せかせかしない快適な旅がお好きなら、列車の車窓から本物のロシアを目にする喜びを味わおう。数時間のものから数日かかるものまで、いくつかのコースをご紹介しよう――あとはお好みのものを選ぶだけ。
新エルサレム修道院の一部である復活大聖堂の景色。1656年にモスクワ総主教ニコンによって設立され、聖地にある教会に似たような建築にすることが計画されていた。
ミハイル・ポチュエフ撮影/TASSモスクワの周囲にはおもしろいものがたくさんある:コロムナで有名なリンゴのパスチラを食し、イストラで――新エルサレム修道院を訪ね、セルギエフ・ポサードで、おもちゃ博物館に行かなきゃ。これらの場所へは、快適な季節限定列車に乗って、ツアーでも個人ででも行くことができる。列車の種類と行き先は毎シーズン変わる:2月末までは「冬のエクスプレス」号で、楽しいお正月の市を訪ねることができるし、春にはマースレニツァ(バター祭り)を祝ってブリヌイ(ロシア風クレープ)を食べることもできる。ワンシーズンに数回、完全に無料のツアーも開催されている。予約は、モスクワの郊外列車のサイトで可能、同じサイトで英語の話せるガイドも予約可。
伝説の鉄道「シベリア鉄道」は、モスクワとウラジオストクを結んでいる。想像してみて:月曜日に列車に乗り込み、一週間後に下車する――それでもまだロシアなんだ! 通常の旅客列車は毎日運行しており、エカテリンブルク、ノヴォシビルスク、チュメニ、クラスノヤルスク、イルクーツク、その他多くの都市を経由しながら、それぞれ15-20分ほど停車する。もちろん、ずっと列車内で過ごさなきゃいけないわけじゃない――1、2日だけ「シベリア鉄道」に乗ることも可能。
ツアー用列車「皇帝のロシア」号での旅なら二週間を要するが、その代わり、丸一日停車する日もあり、観光や食事を楽しめる。ウラジオストクでは個人のヨットでクルーズだってできる。北京に行く列車もあるが、もう少し長旅になる。これ以上の旅なんて考えられる?
かつてバイカル環状鉄道はシベリア鉄道の一部だったが、 イルクーツク水力発電所の建設のために、鉄道の一部区間が水没してしまった。そのため、この路線は行き止まりになっている。現在、この鉄道路線は、普通の旅客列車だけでなくアンティックな観光列車まで、数種類の列車が走っている。ここは、バイカル湖の美を愛でるには最高のルートだ。このルートは、スリュジャンカ駅(ここまではイルクーツクから列車で行ける)から出発し、ポルト・バイカル駅まで走行する。途中いくつかの駅で15-40分ほど停車。終点の駅からはシャトル船でリストヴャンカまで行けるし、その先はバスでイルクーツクに戻ることができる。全旅程でおよそ12時間所要。
ロシア鉄道のユニークな列車がリジスキー駅に到着する。
エヴゲニー・ビヤトフ撮影/Sputnikモスクワの北部地区では20世紀初頭のレトロな列車に乗ることができる――この列車は、リガ駅から出ており、クラスヌイ・バルチエツ停車場まで走っている。走行時間じたいは、わずか15分だが、その後に、古い時代の首都の機関庫を見学するツアーがあり、それから復路となる。全行程の所要時間は3時間。
スーズダリ、ウラジーミル州。木造の聖ニコラス教会。
Kolenk撮影/Flickr黄金の環とは――ロシアでもっとも有名な観光コースだ。こう呼ばれているのは、モスクワの周囲にある古都で、中世の伝統的な建築物が保存されている。これらの都市を巡る鉄道でのツアー旅行は2日から3日を要し、観光のために何度か停車する(ウラジーミル、スズダリ、ヤロスラヴリその他)。
海や山が好きなら、ソチに行こう。ソチは、2014年冬季五輪の開催地で、ロシアの主要な夏のリゾートのひとつだ。ここには、オリンピック公園とトゥアプセ市を結ぶ鉄道線が、海岸沿いをまっすぐに通っている。普通の旅客列車で終点まで行くと2時間半かかる(時刻表と切符はこちら)
モスクワから360km離れたトヴェリ州には、小さな支線のゼムツィ=ジャルコフスキー鉄道がある。一両編成の現代的なミニ列車は、47kmを3時間20分かけて走る。そのため、現地の人たちはこの列車のことを、ロシアでもっとも遅い列車と呼んでいる。その代わり、半ば打ち棄てられた村々や鬱蒼とした森など線路沿いの景色を満喫できる。この路線に乗りに行くなら夏が最高だ。(時刻表はこちら)
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