子どもに名前をつけるとき、文化的アイデンティティは重要なのか?
Russia Beyond/Getty Images 「わたしは黒人で、妻も黒人です。子ども時代の大半は里親の元で過ごしたのですが、その中でとても良かったと思えるのは、わたしを育ててくれたのが年配のロシア人紳士(名前はディミトリー・ペトローヴィチ)であったことです」と、最近あるアメリカ人が英語圏のウェブサイト“レディット”に書き込んだ。彼は、恩人との「思い出を残すために」、自分の息子が生まれたとき、子どもにロシアの名前―ディミトリー・ペトローヴィチ・ウィリアムズと付けたいと考えたが、家族は「文化的に不適切」だと反対したというのである。
彼の妻は、彼が選んだ名前に賛成してくれたが、他の親戚たちはこぞって大反対した。反対する人たちには「ディミトリーなんてとんでもない名前だ!」「白人でもロシア人でもないのに、なんで子供にそんな白人の名前を付けるんだ」と言われた、と彼は投稿している。
さらに、友達も理解してくれなかったという。「彼らもこんな調子で言うのです。“君は黒人だ。自分の文化を尊重すべきだ。その名前だと、息子をその文化の一部でなくするようなものだ。学校で苦労することになるよ”と」。
彼は自分にはロシアのルーツなどないことを強調しつつ(ほんの少しロシア語が話せるが)、他の“レディット”のユーザーに、これ以外にロシアの恩人に報いる方法はないものかとアドバイスを求めている。
数時間もしないうちに、ウィリアムズの投稿には5,000ものコメントが寄せられた。そのうちの多くは怒りに満ちたもので、ウィリアムズに対する攻撃は「人種差別」だとしている。ロシアの名前を持つ黒人クラスメイトのことを思い出した人たちもいた。
またこの問題はロシアのウェブサイトで大きな話題になり、何千ものコメントが加わった。
ロシアの人たちは、子供の名前を決める権利があるのは両親だけだとしてウィリアムズを支持し、ロシアにも似たようなケースがあると言及する。「自分の息子にアルチョームという名を付けようとしたのですが、そのとき幼稚園の先生をしている義母は、自分のクラスには5人のアルチョームがいるが、どの子もおかしいと言ったんです。また叔父は、アルチョームなんて馬鹿げた名前だ、ゲオルギーと名付けた方が良い、と言いました。それで叔父にではなぜ自分の2人の息子にジョージと付けなかったかと聞いても答えは返ってきませんでしたが」とある女性は書き込んでいる。
また別のユーザーは次のように書いている。「叔母はわたしの娘の名前を馬鹿げていると言いました。それでわたしはこう言い返しました。もしわたしの家族と生活を共にして、住宅ローンの最低半額を払ってくれるのなら、あなたのいう通り、娘の名前を変えましょう、と。それからこの話題が持ち上がることはなくなりました」。
多くのロシア人はウィリアムズに同情的で、彼が助けを必要とするときに、その親戚や友達は助けてくれるのか?と心配している。また息子のことをディミトリーではなく、ペトローヴィチ(ロシアでは親しい友人への愛情を込めて父称で呼ぶ)と呼ぶのはどうかとアドバイスをする人もいたのだそうだ。
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