渡航費とビザ
旅行者なら誰でも、旅行費用でいちばん大きいのは、休日を過ごしに行く目的地までの旅費だということは知っている。ロシアから地球半周分のところに住んでいるとしたら、貯めておいたお金のかなりの額が飛行機代に費やされることになる。たとえば、今の価格を見てみると、2019年3月のニューヨークからモスクワへの片道の航空券代は600-700ドル、ロンドンからだと300-400ドルだ。
それに加えて欧米からだと、ほとんどの場合ビザが必要だ。アメリカ人なら90ドル払わなければいけないし、イギリス人ならシングルエントリーのビザに70ユーロ(91ドル)の支払いを要求され、追加サービスの料金は38,40 GBPだ(50ドル)。残念ながらワールドカップ用の「ファンID」は、来年は利用できない。私たち、つまり貧しいロシア人のことも考えてほしい。私たちがアメリカやイギリスに入国する際にもお金を払わないといけないのだ。
国内の移動
飛行機がロシアに到着したら、旅費の多くを国内の移動に費やす可能性は高くない。モスクワの空港から特急列車アエロエクスプレスに乗って市内の中心部まで行く切符は片道で500ルーブル(8ドル)、オンラインで事前購入したら420ルーブル(6,4ドル)かかる。モスクワの地下鉄に乗るにもあまりお金がかからない。トロイカという交通カードは50ルーブル(0,76ドル)のデポジットが必要で、運賃は1回ごとに36ルーブル(0,55ドル)が引かれていく。タクシーは高くつくかもしれないが、路上でつかまえる場合だけだ。ウーバー(Uber)やヤンデックス(Yandex)といったタクシー用アプリを利用して呼べば、はるかに安くなる。
あらかじめ手はずを整えておかなければならないのは都市間の移動だ。たとえば、モスクワから、ロシアの文化的な首都サンクトペテルブルクまでの特急列車の片道切符は3,500ルーブル(53ドル)で、一方、オリンピック開催都市であるソチまでの航空券代は、事前に予約しておけば39ドルと安い(2019年3月のポベーダ航空、。カムチャッカを見たい? 300ドル(モスクワからウラジオストクまで片道、2019年3月のS7航空)だ。
宿泊施設
おそらく最も苛立たしいことのひとつが適切な宿泊施設を予約することだ。低予算のホステルもたくさんあるし、あらゆるニーズに応えてくれるホテルもある。だからすべてあなた次第。格安の選択をしたいなら、街の中心から離れた場所にあるホステル(1泊あたり10-40ドル)を見つければいいが、中心部の生活に浸りたいというのなら、ホテルのロケーションと格付けに応じて、さらに100-200ドルほどを上乗せして支払う準備が必要だ。たとえば、トレチャコフ美術館に近いそこそこのホテルに2泊滞在すると、あっという間に150ドルが消えてしまう。
とはいえ、フォーシーズンズホテル・モスクワは、セレブや王族のように過ごしたいという人にはお勧めだ。これはおそらくモスクワ市内で最高値の高級ホテルで、クレムリンにいちばん近い。一晩500ドルで過ごすことができる。
食べ物
ホテルと同じく外食の費用もあなた次第だ。コーヒーを飲むと120-400ルーブル(2-6ドル)、平均的なカフェでの昼食は400-600ルーブル(6-10ドル)、良いレストランでの素晴らしいディナーなら好みによるが、700-2,500ルーブル(11-38ドル)の間だ。 世界のトップ50にランク付けされている有名レストラン「ホワイトラビット(White Rabbit )」での食事は、一人あたり最低でも40ドルを支払うことになる。
観光とエンタテインメント
休日は楽しく過ごす時間だ。ロシアにはやることがたくさんある。この国の歴史や文化に触れたり、美術館を訪ねたりバレエを見たりすることから、訪ねた都市にたくさんあるクラブやバーのひとつで活気あふれるナイトライフを楽しんだりすることまで。
有名なボリショイ劇場に行くつもり? オペラやバレエのチケットは3,500ルーブル(53ドル)から15,000ルーブル(230ドル)の間だ。博物館や美術館を訪ねたい? 入場料は、小規模な美術館なら100ルーブル(1.5ドル)から、大きなところだと700ルーブル(11ドル)することもあるが、平均して400-500ルーブル(6-8ドル)ほど払う覚悟をしておこう。
たとえば、プーシキン美術館の入場料は400ルーブル(6ドル)で、サンクトペテルブルクのエルミタージュ博物館本館のチケットは700ルーブル(11ドル)だ。ここにはガイドツアーやオーディオガイドは含まれていない。これらの料金は異なるが、一般的には、オーディオガイドのレンタルが約200-300ルーブル(3-5ドル)、ガイド付きのグループツアーへの参加は400ルーブル(6ドル)くらいだ。
リバークルーズとバスツアーも価格はまちまちだが、クルーズはいたって手頃なものだと400ルーブル(6ドル)以下で見つけられるし、バスツアーのほうは1,500-2,000ルーブル(23 -30ドル)くらいだ。個人ガイドを見つけることも可能で、モスクワやサンクトペテルブルクでは、1時間あたり約500-700ルーブル(7-10ドル)支払えばいい。
バーやクラブ――観光で忙しい一日を過ごした後に、ゆっくりとくつろぎたいと思ったら、安いレトロなバーや最高級のバーで楽しむことができる(値段はドリンク1杯200ルーブルくらいから、約3ドルだ)。チャージ料は無料というところもあるが、ちょっと高級な店になると500ルーブル(7,6ドル)ほどかかる。コンサートや特別なイベントのときには料金が高くなる可能性もある。
お土産品
ロシアの伝統的な人形のマトリョーシカや防寒帽ウシャンカを買うのなら、本物のティアラ「ココーシニク」のような高級なものを欲しがらない限り、おそらくお金が足りないということはないだろう(ここにある2,500ドルの逸品をチェックしてみよう)。
オリジナルのオレンブルクのショールは、サイズによって1,300-4,200ルーブル(22-71ドル)するが、路上で売っている物なら、質は落ちるがこの何分の1かの値段で見つかる。シベリアの本物のトナカイのファーブーツも安くはない――1足あたり約300ドルもする。 一方で、お土産にお金をかけるつもりはないが、何か特別なものを見つけたいというのなら、モスクワのイズマイロフ市場を訪ねてみよう。
平均総額
ロシアへの旅行を記憶に残る体験にするために、こだわりのある人はいくら必要なのかを予測するのは難しいが、専門家によれば、観光客は7-8日間で平均144,000ルーブル(2,203ドル)を使う傾向にあるという(ロシア連邦政府分析センターによる。この合計額中で割合がもっとも大きいのは、外国からの渡航費(24%)で、次いで、宿泊(23%)、食べ物(19%)、国内での移動の交通費(9%)となっている。