Netflixで見られるロシア映画7選

Egor Abramenko, National Media Group, 2020
 動画配信サービス「Netflix」は幅広いジャンルのロシア映画の配信権を取得し、視聴者により多くのロシア映画を紹介している。そんな中から、いま、Netflixで楽しむことができる注目すべきロシア映画を紹介しよう。

1. ブラザー(1997年)とブラザー2(2000年) 

 セルゲイ・ボドロフ・ジュニア演じる青年ダニーラ・バグロフは、チェチェン戦争から故郷の地方都市に帰還する。しかし、母親は帰省した息子に、兄を頼ってサンクトペテルブルクに行くよう説得する。母親は兄のことを「偉大な人物」だと思っていたが、実は兄はプロの殺し屋になっていて、問題を抱えていた。ある日、ダニーラは兄に助けを求められ、犯罪集団の抗争に巻き込まれて行く。「ブラザー2」では、ダニーラが兵役時代の仲間を復讐するため訪れるアメリカを舞台にストーリーは展開する。

 単純明快なストーリーでありながら、ポストソ連映画における重要な位置を占める作品である。1990年代のハードな世界に引きずり込まれたまだ若き青年について描いたアレクセイ・バラバノフ監督のこの作品は、ロシアではカルト的な人気を博している。チューイングガムとCDが一緒に売られている商店からマフィア、レイヴ音楽に乗る革ジャンの少女など、当時の風景、風俗が正確に描かれており、まるで目で見る辞典のようである。

2. 「チェルノブイリ1986」(2020年)

 ヒストリーチャンネルのテレビドラマ「バイキングー誇り高き戦士たち」で世界的に知られる俳優のダニーラ・コズロフスキーが、ソ連の歴史上、もっとも暗い出来事の一つであるチェルノブイリ原発事故をテーマに制作したオリジナルのブロックバスター映画。

 主人公の消防士アレクセイは、チェルノブイリ原子力発電所の監督機関に勤務しているが、僻地に留まっていたくないとキエフに異動しようとしていた。しかし、そんな折、アレクセイは理容院で偶然、かつての恋人オリガに出会った。その後、原発事故が発生する。アレクセイはキエフ行きを断念せざるを得なくなり、放射能汚染のヨーロッパへの拡大を防ぐため、事故現場に向かうことになる。

 2019年にアメリカのテレビ局HBOが取り上げたテーマは、ロシアの映画界では今でもほとんど扱われていないが、「チェルノブイリ1986」はそれに挑んだ作品である。しかし制作スタッフらによれば、作品はソ連当局の考え方を分析し、責任者を追求しようとするものではなく、どちらかといえば、悲劇的な事故を背景に、リクヴィダートルと呼ばれる最初の事故処理班の作業員たち(コズロフスキー自身が演じている)の個々の人生を描いた大規模な作品である。

3. 「スプートニク」(2020年)

 公開と同時にストリーミングサービスでの配信が始まったが、アメリカの映画評論家の間で好評を得た。映画評論サイト「ロッテン・トマト」では支持率が89%に上った。物語は1983年、地球に帰還しようとする2人のソ連の宇宙飛行士のハッチの扉を叩く者が現れる。着陸したとき、1人はすでに死亡、そしてもう1人はステップの中にある鉄条網を張りめぐらされた基地にいた。彼はその中に異星の生物が住んでいることに気づいていないが、その生物は周りのことをすべて理解していた。当然ながら、軍関係者たちはこの宇宙からの生物を兵器として利用しようとする誘惑に駆られるが、まずその生物と意思疎通を図る必要があった・・・。

 監督が、リドリー・スコットの「エイリアン」とジョン・カーペンターの「遊星からの物体X」にインスピレーションを受けたことは間違いないが、同様のテーマを持つ多くの作品の中でもこの「スプートニク」は優れた1作となっている。少なくともスタイルが興味深い。単なるレトロなホラー映画ではなく、芸術における全体主義的ノワール作品であり、ストーリー展開に劣らないくらいビジュアルが大きな役割を演じている。 

4. 「KRESTY」(2020年)

 20世紀、サンクトペテルブルクにあった「KRESTY」は主要な政治犯収容所で、反革命活動で弾劾された人々が収容されていた。政治家のレフ・トロツキー、画家のカジミール・マレーヴィチ、文学者のヨシフ・ブロツキーもこの収容所に収監されていた。このロシア最古の収容所はすでに130年以上の歴史を持っており、新人監督のアンゲリーナ・ゴリコワはこの収容所に関するドキュメンタリー映画を制作した。

 ちなみに映画では有名な囚人をテーマにしたものではなく、現在の収容所について取り上げたものである。檻、ドアの覗き穴、“餌”、十字の形をした廊下、シェパードを連れた護衛官、捜査、若い囚人たち・・・、映画は緊張感溢れる恐ろしい雰囲気に満ちている。カメラは囚われている人々、そしてそれを監視する人々をゆっくりと捉える。 

 とりわけ、意外な内容が飛び出す収容所の職員たちの会話がきわめて興味深い。

5. 「ザ・ベスト・デイ」(2015年)

 2015年に観客動員数第1位となったコメディミュージカルは批評家の間で賛否両論を呼んだ。

 地方の交通警察官のペーチャ・ワシューチン(ドミトリー・ナギエフ=世論調査で、プーチン大統領の次にホットなロシア人男性に選ばれた)は結婚を予定していたが、偶然、国民的スターに出会い、つい浮気してしまう。婚約者が悲しむ中、ペーチャはなんとか微妙な状況から抜け出すための方法を見つけようと頭をひねる。

 ラーマン監督の「ムーランルージュ」にインスピレーションを得たコメディ映画には、ジョーラ・クルィジョヴニコワ監督の得意の手法が散りばめられており、あらゆるものの俗っぽさが最大限に誇張されている。夜に楽しむコメディというスタンスで観るべき一作。 

6. グロム少佐、ペスト医師(2021年)

 2021年に製作されたもっとも製作費の高いロシア映画の一つ。出版社バブルのロシアの同名の漫画(かなりめずらしい!)を基にしている。 

 非凡な捜査で上司を困らせているサンクトペテルブルクの陰気な警察官、イーゴリ・グロムを主人公にした物語。しかしグロムは次々と犯罪者を捕まえていく。街にペスト火炎放射器を手にした、医師のマスクをつけた極悪人が現れるのだが、それに対抗できるのはグロム少佐だけなのである。

 スタンダードなスーパーヒーローアクション映画は、世界共通の雰囲気を醸し出すもので、ゴッサム・シティにもやや似ている。ここではきわめてゴッサム・シティ的なカジノ「ゴールデン・ドラゴン」が登場する。そこには汚職関係者らが一同に会する。警察の本部は宮殿にあるが、グロムはバットマンのように屋根に立っている。

7. 「I’m losing it (Ya khudeju)」(2018年)

 アレクセイ・ヌージヌィのコメディはロシアでの封切りから4日間で黒字になった。太ってしまったために恋人に振られたニジニ・ノヴゴロド出身の若い女子アーニャと、肥満の社会的不名誉と戦おうとする物語。しかしその試みは・・・なかなか功を奏さない。

 「I’m losing it」はジャド・アパトーの最良のコメディ(「40歳の童貞男」など)を思わせる作品だが、オリジナリティもあり、ロシアメディアにおける美の文化を批判する内容となっている。

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