ロシアのコンテンポラリー・ジャズ

テア・メイツ=

テア・メイツ=

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 ロシアにどんなジャズ音楽家がいるのか、知らない人がほとんどだろう。イチオシはこの10のアーティストとバンドだ。

 ソ連時代、西側のイメージが強く、否定的にとらえられていたジャズ音楽に対する、一般的な感覚を示す表現があった。「今日彼はジャズを演奏し、明日母国を売る」と。だがソ連が崩壊して25年が経過し、ジャズはロシアで繁栄している。

 

1.     イーゴリ・ブトマン(Igor Butman

 ブトマンはロシアで最も有名なサックス奏者で、モスクワとサンクトペテルブルクの「ジャズ凱旋式」、ソチの「アクアジャズ」、「スコルコヴォ・ジャズ」などの、国内のさまざまな年次ジャズ祭の主催者である。  ブトマンはソ連で生まれ育ち、1987年にアメリカに渡ってバークリー音楽大学で学んだ。1993年にロシアに帰国し、モスクワとニューヨークのジャズの架け橋となりながら、エディ・ゴメス、レニー・ホワイト、ジョン・アバークロンビー、ジョー・ロックなどと公演した。

 若い音楽家を支援することを重視し、学校を設けている。「我々の学校は新しいが、ジャズへの情熱がある。勢いあるクラシックな音楽家の集団、強力な学校」とブトマン。

 また、モスクワ中心部にも2つのジャズ・クラブを所有している。 

 

2.     テア・メイツ(Therr Maitz

 主に海外でソフトジャズと電子音楽を演奏している、ロシアの有名なバンド。

 リーダーのアントン・ベリャエフは、10代の頃からジャズに夢中だった。わずか14歳でバンドで演奏するようになる。2004年、テア・メイツを結成し、英語でオリジナルの歌をうたっている。2016年MTVヨーロッパ・ミュージック・アワードでは、ロシア最高のグループと認められ、受賞した。シゲット、ニュー・ウェーブ、アルファ・フューチャー・ピープルなどのヨーロッパの音楽祭には、ゲストとしてよく登場している。

 

3.     アリーナ・ロストツカヤ(Alina Rostotskaya

 注目すべき若手アーティスト、ロストツカヤは、ロシア語と英語の両方で歌をうたっている。ボーカリストというだけでなく、作詞作曲もしている。

 2013年に、ジャズマップ誌にこう話している。「即興音楽は今や正統派ジャズよりも幅広くなっていると思う。私は自分の道を進みたい。クラシック、演奏、発展を尊重しながら、ある種のロシア化された方向へと」

 

4.     ダニエル・クラメルのジャズ・トリオ(Jazz Trio of Daniel Kramer

 ピアニストのダニイル・クラメルは、ロシア・ジャズの主要な一人。ヒット・チャートにランクインしているため、コンサートの成功は間違いなし。優れた作曲家で、さまざまなスタイルに敏感というだけでなく、経験豊かな指導者、テレビ司会者でもある著名人。サランスク、エカテリンブルク、サマラなどの都市で開催されるジャズ祭の美術監督でもある。

 

5.     キキピクルス(The Kikipickles

 このバンドの音楽は、ニューオーリンズのリズム、ブロードウェイの魅力的なメロディー、ストリート・アーティストの変わった音を組み合わせたもの。公演中に即興演奏をすることが多いため、それぞれが異なる。

 洗濯板、タンバリン、バンジョー、ガラガラなど、珍しい楽器も使用する。バスのチューバは、バンドのサウンドをさらに独特にしている。

 

6.     イヴァン・ファルマコフスキーのカルテット(Quartet of Ivan Farmakovsky

 才能ある音楽家イヴァン・ファルマコフスキーは、ロシアの主要なジャズ・ピアニストの一人。これまでにアルバムを3枚だしており、うち2枚はニューヨークでライアン・カイザー、ウゴンナ・オケグォ、ジーン・ジャクソンなどのアメリカの優れた音楽家とコラボしてレコーディングしたもの。

 

7.     シガー・ホール(Cigar Hall

 このバンドを結成したのはヴァレンチン・ラコディン。ジャズのボーカリストでコントラバス奏者。ラコディンはロシアの新世代ジャズ演奏家。バンドは伝統的なジャズ、R&B、ソウル、ファンクを組み合わせている。 

 

8.     アガフォンニコフ・バンド(The Agafonnikov Band

 ピアニスト、スムーズ・ジャズとソウルの達人ウラジーミル・アガフォンニコフは、2004年にこのバンドを結成した。以来、国際フェスティバルに積極的に関わり、ドイツとポーランドの音楽大会では栄えある賞を受賞している。アガフォンニコフ・バンドは、オリジナルのヒット曲やカバー曲のどちらも演奏している。

 

9.     エイレンクリク・クルー(Eilenkrig Crew

 このバンドのヴァジム・エイレンクリクはロシアの有名なトランペット奏者で、指導者、テレビ司会者である。クリス・パーカー、デービッド・ガーフィールド、ランディー・ブレッカーなどの音楽家とコラボした最初のソロ・アルバムは、2009年にブトマンのレコード会社ブトマン・ミュージックからリリースされた。

 エイレンクリクは独自のスタイルとサウンドを追求し、バンドのメンバーとともに、ロシアの有名かつ人気の音楽家になっている。

 

10.  アカペラ・エクスプレス(A'Cappella ExpreSSS

 6人の若いボーカリストが即興ジャズ・グループを結成した。ベースギター、サクソフォン、ドラムの当て振りパフォーマンスは見事で、コンサートを訪れる観客は見とれている。

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