アメリカの建築事務所「ディラー・スコフィディオ+レンフロ」(ニューヨークの線形公園「ハイライン」などを手がけている)は、モスクワ川とモスクワ河岸通りの上へと70メートル突き出る、橋脚のない不思議な橋(「浮遊橋」)を設計した。橋の上からは、クレムリン、クリミア橋、救世主ハリストス大聖堂の最高の眺めを楽しむことができる。見た目はもろそうだが、橋桁には同時に3000~4000人乗ることができ、頑丈である。
公園内には、「混合林」、「北の風景」、「ステップ」、「冠水草原」の4つの気候ゾーンがある。凝縮されたゾーンは最大限にリアルで、固有の微気候がある。北の風景ではネズとトナカイゴケが育ち、ステップでは香りの良い草が生え、混合林には白樺がある。風や自然光を模倣するシステムも装備されている。北の風景ではマイナスの気温を体感できるため、暖かい服が必要になる。
地下の北極洞窟がある。先月末、約70トンの水をここに運び、60立方メートルの氷塊をつくった。水をまいて凍らせ、その上に水をまいて凍らせて層状につくっていった。「氷河」の下には、氷をとかさない冷却システムがある。日中はマイナス2℃以上、夜間はマイナス5℃以上に保たれる。洞窟ではセミナーや講演会が開催される。寒さの中でじっとして聞いていなければいけないのか、別の「トリック」があるのかについては、現時点では不明。
フィルハーモニー演奏堂が地中すなわち丘の中にある。一ヶ所にはオルガンが装備されている。地上部分が入口で、丘はガラスと金属構造物でできている。
音響の設計を行ったのは豊田泰久氏。ニューヨークのリチャード・B・フィッシャー・パフォーミング・アーツ・センターやサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場音楽堂の設計を、これまでに手がけている。フィルハーモニー演奏堂では、交響曲以外にも、ジャズや現代音楽を聴くことができる。
円形劇場はフィルハーモニー演奏堂に隣接しており、その部分が唯一の壁面になっている。また、フィルハーモニー演奏堂のガラスがここを覆っている。冬でも暖かいようにつくられている。収容人数は2500人。
公園を建設している際に、作業員はかつて存在したヴェリカヤ通りと周辺の家の基礎を発見した。ここにはソ連時代の1964年に、当時世界最大の「ロシア」ホテルが建設されている(ロシア・ホテルが今も存在していた場合、世界第19位)。 銀貨4万3000枚、白樺文書、日常品および中世の武器3000点などが展示される考古学パビリオンつきの地下通路が、公園内にある。
公園の地上部分にあるのは、ガラスの構造物と自然のみで、主な施設は地下にある。7800平方メートルのインタラクティブなメディア・センター、パノラマ凹面スクリーンと空中座席の装備された4D映画館(ボロジノの戦い、1812年モスクワ大火についても知ることができる)、フードコート、レストラン、ホテル、駐車場などがある。
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