そのせいで、この湖は巨大な鏡に似ている。エルトン湖は、カザフスタンとの国境そばにある。もっと読みたいならこちら:エルトン湖は皇帝たちに愛されていた

36.モスクワシティの摩天楼

 かつては、モスクワの中心に聳える摩天楼の一画を手にすることは、なによりも野心的な夢だった――ここのビル群は、ヨーロッパの高層階の記録を凌駕し、一平米あたりの価格の記録も塗り替えた。だがそれも、ラフタ・センターが登場するまでのことだった。

37.ラフタ・センター、サンクトペテルブルク

 「ガスプロム」の本部が入っている462mの摩天楼は――ヨーロッパでもっとも高いビルで、価格もブルジュ・ハリフを超え、25億ドルだ。

38. ガムストリ村、ダゲスタン共和国

カフカスのダゲスタン共和国にある打ち棄てられた太古の村落、あるいは、「幽霊村」と呼ばれている。山の稜線にあるこの村は、20世紀にコレラのため絶滅した。

39.間欠泉の谷、カムチャッカ

 カムチャッカも90の間欠泉を抱えており、それらは緑あふれる岩の真ん中から沸き立った熱湯を上へ向かって噴出している。

40.バイカル湖、イルクーツク

 地球上で最古の湖。南シベリアとモンゴルの間に位置し、誕生してから2500-3500年になる。冬のバイカル湖は、1mの厚さにもなる透明な鏡のような氷に覆われるが、一方、岸辺の岩や洞窟は――巨大な氷柱に覆われる。

41.ボルガルの白モスク、タタールスタン

 ヴォルガ河岸(カザンから83km)の神秘的なイスラム教の町ボルガルにある、タタールスタンのタージ・マハール。重さ800㎏もある世界最古のコーランが保管されている場所。

42.ルスケアラ大理石採石場、カレリア

 カレリアは――ユニークな場所だ。ここでは、仰天するような湖や滝を、少なくとも6万は見つけることができる。この数字をただ単にじっくりと考えてみよう。採石場は、かつて石切り場だったところにあり――そのうちのひとつだ。

43.ツァールスコエ・セロー、プーシキン市

 プーシキノにある宮殿(かつてのツァールスコエ・セロー、サンクトペテルブルクの南方30kmのところ)は、帝政時代の贅を尽くしたもっとも奇抜なもののひとつだ(とはいえ、決して唯一というわけではない)。

44.モスクワの地下鉄

 首都の住人たちが毎日降りていく地下宮殿。モスクワ地下鉄には、独自のオーディオガイドまである。もっとも美しい数々の駅についての案内はこちら

45.ヴォヴヌシュキ、イングーシ共和国

 防衛用に造られた中世の塔群は、山の頂きに建てられ、かつては吊り橋で互いをつないでいた。おとぎ話のような峻厳な場所。 

46.アルチョムのカラシノエ湖、極東

 毎年、湖面がピンクの蓮の花でびっしりと覆い尽くされ、それが、背景にあるクールで工業的な風景と激しく共鳴している。

47.ザリャジエ、モスクワ

 クレムリンの壁のそばにある公園で、「浮遊橋」やフィルハーモニー、氷の洞窟があり、クレムリンの眺めが最高だ。2018年には、『タイム』誌が選ぶ「世界最高の名所」のひとつとなった。

48.タイガ、シベリア、ヨーロッパロシア

 タイガは、海に次ぐ世界最大の生物群系で、さらに、ロシアの自然の宝庫のひとつでもある。あまりにも大きく、あまりにも美しいので、このリストに入れないわけにはいかない。

49.バスクンチャク湖、アストラハン州

 塩山の頂上にある壮大な光景。実際は、カザフスタンとの国境上にある、ほぼ500㎢の面積を占める巨大な天然の塩入れだ。湖の深さは、わずか10-30㎝。

50.小セミャチク湖、カムチャッカ

 活火山のクレーターにできた酸性湖。つまり、非常に高いところにある。この湖はヘリコプターからしか見ることができない。

51.クジラ小路、イトィグラン島

 ベーリング海の島にあるホッキョククジラの骨と顎でできた小路――これは、古い時代にエスキモーたちが建造したものだ。14世紀のものと推定されている。

52.サヤノ・シュセンスカヤ水力発電所、ハカシア共和国

 エニセイ川にあるダムは、他に類をみない大きさで――ロシアで最大、世界でも第9位という規模だ。このダムは森の上方に、蜃気楼のように、あるいは、宇宙船のようにそびえ立っている。

53.「赤い十月」の屋根、モスクワ

 かつての菓子工場「赤い十月」の屋根に描かれた、ポクラス・ランパスによるカリグラフィーアートは、世界最大のカリグラフィーになり――22階建てのビルと同じ高さだ。ランパスとはいったい何者なのか、なぜ彼のことを知らなきゃならないのかは――ここを見てみよう

54.セルゲの13本の塔、イルクーツク州

 フジル村(バイカル湖のオリホン島)にあるブリャート人のパワースポット――シャーマン的なパワーの「中心」だ。これらの塔は、抜いたり、燃やしたり、移動させたりしてはならない。これらを壊すことができるものはただひとつ、時間だけだ。

55.オレホフスキー滝、ソチ

 山からのゼズメンカ川の水が27.5mの高さから下へと落ちるが、水深はわずか2mだ。ソチの中心地からなら、他の多くの幻想的な場所と同じく行くのは簡単。

56.サスィク・シヴァシュ湖、クリミア

 世界にはピンク色の湖はわずか数個しかないが、クリミアのサスィク・シヴァシュ湖は――そのうちのひとつだ。この湖がピンクになるのは、7-8月だけで、水中の小さな藻類のためだ。

57.アバチャ湾、カムチャッカ

 いいえ、グリーンランドのどこかじゃありません。これは、カムチャッカ沿岸の太平洋の湾で、そのシンボルは「三兄弟」の岩だ。

58.ロシア国立歴史博物館、モスクワ

 赤の広場に行ったのなら、ネオ・ロシア様式(あるいは、擬ロシア様式)の赤レンガの建物に入らないわけがない。

59.ラトマノフ島、チュクチ自治管区

 ロシア領ディオミド諸島のひとつ。アメリカ領の別の島までは海上わずか3,8kmだが、二島の時差は23時間もある。穏やかな場所だが、にもかかわらず、ここでの生活は、少し地獄めいている

60.ツァリツィノ宮殿、モスクワ

 モスクワ南部にある宮殿で、女帝エカテリーナ2世が、愛人や秘密の伴侶との時間を過ごした場所だ。当初は、ロシア帝国の偉大さを見せつけるために(当時としてはそれほど独特な発想ではない)建設された。

61.スコルコヴォ・ビジネススクール、モスクワ州

 ロシア版シリコンバレーとして考案されたモスクワ近郊のテクノパーク。イギリスの建築家デイヴィット・アジャイ氏は、この学校のキャンパスを設計する際、カジミール・マレーヴィチのシュプレマティズムにインスピレーションを得た。

62.ソチ樹木園

 ロシアの亜熱帯地方の山の斜面に植物園ができたのは1892年。フョードル・シャリャーピン、アントン・チェーホフ他、過去の多くの著名人たちがここを散歩した。 

63.サハリン島、極東

 ロシア最大の島は、ロシア、そして大陸の果てにあり、そこには今も変わらず、ほぼ手つかずの自然がある。ハイイロクジラと、稀有なトルコブルーの湖がある場所。

64.ムリヤ・リゾート、クリミア

 ロンドンのミレニアム・ブリッジを設計したイギリスの建築家ノーマン・フォスターによるホテルとスパセンターで、ヤルタから25kmのところにある。蓮の花の形をしたホテルは、2016年にヨーロッパ最高のリゾート施設となった

65.アニワ湾の灯台、サハリン

 原子力灯台(ラジオアイソトープ発電機を利用して稼働する)を建てたのは日本の建築家だが、1990年の危機と同時に、ロシアでは維持費が尽きてしまった。

66.ボリショイ劇場、モスクワ

 ロシアでもっとも有名な劇場は想像する必要もない。数百ドルも払わずに劇場へ入る方法は――こちらを参照

67.ヴァシュガン湿地、シベリア

 南西シベリアに広がるこの湿地帯の規模は想像を超えるものだ。面積はスイスの国土に匹敵し、今なお、年々拡大し続けている。もちろん、ここもユネスコに保護されている

68.黄金橋、ウラジオストク

 323mの橋は2012年にお目見えし、世界第二位の高さを誇る橋となった(一位はフランスのミヨー橋)。黄金橋は、ウラジオストクとルースキー島を結んでいる。こちらのクイズに挑戦して、ウラジオストクのことをもっと知ろう。

69.クルシュー砂州、カリーニングラード州

 ヨーロッパでもっとも高い場所にある海浜の砂丘は、もっとも小さな国定公園「クルシュー砂州」内にある。片側は海、もう一方は入り江になっている。砂州全体のちょうど半分がリトアニア領となっている。

70.救世主ハリストス大聖堂、モスクワ

 1931年にボリシェヴィキによって爆破された聖堂を完全に再生したもの。大祖国戦争後、1990年代に入る寸前までこの場所にあったのは……野外プールだった。

71.モスクワのクレムリン

 大統領が執務しているロシアの重要なクレムリン。クレムリンが被った災難はひとつではない:ほぼ全焼にされ、占領されて、聖堂の中に馬小屋が作られたこともある。ずっと赤い色だったわけでもない。クレムリンが白かった時代もあった。

72.ワアラグコム渓谷、北オセチア・アラニア共和国

 ヴァザ・ホフ山は、アラニア国定公園のどの地点から見ても、ほとんど垂直な斜面に見える。そのため、多くの人がこの山を牙に喩える。

73.蔓植物が繁茂するサムルの森、ダゲスタン

 蔓植物が繁茂する地球上で最北にある亜熱帯の森。ダゲスタンのジャングルは、あまりにも鬱蒼としているため、入りこむことはできても地面に触れることはできない。

74.モスクワ大学本館、モスクワ

 スターリン様式で建てられた有名な高層建築(「セブン・シスターズ」)のひとつで、モスクワ国立大学であるために、いちばんよく知られている。

75.マリンスキー劇場、サンクトペテルブルク

 18世紀の皇帝の劇場のひとつで、上流階級のエリートやロマノフ家の面々のコレクションがここに集められていた。現在は――世界の指導的なオペラ・バレエ劇場のひとつ。

76.ソロフキ、アルハンゲリスク州

 ロシアの北西、白海にある群島は、15世紀にはロシア最大の修道院だった。その後――国内初の、かつ最大のグラーク(強制労働収容所)となった。現在は、観光スポットでもあり、信仰の中心でもある。

77.ヴェーデンハー(VDNKh)、モスクワ

 かつては、全ソ連の主要な国民農業博覧会だった。現在は――修復されたパヴィリオンや噴水や並木道のあるモスクワでもおもな公園のひとつとなっている。

78.コラ半島、ムスマンスク州

 北極圏にある半島で、人々は40日間も太陽を見ずに暮らしている。その代わりに、ここの住人たちには、地上でもっとも美しいショーのひとつが見せられる――オーロラだ。

79.大ボグド山、アストラハン州

 大ボグドは、現地のカルムイク人たちにとって神聖な場所とみなされている。この山は粘土層のおかげで美しいのだが、粘土が脆いため登ることはできない。しかし僧侶たちは、この神聖なる地が、信心の足りぬ者たちをその土の下に葬ったという伝説を信じている。

80.エルブルス山、カバルダ・バルカル共和国

 ヨーロッパの最高峰(5,642m)で、実際は複合火山だ。さらに、エルブルスの山麓には、ロシアでもっとも魅力的なアルペンスキーリゾート――チェゲトがある。

81.死の谷、カムチャッカ

 地名から想像できるように、この谷の美しさは見せかけのものだ。別の星のような奇妙な地形には、有毒ガス(炭酸性ガスのモフェッタ)が充満している。犠牲となるのは、鳥や動物が多い。人間はここへ入ることはできない。

82.「労働者とコルホーズの女性」像、モスクワ

 ソヴィエト時代にもっともよく知られたシンボルのひとつとなった大彫刻で、当初は、パリ万博のために製作された。一大センセーションが起きたが、この像には多くの問題があった。 

83.モスク「クル・シャリフ」、カザン

 タタールスタンの主要なモスクで、もっとも美しいモスクのひとつ。カザンのクレムリンのそば、古いモスクがあった場所にある。というのも、このモスクワは、カザン襲撃の際の1552年、イワン雷帝の軍によって破壊されてしまったからだ。

84.ナルィン・カラ、ダゲスタン共和国

 現在ロシアで最古の要塞は、6世紀にデルベントに造られた――まだこの地にロシア人が到来するかなり前のことだ。この要塞がペルシア人からロシアの手に渡ったのは1796年のこと。

85.チェリベルカ、ムルマンスク州

 憂鬱な北極地方の景色をもつ村のことを世界が知ったのは、アンドレイ・ズヴャギンツェフ監督の『リヴァイアサン』が世界的な成功を収めてからのこと。現在、クジラの骨や壊れたボートは――この村の名刺がわりとなっている。

86.クラースナヤ・ポリャーナ、ソチ

 山あいの村で、レストランやホテル、スパ・リゾートが所狭しと並んでいる。でも、大事なことは、言うまでもなく、窓から見える景色だ。

87.チュイスカヤ草原、アルタイ

 アルタイ南部の広大な風景と遊牧民のような自由は、ほとんどアリゾナのようだ。夏の暑い時期には、この黄色い荒野が、印象主義の絵画のような感動的な光景となる。

88.メトロポールホテル、モスクワ

 ボリショイ劇場が見え、長い歴史を持つ――スペインのソフィア王妃、金正日、シャロン・ストーンからデヴィッド・ボウイやマイケル・ジャクソンまでが宿泊した――モスクワの地図上の象徴的な場所。毎週日曜日には、ホテル内の見学ツアーが開催されている。

89.スーズダリ、ウラジーミル州

 古代ルーシの都(11世紀建都)は、「理想的なロシアの田舎」が期待させるものをすべて具現化している:数世紀にわたるクレムリン、教会、ロシア的な農村、川、草原。スーズダリは過去そのままに残されているかのようだ。

90.クトヒヌィ・バトィ、カムチャッカ

 クリル湖から4kmのところに、変てこな軽石(火山ガラス)が露出した層があり、クトヒヌイ・バトィと呼ばれている。この岩の造形物は――約110mの高台にある。

91.オルダ洞窟、ペルミ地方

 ロシアで、そしてヨーロッパ全土で最長の地下洞窟は、ウラル山脈の西側にある。ここは、洞窟ダイヴィングのメッカだ。水深は4,600mもある。

92.グラスビーチ、ウラジオストク

 かつてこの近くにはゴミ廃棄場があった。そのため、海岸は地元の人たちには不人気だった。数年後、打ち寄せる波がガラス瓶に磨きをかけ、こんなふうに変えてしまった

93.爺爺岳(チャチャ火山)、クリル諸島

 クナシリ島にある活火山、「火山の中に火山」がある(円錐が二つ――古いものと新しいものがある)。最後の噴火は1973年。クレーターからは有毒ガスが出ている可能性があり、山麓には熊が現れることも多い。

94.死者の街、北オセチア・アラニヤ共和国

北オセチアの山間部にある古代の墳墓。だが、およそ1万人の遺体が眠るこのネクロポリスは、年間数百人の観光客を引き寄せている。

95.生神女イコン教会、ヴォロネジ州

 いったい誰が白亜の山を削って礼拝堂を作ることにしたのかはわかっていない:隠遁した修道僧なのか、それとも、ビザンチンの迫害を逃れてここへ逃げ込んだクリスチャンたちか。現在、この稀有な教会は国によって保存されている。

96.景勝橋、モスクワ

 モスクワ北西部の緑豊かな一帯「セレブリャヌイ・ボール」に架かる真っ赤な橋。いちばん高い部分にはカプセルルームが吊り下げられているが、みんなどうやっても使い道を見つけられない。

97.モスクワ州のサッカー場

 モスクワ郊外にあるメシチェルスキー公園内の森の真ん中でクワッドローターから撮影したサッカー場は、ここでプレイするなんて考えていないという人も、きっと気に入るはず。

98.アク=カヤの白壁、クリミア

 ベロゴロスク地区にある325mの切り立った岩壁は、絶えず映像写真家たちを引きつけている:ここは、プエルトリコのどこかだと思わせるには最高のロケーションだ。

99.タヴリーダのケルソネソス、セヴァストーポリ

 クリミア南西の海岸にギリシア人によってつくられた古代ポリス。遺跡の廃墟は、2000年を経た今もなお美しい。

100.シベリア鉄道、いたるところ

 8つの時間帯、87都市、二大陸を横断する5,700マイル――このルートは、「一生ものの冒険」と呼ばれている。この美しさの代価は――列車内で一週間暮らすこと。でも、その必要はないかもしれない