購入した本がウィキペディアのコピー&ペーストだけで書かれていたことなどあるだろうか?それはまさにロシアのアレクサンドル・ソスニンさんに実際に起こったことである。
彼はブログでこう書いている。船舶関係の仕事をしているソスニンさんは、Ozon(ロシア版Amazonのようなもの)で本を探していたら、システムが自動的に興味のある本を推薦してきた。それは、ツポレフのTu-154 旅客機関係のものだったのだが、彼はそれを買うことにした。
しかし、届いたものを開けてみると、書かれている内容は、ウィキペディアからの引用だけであった。旅客機についての記述、映画フライト・クルーについての記述、S7航空についての記述すべてがそうであった。そして、本の表紙には、Ozonには書かれていなかった免責条項が小さくあった。「ウィキペディアからの引用による高品質な内容」と。
Pikabuというロシア語フォーラムのユーザー「Carcinogen」によれば、この本の著者、ジェシー・ラッセルとロナルド・コーンには他にも何百もの「著作」がある。この2人の著作で扱われている分野はとても広く、そのテーマは、時代を跨いだ航空機やフリゲート艦、ナチスの将官やロシアの聖人にも及ぶ。「デビッド・ボウイ」、「多文化主義」、「ジグラット(架空兵器)」などというタイトルの本が延々と並ぶ。そしてこれらすべてが、ラッセルとコーンによって書かれているのだ。一体どこにそんな時間があるというのだろうか。
これらの本はAmazonといった信頼できるオンラインショップで購入できる。これらはほとんど、プリント・オン・デマンド技術で製作されており、そのコストは、他の同じくらいのサイズの本の3倍近くする。
しかし、この著者名自体も偽物であることが分かっている。本物のラッセルは、無線通信分野でいくつもの新技術を開発したアメリカ人の技術者で、コーンは、ココというゴリラに手話の使い方の訓練をした心理学者の調査協力者である。ツポレフTu-154の専門家には程遠い。
調べていくうちに、なんとウィキペディア自体が、彼らの著作の内容をウィキペディアの記事に言及しているということが分かった。-元の木阿弥というわけだ。
ロシアでは、この問題を2013年に提起しており、Ozonには申し入れをして、ウィキペディアからの引用で書かれた本については、その旨が記されるようになった。しかし、Amazonではまだそうなっていない。しかもこれらのインチキ本のいくつかには、「読者」から「良い」というコメントやレビューがつけられているというのだから驚きである。
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