ボルシチに合う伝統的なパンと前菜(レシピ)

Restaurant "Matryoshka"
 ロシアの主要なスープ「ボルシチ」にはどんな料理が合うのだろうか。色々な選択肢からお好きなものを選んで!

 実は、「ボルシチ」という言葉は長い間、スープそのものを指していたという説があり、各地でもっとも手に入りやすい食材で作られていたと言われている。ボルシチ、そしてボルシチに合わせる前菜やパンのレシピには本当に様々なものがあるのも、このためだとされている。

1. モスクワのボルシチとヴァトルーシカ

 他の地域と異なり、モスクワではボルシチは燻製肉を使って作られた。レストラン「マトリョーシカ」のシェフ、ヴラド・ピスクノフさんは、「本当のモスクワのボルシチはビーフのブイヨンをベースに作られますが、その中には、鶏のむね肉、燻製肉、ソーセージなど、いろいろな種類の肉が必ず入っていました。あと、ボルシチが、カッテージチーズ入りのヴァトルーシカと一緒に出されたのはモスクワだけでした」と語っている。ただボルシチに添えられるヴァトルーシカは、カッテージチーズやジャムが入った甘いものではなく、甘みがあまりなく、サイズも小さめのものである。

カッテージチーズ入りの甘さ控えめヴァトルーシカの作り方:温めた牛乳1カップにドライイースト(15g)を溶かし、卵(2個)、砂糖(大さじ1+1/2)、ソーダ(小さじ1/2)を混ぜ、小麦粉(3カップ)をふるい入れる。よく混ぜ合わせ、室温に戻したバター(50g)、植物油(大さじ1)を加え、さらによく混ぜる。生地が手につかなくなったら、丸くまとめ、暖かい場所に40分置いて、発酵させる。少しこねて、もう一度発酵させる。打ち粉をした作業台の上に生地をのせ、めん棒でのばし、少量ずつに分けて、丸める。バターを塗った天板に、4〜5㌢間隔で並べ、もう一度発酵させるため15分休ませる。生地の真ん中にくぼみをつけ、カッテージチーズを入れる。カッテージチーズ(500g)は卵(2個)、砂糖(大さじ1)、塩(大さじ1)を入れて混ぜ、パセリかイノンド(50g)、溶かしたバター(大さじ2)を加えておく。カッテージチーズを入れたら、15分置き、表面に溶き卵を塗って、180℃のオーブンで20〜25分焼く。

2. ウクライナのボルシチとニンニク入りパンプーシカ

 ウクライナのボルシチはポークのブイヨンで作られ、生のキャベツを入れることが多い。そしてこのボルシチに添えられるのがパンプーシカと呼ばれる丸パンである。このふっくらとした丸パンにはニンニクを加えたバターが染み込んでいる。パンプーシカは、ボルシチを煮ている間にイーストの入った生地で焼き、温かい状態でサーブする。 

ニンニク入りパンプーシカの作り方:温かい水(45℃以下、250ml)にドライイースト(10g)、砂糖(小さじ1)と塩(小さじ1)を溶かし、小麦粉(400g)、植物油(大さじ2)を混ぜ、生地を作る。丸くまとめたら、ふきんで覆い、1時間ほど暖かい場所に置き、発酵させる。生地を小さく分けて、卵ほどの大きさにまるめ、植物油を塗った型に詰めて並べ、30分ほど置く。表面に卵黄を塗り、200℃に予熱したオーブンに入れ、25分焼く。ニンニク(5片)は潰して、植物油(大さじ2)、塩(小さじ1)を加えて混ぜる。お好みでハーブを加えてもよい。オーブンからパンプーシカを取り出し、すぐにニンニクを塗る。ふきんで覆い、15分休ませる。

*もっと読む:ロシアのボルシチとウクライナのボルシチの違いとは? 

3. クバンのボルシチとチーズのピローグ

 クバンあるいはクラスノダールのボルシチには、特別な種類のビーツを使う。そのビーツは、明るいピンクの縞があるため、ボルシチは光ったようなピンク色をしている。またクバンのボルシチには酸味の強いトマトと「古い」脂身を入れる。そしてそのボルシチはチーズのピローグと一緒に供される。

チーズのピローグの作り方:冷やしたバター(120g)はいくつかに切り、小麦粉(220g)と一緒に小さくおろす。室温に戻した牛乳(50ml)を加え、混ぜる。必要であれば小麦粉を足し、生地をこねたら、15分冷凍庫で冷やす。フィリングは、チーズ(250g)、卵(2個)、塩(小さじ1)、ニンニクをおろしたもの(1片)を混ぜる。生地を焼き型の底に広げ、上にフィリングを乗せる。200〜220℃のオーブンに入れ、表面にきれいな焼き色がつくまで焼く。

4. 北方のボルシチとカリートカ

 ロシアには、「カーシャ(粥)のないボルシチは男やもめ、ボルシチのないカーシャ(粥)は女やもめ」という表現があるくらいで、ボルシチにはパンではなく、カーシャを出すこともある。カレリア共和国では、カリートカと小麦を合わせた「2イン1」の料理がある。カリートカというのは、ライ麦で作るオープンパイで、フィリングはおかず系のものもあれば甘いものもある。ボルシチにピッタリなのは、小麦の粥を入れたものである。

小麦入りカリートカの作り方:深鍋に温めた牛乳(100ml)を注ぎ、水少量と塩を加え、よく混ぜる。ふるった粉(ライ麦粉200g、小麦粉30g)を加え、どろっとした生地にする。15分ほど休ませたら、いくつかに分け、丸め、1〜1.5ミリの厚さにのばし、真ん中に牛乳で煮た小麦の粥を入れる。端を留めて、表面に卵液を塗る。200〜210℃のオーブンで10〜15分焼く。焼きあがったら、溶かしバターを塗る。

5. その他、ボルシチに合うもの

 ボルシチに合う前菜は脂身、ピクルス、ニンニク、ネギである。またボルシチにライ麦パンの「ボロジンスキー」あるいはキノコまたはキャベツのピロシキは欠かせない。ボルシチにはサワークリームを入れる。ショットグラス一杯のウォトカを勧めてもよい。

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