あなたが今この記事を読んでいるということは、おそらくもうビザと航空券を取って、ロシア旅行の大まかなプランを立てているのではないだろうか。(そうでない場合は、こちらでビザの取り方と旅の計画についての記事をチェックして)。
空港からモスクワ中心部への行き方
中心部に行くのにもっとも便利な方法は、直通列車アエロエクスプレスを利用すること。空港によって異なるが、1時間または30分毎に走っている。列車の時刻表をこちらでチェックしてチケットも購入できる。モスクワに入るには、3つある主要空港のいずれかに着くことになる。ドモジェドヴォ空港(DME)、シェレメチェヴォ空港(SVO)、ヴヌコヴォ空港(VKO)からモスクワ中心部への行き方を調べておこう。
タクシーを利用するなら、白タクは使わないこと。通常の料金より2倍から5倍の料金を請求されることになる。ヤンデックス・タクシーのチェックポイントを探してそこでオーダーするか、アプリをダウンロードしよう。ロシア版のウーバーもあるので、アプリをインストールすれば利用することができる。
両替
ロシアであまり多くの現金は必要ない。―ロシア、特にモスクワではほぼどこでもクレジットカードが使える。しかし、地方に行く場合(あるいは市場で買い物をしようとする場合)は、いくらか現金を持っていた方がいいだろう。両替をするなら、空港より市内でした方がレートが良い。レートが一番良いのは街中にある個人営業の小さな両替所であることが多い。しかし安心して両替するには、できるだけレートの良いオフィシャルな銀行を使うことをお勧めする。
現金は米ドルかユーロが望ましい。
携帯電話とインターネット
現地のSIMカードを買って後悔はしない。電話やショートメッセージをするのに安く済むし、公共WiFiサービス(地下鉄や他の公共交通機関内、もしくは公園、その他の多くの公共施設内で)も利用できる。ただしそれには電話による認証が必要で、外国の電話番号では受け付けられない場合がある。
もっとも簡単な方法は、最寄りの携帯電話ショップに行くこと。手続きは15分もあれば済む。もっともよく知られているネットワークはMTS, Megafon, Beeline とTele 2で、3G 、4G、LTEのサービスを提供している。
ロシアでSIMカードを買う方法についてはこちらから。
モスクワで長い乗り継ぎ時間がある場合、何をすべきか?
もし最終目的地がサンクトペテルブルクやソチなどの都市で、モスクワで乗継までの時間がいくらかあるなら、市の中心部を絶対に訪れるべきである。見逃せないところをいくつか紹介しよう。
- 赤の広場。(ただしレーニン廟で時間を無駄にしないように。この名所は少し過大評価されている。それより壮麗なGUM(旧国営デパート)の店内を見た方がいい。ここも歴史的ランドマークである。
- 新しくできたザリャージエ公園徒歩圏内にある。(浮き橋で自撮りしよう)
- チアトラリヌィ・プロイエズドあたりを散策。ボリショイ劇場やジェツキー・ミール(子どもの世界)に行こう。ジェツキー・ミールはソ連時代の象徴的な店で屋上に展望台がある。
- トヴェルスカヤ通り―モスクワのメインストリートで最も美しい通りの1つを歩く。
- モスクワの地下鉄。地下鉄は数々の圧倒的に美しい駅を誇る最大の地下博物館の1つである。(もっとも豪華な駅を見るならこちらから)
- 美術館か博物館を1つ訪れる。トレチャコフ美術館(建物が2つあり、1つは古典芸術が展示されており、もう1つは20世紀芸術が展示されているが、この2つの建物はかなり離れている)、または国立歴史博物館(赤の広場にある)がオススメ。
- ゴーリキー公園、もしくは全ロシア博覧センター公園。夏には緑が最も美しい公園である。冬には共に巨大スケートリンクが出現する。
モスクワ(とサンクトペテルブルク)以外では何を見るべきか?
ロシアにはこれらの2つの都市以外にも、もっと別の良い場所がたくさんあることを忘れずに。
- 黄金の環―モスクワからそれほど遠くないところに古い町がいくつかある。そこには黄金の円蓋が輝く教会が数多くあり、伝統的なロシアの落ち着いた雰囲気を味わうことが出来る。中でも見逃せないのがスズダリで、最上の「ジンジャーブレッド」とおとぎ話が溢れる町である。黄金の環の完全ガイドはこちらから。
- エカテリンブルグ―ウラル地方の首都で、工業センターにアヴァンギャルド・ロシア構成主義建築物、ロシア正教教会、そして輝かしい近代的な博物館であるエリツィンセンター(ここでロシアの激動の1990年代について学ぶことが出来る)が混在する町。エカテリンブルグについてもっと知りたければ、エカテリンブルグですべきことを参考に。
- バイカル湖―この自然の奇跡を見るには、イルクーツクまでの航空券を買い、リストヴャンカ村までバスに乗る。このリストヴャンカ村は湖をもっとも近くで見ることができる場所である。少し時間に余裕があるなら、伝説のシベリア横断鉄道での旅の途中で見ることもできる。
- ソチとカフカス地方―夏には海水浴、冬にはスキー、ソチでは何でもできる。地元の料理を味わい、オリンピック会場を訪れ、自然と山々を楽しむことも忘れずに。ソチあるいはその周辺を訪れるのであれば、こちらの観光と自然についての記事を参考に。そしてソチのオススメレストランはこちらからどうぞ。
- ロシア極東は訪れることができるもっとも壮観な場所の1つである。しかし満喫するためには、1~2週間以上の時間が必要である。最初の旅行でロシアを気に入ったら、次はカムチャツカ半島に来て活火山、熊、サーフィン、そしてシーフードなど、多くのものを楽しもう。ロシアの「東の宝石」と呼ばれているウラジオストクは、木々に花が咲く春が特に素晴らしい。また日本海にはロシアのモルジヴがある。
ロシアは安全なのか?
実際、ロシアは安全だ。たとえば、モスクワは、世界中でもっとも犯罪率が低い首都の1つである。
夜遅く滞在先のホテルに戻るときでも、それほど必死に後ろを振り返って警戒する必要はない。基本的な用心をしていれば十分だ。腕のいい地元のスリに盗まれないよう、財布や携帯には注意しておくこと。しかし、路上強盗などはほとんど起こらない。
ただし、特定の宗教が人口の多数を占める地域(たとえば、カフカス地方のイスラム教地域)に行くときには、地元の伝統に敬意を払わなければならないし、地元の人たちと露骨な議論をするのは避けた方がよい。
1つだけ絶対に覚えておくべきなのは、パスポートとビザ(もしくはそのコピー)、ホテルの予約票は警察に呼び止められたときに備えて常に身に着けておくということ。
ロシアはいつも寒いわけではない
ロシアにクローゼットの衣服をすべて持って行く必要はない。映画で描かれているように、いつも雪嵐が襲ってくるわけではないのである。特に南部に行くのであれば、冬でも暖かいくらいだ。シベリアでは夏になると驚くほど暑くなるところもある。予め訪れる場所の気候をチェックして、できるだけ荷物を詰め込みすぎないように。
それともう1つ冬に関して重要なアドバイスとしては、南部にスキーやスノーボードに行くなら(たとえばソチのローザ・フートル)、強い防水機能があり、断熱効果の少ない薄いジャケットを持っていくこと。そして下に重ね着をして寒さをしのぐ。というのもこの辺りは海洋性気候のため、極端な気候に備えた服装をすると、強い陽射しに焼かれているのに、風邪をひいてしまうということがあるからだ。ソチ・リゾートの気温は零下5度以下にはならないので、ジャンパーでスノーボードが出来る。
一方、シベリアはまさにこの正反対である。覚えておくべきことは、ソチでのスキーウエアはとにかく強い防水性があり、断熱材がないものを選ぶこと。一方、シベリアでのスキーウエアは、とにかく高い断熱効果で寒さ寄せ付けないことだ。上着の選び方を間違えないように。
旅行者が避けるべき典型的な失敗はこちらから。
その他のアドバイスはこちらから。
ロシアの水道の水は飲めるのか?
ロシア当局は検査を実施した上で、飲んでも安全だとしている。しかしロシア人は普通は飲まない。沸騰させてから飲んでいる人もいるが、フィルターを使っている人が多い。ロシアの水道の水は少し異なっており、鉄分を多く含んでいるので、たとえばヨーロッパの水ほど柔らかくは感じない。
どんな食べ物にトライすべきか?
ウォトカで1日をスタートするのはやめた方がよい。この旅行のことをよく覚えていられなくなってしまう。
今ロシアで注目を集めているのは、現代的な調理法で料理されたいろいろな地方の料理。値段は高いが、象徴的なレストランであるカフェ・プーシキンに行って、内装とオリジナルのデザートを楽しもう。
安価な伝統料理なら、多くのショッピングセンターのフードコートの中に入っているテレモークがオススメ。そばの実、ボルシチ、ブリヌィ、そしてメニューにある飲み物を1つ、たとえばベリーモルスを試してみよう。
それ以外では、ペリメニ(水餃子)、キャビア、いろいろなサラダ(オリビエ、ミモザ、毛皮をまとったニシンなど)もおいしい。
また、カフカス地方 (特にジョージア) の料理もロシアでは大変人気がある。ハチャプリ、ヒンカリ、シャシリクを食べてみよう。
モスクワにあるロシア料理のレストランについてはこちらからどうぞ。
甘いものが大好きという人は、一番おいしいロシアのデザートを試してみては?
また、ロシアのお菓子やチョコレートを買って帰るのを忘れないように(食べ物をお土産にするならこんなものもある)。
ベジタリアンやヴィーガンだという人にぴったりな、とてもおいしいロシアの伝統料理もある。
文化を通してロシア旅行を準備する
予めロシアについてもっと知りたい、現地の雰囲気を知っておきたいと言うのであれば、本を読んだり、映画を観たり、ロシアの音楽を聴いておくとよい。特にオススメの本、映画、音楽をご紹介しよう。
Littile Big Little Big ―もっとも最近のロシアポップ音楽。YouTubeでミュージックビデオをチェックしよう。
Leningrad —2000年代に最も人気があったバンドの1つ。彼らの音楽を聴いて、ワイルドに踊ってみよう。
エヴゲニー・オネーギン ―ロシアでもっとも愛されている詩人で作家のアレクサンドル・プーシキン(トルストイでもドストエフスキーでもなく)の韻文小説。この本の一部や他のプーシキンの詩はどのロシア人も暗唱できる。
巨匠とマルガリータ ―ミハイル・ブルガーコフの代表的な小説。このファンタジー溢れるミステリアスな小説は、悪魔がどのようにしてモスクワにやって来たのか、そしてその悪魔がなぜ外国人のように扱われたかを描いている。
現代の英雄、ミハイル・レールモントフ作 ―ロシア南部やカフカス地方に行くならこの本は特に面白いだろう。これはある官吏の物語で、若くして、日々の生活、多くの試練、恋愛の苦しみ、友人との関係に疲弊している。彼は再び恋愛が出来るのだろうか?それとも運命を弄ぶだけなのか?海外ではあまり知られていない偉大な作品だ。
運命の皮肉 ―エルダール・リャザノフ監督の映画。ソ連時代の大晦日や元旦に必ず観られているコメディ映画。ある男がひどく酔っぱらい、朝起きるとモスクワではなくサンクトペテルブルクにいた。とても愉快でこころ優しい大ヒット映画。
Beampole―カンテミール・バラゴフ監督による映画。大きな話題を呼んだ最新のロシア映画で、これを見れば一石二鳥。現代ロシア映画について知ることができ、またロシア人にとって第2次世界大戦とは何だったのか、この国の家族がこの惨劇の直後どのように過ごしていたのかを知ることもできる。
ロシア人をイライラさせる質問と避けるべき話題
もちろん半分冗談だが、知り合ったばかりのロシア人には避けた方がよいやや危険な質問を紹介しよう。
- どうしてロシア人なのに寒いの?
- どうしてロシア人なのにウォッカが好きじゃないの?
- どうしてロシア人はそんなに悲しそうなの?
しかし脅かそうとしているわけではない。ロシア人は非常に友好的でおもてなし上手である。怖れずに旅すれば、新しい友人が出来るだろう。真実ではないロシアに関するステレオタイプを知っておくならこちらからどうぞ。