今後10年でロシア軍に登場する無人攻撃機

 導入が計画されているのは、「軽量」のものから「中型」のものまで、多種多様なモンスターだ。

 2018年5月にモスクワで行われた戦勝記念パレードで、ロシア軍は初の戦闘用無人攻撃機を公開した。それまでロシア軍で使用されていたのは無人偵察機だけだった。

無人航空機「コルサル」

  新たな空飛ぶ殺し屋は「コルサル」と名付けられた。2つのバージョンが製作されたが、一方は従来通りグライダー型に設計され、もう一方はヘリコプターのような回転翼を備えている。「回転翼式」の機体は、例えば海上の揺れる船の上など、整備されていない平面にも着陸することができる。「飛行機式」の機体にこのような真似はできない。

  重量はそれぞれ200キログラムだ。機体の高品質の複合素材によって、操縦者は地上の偵察を行えるだけでなく、戦闘員の頭上に誘導式・無誘導式の軽量の弾薬を投下することもできる。

 しかも、それぞれの無人機が軽装甲の目標(歩兵戦闘車や装甲兵員輸送車、小規模な防御施設など)の破壊に特化しており、離陸地点から200キロメートル先まで爆弾を運ぶことができる。

 爆弾を搭載した「5トン機」

  ロシア国防省は、2010年代初めに重量が5トンにも及ぶ無人攻撃機「アリタイル」の開発に約5000万ドルの予算を充てた。この機体は、「コルサル」とは全く異なる兵器を搭載することになっている。

  つまり、高価な誘導式「地対空」型の兵器だ。この兵器もまたステルス技術を用い、敵の最新かつ最先端のミサイル防衛システムから確実に姿を隠さなければならない。

 現在、無人機の開発は「完全機密」扱いで、ロシア国内外に紹介されるのは2010年代終わりか2020年代初め頃になる見込みだ。

無型の無人機「アリチウス」

  明らかになっているのは、おそらくこの無人機が戦闘能力と戦術技術の点で米軍のMQ-9リーパーに匹敵するだろうということだ。MQ-9リーパーはジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ社によって開発され、アフガニスタンでの軍事活動を含め、2007年から実戦で使用されている。

  「アリタイル」については機体の重量以外の特徴が何も明らかになっていないため、ここでは直接のライバルに当たるリーパーの飛行技術特徴を紹介しよう。

MQ-9リーパーの飛行技術特徴

  • 全長:11㍍
  • 翼幅:20㍍
  • 最大離陸重量:4760キログラム
  • 最大積載量:1700キログラム
  • 最高速度:時速400キロメートル
  • 巡航速度:時速250キロメートル
  • 航続距離:5900キロメートル
  • 航続時間:最大28時間
  • 実用上昇限度:15000メートル
  • エンジン出力:670キロワット

無人「戦闘機」

無人航空機「オホートニク」

  ロシアの軍産複合体で開発が進められている最大の「鳥」は、20トンの超重量級戦闘機「オホートニク」だ。このプロジェクトが成功すれば、ロシアは無人飛行技術の競争において大きく前進することとなる。

 「オホートニク」に関する委託条項は国防省によって2012年に認可されたが、詳細は公開されていない。

 「新しいドローンが単なる無人機ではなく、第6世代の戦闘機に分類されることが分かっている。世界の最先端の前線戦闘機(米国のF-22ラプター、F-35ライトニングII、ロシアのSu-57、中国の殲-20)は第5世代だ」とイズベスチヤ紙の元軍事評論家ドミトリー・サフォノフ氏はロシア・ビヨンドに話す。

  事実上このドローンは、大きさの面でれっきとした戦闘機である。ただし操縦は軍事基地でコンピューターのモニターの前に腰掛ける人間によって行われる。

 「日々テクノロジーが進歩し、人工知能のアルゴリズムが軍事技術に導入され始めていることを考慮すると、機体に搭載されたコンピューターが目標の破壊を自動的に決定する機能を手にすることも十分に想定できる。将来的には、人間の役割は任務が円滑に進むよう注視し、技術面でのメンテナンスを行うことに限られるだろう」とサフォノフ氏は考えている。

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