ロシアのピロシキを食べ、プリエの技術を習得し、ドストエフスキーをオリジナルで読む。そのすべてが東京で体験できる。

Getty Images, Russia Beyond
 ロシア・ビヨンドは、5年前から日本で生活するモスクワ出身の翻訳者に、東京でロシアを感じることができるノスタルジックな場所を探してもらった。

 東京に移り住んだばかりの頃は、ここで何かロシア的なものを探そうという気持ちは湧いてこなかった。しかしその後、しばらくして、次第にその興味が湧いてきた。これは郷愁を克服する過程の一段階にいる国外移住者の心理状態と関係あるのかもしれない。東京にあるロシア的な場所と言ってまず思い出すのがレストランである。インターネットでざっと探してみただけでも20ほどの場所があることが分かった。スタートとしては悪くない。

 しかし食品だけに限定してはならない。東京では、小さな黒パンが添えられたボルシチだけでなく、ロシアバレエ、歴史、宗教、文学などに触れることができる。ではそのさまざまなものを順に紹介しよう。

 

バレエスタジオ「リビーナ」 

住所:東京都港区北青山3丁目5-25 バレエスタジオ リビーナ

 “東京にあるロシア”をめぐる旅は、まずショッピング天国の表参道からスタートしたい。ブティックやショッピングモールが立ち並ぶ表参道の地下鉄駅の近くのひっそりとした建物の中にあるのが、バレエスタジオ「リビーナ」。このスタジオでは体験レッスンが受けられ、また14歳以上なら誰でもレッスンを受けることができる。またチケット制で、定期的にレッスンを受けることもできる。指導者の中には、ロシアや旧ソ連のバレエ学校の卒業生たちがおり、その中には、現在ニコライ・ツィスカリーゼが校長を務める有名なワガノワバレエ学校の卒業生も含まれている。

 バレエのポジションをいくつか試し、ストレッチをしたら、次の場所に向かおう。

 

ロシア正教会駐日ポドヴォリエと目黒区の小さな教会

教会の住所: 東京都目黒区下目黒6–2–2 

ポドヴォリエの住所: 東京都文京区本駒込2–12–17

 では、今度は宗教に世界に身を投じてみよう。東京には、ニコライ堂の名で知られる復活大聖堂教会以外にも、正教会の礼拝が行われている場所がある。文京区にあるロシア正教会駐日ポドヴォリエと比較的新しい目黒区の教会である。

 ポドヴォリエは、もちろん第二次世界大戦後、モスクワ総主教庁とアメリカ・メトロポリヤとの対立を背景に作られた。1946年の秋、モスクワ総主教庁は2人の主教を日本に派遣したが、ダグラス・マッカーサー将軍率いる占領軍本部は彼らを日本に入国させようとせず、代わりにアメリカ・メトロポリヤから主教を招いた。これを受け、賛同できない聖職者と一部の信者らがニコライ堂から離れ、「正統正教会」を組織したのだが、その長となったのが、主教ニコライ小野とアントニー高井であった。この2つのグループの間で和解が成立したのは実に1970年で、その後、モスクワ総主教庁に忠誠を誓ったメンバーらが、ポドヴォリエとして自身らの活動を継続した。

 東京に住むロシア系の多くの信者たちはポドヴォリエと、その後、目黒に建てられた教会について、よりひっそりしていて、祈りの場所としてはニコライ堂よりもしっくりくると話している。

 

リヒャルト・ゾルゲの墓 

住所: 東京都府中市多磨町4丁目628 多磨霊園

場所:17区1種21側 16番 

 さて、では次は西に向かって、多摩川が流れる地区に行こう。ここには多くの緑が溢れ、同じような設計の団地が立ち並ぶ。

 小金井市と府中市の間に、東京都最大の墓地の一つである多磨霊園がある。大祖国戦争(1941年–1945年)の戦勝75周年にあたる今年は、ソ連のスパイだったリヒャルト・ゾルゲを思い出すのにぴったりな年だろう。残された資料によれば、彼は1941年の夏、ソ連軍司令部に対し、ドイツによるソ連侵攻が間近であることを何度も警告していた。また彼は1941年末から1942年の初旬にかけて、日本がソ連を相手に開戦するつもりがないという情報を入手していた。そしてこれがソ連軍の配置換えの動機となり、シベリアや極東に配備していた部隊をモスクワ方面に移動し、結果、ドイツ軍との攻防戦でドイツ軍の侵攻を押し返すのを助けることとなった。

 ゾルゲは1944年に巣鴨拘置所にて処刑され、その後は拘置所内の墓地に埋葬された。しかし愛人だった石井花子がゾルゲの墓を多磨霊園に作った。そして彼女はゾルゲに関する著作をいくつか発表し、2000年に亡くなるまで、ゾルゲの墓を守り続けた。死後、石井花子はゾルゲのそばに埋葬されたが、現在は彼女の遺族が墓を守っている。墓の両脇に記念の石が立てられ、そのうちの一つには、「戦争に反対し世界平和の為に生命を捧げた勇士ここに眠る」と記され、もう一つには、ゾルゲと同士の名前と死没日が書かれている。

 

レストラン「ペーチカ」 

住所: 東京都府中市府中町2-6-1 プラウド府中セントラル2F 

 東京にあるロシアをめぐる旅を続けよう。歴史を辿るエクスカーションを終えたらお腹も空いたので、食事休憩を取ることにしよう。日本のロシア料理店は必ずしも人気があるわけではなく、どちらかというと風変わりなものという印象が強い。しかし、東京ではロシア料理を出す新しい店が次々開店している。そんな場所の一つが、レストラン「ペーチカ」。新宿駅から電車で30分ほどの府中市にある。中は明るくて素敵なインテリアで飾られ、ロシア語の本、ロシアと言えば外せないマトリョーシカ、グジェリ、その他のロシアのお土産品が並ぶ。スピーカーからはロシアの作曲家の音楽が静かに流れている。 

 メニューはごく一般的なもので、ボルシチ、ブリヌィ、ピロシキ、ペリメニ、キノコの壷焼き(とてもおいしいのでオススメ)など、ロシア料理の代表的な品が用意されている。

 店の特徴は、なかなかどこでも見られないような家庭的な雰囲気、そして店で焼いているというパンと焼き菓子。具がたっぷり入ったピロシキ(1個400円)は出てくるまでに少し時間がかかるが、待ってでも食べる価値あり。ちなみにこの店ではスメタナも自家製でとてもおいしい。

 

ロシア書籍専門店ナウカ・ジャパン 

住所: 東京都千代田区神田神保町1丁目34番地 

 腹ごしらえをしたら、次は本を見に行こう。多くの古書店が並ぶ中、「ナウカ・ジャパン」と書かれた青い看板の下にロシア語の古い本、新しい本、言語学者や翻訳・通訳者向けの学術書、辞書、児童文学、絵本、ドストエフスキーやチェーホフ、トルストイの原語で書かれた小説、それにカレンダー、映画のDVDなどさまざまなものが売られている。

 ナウカ・ジャパンのサイトでは必要な本があるかどうかチェックし、新しい本の入荷状況も確認することができる。今は電子書籍の時代ではあるものの、印刷された紙のにおいとページをめくる音から得ることのできる喜びは、何ものにも代え難いのではないだろうか。

 

ロシア食材専門オンラインショップ「ヴィクトリア」 

ウェブサイト  

 東京のロシアめぐりを終えて家に帰ったあと、ロシア的なものをオンラインでも買えることに気がついた。コロナ禍のいま、これまでにないほどありがたいツールである。

 ヴァレーニエ、ハチミツ、チョコレート、お菓子、缶詰、プーチンT シャツなどの雑貨、お茶、スパイス、そしてもちろんキャビア。それらすべてをオンラインで買うことができるのが「ヴィクトリア」である。最近のヒット商品はロシアでミームにもなったB.Yu.アレクサンドロフの「高級」スィロク(チーズケーキバー)である。ちなみにこのスィロク、現在はオンラインだけでなく、Kaldiの店舗でも売られている。

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