バラライカを超えて:ロシアにルーツをもつ音楽家8人

ヘレーネ・フィッシャー

ヘレーネ・フィッシャー

Felix Hörhager/Global Look Press
 ジャンルでは、クラシックからパンク、電子音楽まで、プロフィールでは、超有名亡命作家の息子から自己制作DJまで、世界には、ロシアにルーツをもつ、才能豊かで成功している音楽家が多数いる。そして、ユニークなスラヴ文化の影響で世界文化をより豊かなものにしている。そうしたミュージシャンを8人紹介しよう。

1. レジーナ・スペクター

 「私は女性、ユダヤ人、ロシア人、ニューヨーカー、アメリカ人…でも、すべてが一つに溶け合っていて、分けることなどできない」。2012年にモスクワで行われたインタビューで、アメリカのシンガーソングライター、レジーナ・スペクターはこう語った。彼女がロシアの首都を去ったのは、1989年に両親がアメリカに亡命したときのことで、彼女は9歳だった。でも彼女はまだ「遺産」を忘れず、流暢なロシア語を話す。

 レジーナは、自分の優雅でエモーショナルな曲で、ピアノを弾きながら、ロシアのノーベル賞作家・詩人、ボリス・パステルナーク(1890年~1960年)の有名な詩「2月」を引用する。この歌の中ほどではロシア語で歌っている。その透明な美しさ…。

 

2. ゴーゴル・ボールデロ

 このエネルギッシュなジプシー・パンク・バンドは、1972年にソ連で生まれたユージン・ハッツによって1999年に結成された。「ゴーゴル・ボーデロ」の音楽は、ミュージシャンたち自身の出身と同じくらい多種多様なエスニック音楽を取り入れている。バンドには、エクアドル、エチオピア、中国などあらゆる地域の出身者がいる。

 ロシア出身のメンバーには、セルゲイ・リャブツェフ(サージェイ・リアブツェフ、バイオリン)とボリス・ペレック(ギター)の2人がいる。ハッツはウクライナ人で、やはりロシア文化によく通じており、ロシア語も堪能だ。彼はときどき歌詞にロシア語のフレーズを挿入するので、ロシアの響きは、この国際的なパンク・オーケストラの音楽から確かに聴きとることができる。

 

3. イグナート・ソルジェニーツィン

 イグナート・ソルジェニーツィンもまたソ連出身のバイリンガルだ。ノーベル賞作家、アレクサンドル・ソルジェニーツィンの次男。作家はソ連の抑圧的体制を容赦なく批判し、1974年に亡命を余儀なくされたが、そのときまだ2歳だったイグナートを連れていた。

 「私はロシア人として育ち、ロシアへの愛情を抱きつつ育った」とイグナートは言う。にもかかわらず、彼は米国をも愛し、音楽家として素晴らしいキャリアを積み上げてきた。彼は指揮者・ピアニストで、フィラデルフィア室内管弦楽団の首席指揮者と、モスクワ交響楽団の首席客員指揮者を兼ねている。

 

4. ジェーニャ・リュビチ(Jenia Lubich

 サンクトペテルブルク出身の歌手、ジェーニャ・リュビチは、このリストの多くのミュージシャンとは異なり、主にロシアで活動している。しかし彼女は、フランスのバンド「ヌーベル・ヴァーグ」(Nouvelle Vague)とのコラボの後は、欧米でも成功を収めている。ロシアでの成功も、「ヌーヴェル・ヴァーグ」との共演の後。彼女はヒット曲「Russian Girl」を作曲し、録音している。これは、神秘的な「ロシアの魂」の最も繊細な音化であり、アイロニカルな表現ともなっている。

 

5. ヘレーネ・フィッシャー

 ヘレーネ・フィッシャーの両親は、ドイツ系ロシア人であり、その先祖は、第二次世界大戦中にスターリンによってシベリアに流刑。1980年代後半には故国ドイツに帰った。33歳のヘレーネは、最も成功しているドイツの歌手の1人で、既に8つのプラチナアルバムを持っている。ドイツ語圏に数百万のファンがいるが、それでも彼女は、自分の出自を忘れない。彼女は、シベリア東部のクラスノヤルスク市(モスクワ東方4100km)で、エレーナ・ペトローヴナ・フィッシェルとして生まれた。その証はこのビデオから明らかだ。ロシアとウクライナの民謡を歌っており、しかもほとんどなまりがない!

 

6. アリーナ・イブラギーモワ

 アリーナ・イブラギーモワは、ロシア人ヴァイオリニストで、イギリスを中心に活躍しており、ウラルのポレフスコイ市の音楽一家に生まれた。1996年、彼女が10歳のとき、父がロンドン交響楽団の首席コントラバス奏者となったため、一家は英国に移り、彼女はヴァイオリンを学び続けた。2000年代初め以来、彼女は数々の成功をおさめており、2010年のロイヤル・フィルハーモニー・ソサエティ・ヤング・アーティスト賞、エミリー・アンダーソン賞など、多数の賞を得ている。「中世から現代まで、バロックからアヴァンギャルドまで、各時代の音楽を演奏している」と彼女は言う。そして彼女は、ロンドンからロシア地方の小さな町にいたる、さまざまな場所で演奏している。

 

7. DJ Vadim

 このDJは、ヒップホップ、レゲエ、ソウル、電子音楽など多種多様なジャンルをミックスしながら、独自の特徴をもっている。サンクトペテルブルク生まれのワディム・ペアレは、子供のときに家族とともにロンドンに移住。「彼は、スティーヴィー・ワンダーからDilated Peoplesにいたるまで、さまざまなアーティストと共演しているが、大きなものに取り組んでいる無名の才能たちともコラボしている」。彼の作品に関する記事にはこう記されている。この業界で最も成功したDJ兼プロデューサーの一人であるワディムは、自分を世界市民とみなし、ひたすら音楽制作に邁進している。

 

8. パウル・ランダース(バンド「ラムシュタイン」のメンバー)

 パウル・ランダースは、バンド「ラムシュタイン」のギタリスト。彼は、このドイツの人気バンドのメンバーがすべてそうであるように、旧東ドイツで生まれた。しかし、子供の頃にモスクワで1年を過ごし、東独大使館でロシア語を勉強した。彼のインタビューはその「成果」を示している。ほとんどの旧東独市民がそうであるように、「ラムシュタイン」はロシア文化をよく知っていて、「Moskau」(ドイツ語でモスクワ)という曲さえある(ロシア語で歌われる)。この曲には、「行進し、レーニンに敬礼する」ピオネール(ソ連共産党の少年団)が出てくる。これ以上ロシアっぽくするのは不可能だろう。

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