ヴァディム・ギッペンレイテル撮影
カムチャツカ火山群(1996年登録)
カムチャツカに火山群があるというより、火山群にカムチャツカがあるといった感じだ。初めてカムチャツカ半島に来た時、私は別の惑星に到着したような錯覚を覚えた。形状の多様さと、陸から立ち上る霧。カムチャツカの特徴は、火山の種類の多さ(計300山ほどある)と、恐らく世界最多であろう29山の活火山だ。火山と氷河という贅沢な組み合わせ、太平洋に沿った最高のロケーション、またクロクマ、ラッコ、オオワシなどの生物種の豊富さが、地球上の比類なきスポットをつくりだしている。
ここの川や海にはサーモン、マス、イワナ、カワヒメマスなどの世界一多様なサケ科の魚が生息しているし、天然温泉もいたるところにある。カムチャツカを訪れるということは、さまざまな発見ができるということであり、真の美しさを目にしたと言えるということである。
行き方
飛行機でモスクワ、ウラジオストク、ハバロフスク、その他のシベリアの都市を経由してペトロパブロフスク・カムチャツキーまで行く。アメリカのアラスカ州アンカレッジからは季節便が出ている。
シホテアリニ山脈(2001年登録)
Lori/Legion Media撮影
ハバロフスク地方と沿海地方の2地域に広がるこの山脈には、標高1900メートルをこえる山が3山ある。ウラジオストクから北東に800キロメートル強延びているこの領域には、トナカイ、エゾヒグマのような標準的なタイガの動物に混じって、アムールヒョウ、ツキノワグマなどの熱帯気候寄りの動物が生息している。ユネスコ世界遺産に登録されたのは、アムールトラ、コウライアイサ、シマフクロウなどの複数の絶滅危惧種が存在しているためだ。
アムール虎=ユリイ・スミチュク撮影
ロシアの探検家ウラジミール・アルセニエフは、20世紀初頭にこの領域を旅し、「デルス・ウザラ」を含む複数の著書を執筆した。「デルス・ウザラ」は、数年に渡る地元猟師とアルセニエフの旅について語っている。日本の黒澤明監督はこの本を原作とした映画をロシア極東の荒野で撮影し、1975年にアカデミー外国語映画賞を受賞している。
行き方
ウラジオストクまたはハバロフスクまで飛行機で行き、その後車で行く。
ウランゲリ島(2004年登録)
Alamy/Legion Media撮影
ウランゲリ島自然保護区とそこに生息する豊富な野生動物は、北極圏イコール生存困難な領域という人々の認識を混乱させる。自然保護区はチュクチ自治管区北部に位置し、山々のつらなるウランゲリ島と近くのゲラリド島を含んでいる。
最近の氷河期すなわち氷床がグリーンランドと南極へと発達した時まで、この領域のほとんどが未踏だった。そのため、これらの島は、太平洋セイウチの世界最大の個体群密度や、ホッキョクグマの巣穴の高密度を含め、優れた生物多様性を特徴としている。また、メキシコから移動してくるコククジラや、100種以上の鳥の一時的な生息地でもある。
ここはケナガマンモスの地球上最後の生息地だった。最後のマンモスが死んだのはわずか4000年前ほど。おそらく、新人の狩猟技術の発達と晩期気候変動が原因だったのだろう。1976年以降、限られた科学研究以外の活動はここでは禁止されている。
行き方
「ヘリテージ・エクスペディションズ」などの専門旅行代理店から申し込む。
レナ川石柱(2012年登録)
レナ川石柱=ヴァディム・ギッペンレイテル撮影
レナ川石柱自然公園は、サハ共和国の1年の気候差を示している。夏の摂氏40度から冬の摂氏マイナス60度までの気温範囲によって生まれた壮大な自然の岩は、レナ川に沿って、空に向かい、100~300メートル延びている。
凍結融解をくりかえすプロセスによって、石柱はゴツゴツした形となり、それぞれが深い峡谷で分離された。石柱には石灰岩、泥灰岩、苦灰岩、粘板岩などのさまざまな層があり、カンブリア時代(約500万年前に終わったと科学者は推測)の化石がここで発見されている。
行き方
ヤクーツクまたはバイカル湖から船でレナ川を移動する。レナ川はバイカル湖の西10キロメートルから流れており、北極海への向かう途中で石柱が見える。
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