ロシアでしか見られない動物たち

アザラシ=

アザラシ=

Lori/Legion-Media撮影
 ロシアの固有種は主に交通困難地に生息している。もしこうした地域に行く機会に恵まれたなら、美しい森や湖を堪能することができるだけでなく、そこに暮らす動物たちの絹のような毛に触れることができるだろう。

1.ロシアデスマン

ロシアデスマン / East News撮影ロシアデスマン / East News撮影

 ロシアデスマンは、今から数百万年前、この地球上にまだマンモスが出現していないときからすでに存在していた。つまりロシアデスマンを目にするということは、形となって現れた古代を見ているということになる。視力が弱いところはモグラに似ており、生態はオーストラリアの固有種カモノハシに似ている。

 水中を泳ぐこともできるこの面白おかしい小動物は、ドン川、ヴォルガ川、ウラル川の流域に生息している。ロシアデスマンの毛は、ジャコウ腺から得られる油分の多い分泌物によって水中でも乾いた状態が保たれる。強い香りのジャコウと貴重な毛皮のために乱獲され、数世紀前にほぼ絶滅したが、現在は保護されている。

 

2.淡水アザラシ:バイカルアザラシとラドガのワモンアザラシ

アザラシ/ Shutterstock/Legion-Media撮影アザラシ/ Shutterstock/Legion-Media撮影

 アザラシはバイカル湖(東シベリア南部)とラドガ湖(ロシア北西部のカレリア共和国)に生息する唯一の哺乳類。もっとも美しい淡水生物のひとつであり、2つの湖の真のシンボルとなっている。バイカルアザラシとラドガのワモンアザラシはどんな観光客にも愛される存在だ。まるで心の中を覗いているかのような限りなく深く澄んだ目、ふわふわの毛に覆われたかわいいアザラシの子ども、好奇心旺盛な性質。バイカル湖のそばにはアザラシ館があり、水中でさまざまな芸を披露している。

 ロシアにはアザラシにちなんだ古いおとぎ話や迷信が多い。チュクチにはこの地球上のすべての生物は大きなアザラシから生まれたという伝説がある。

 

3.プトラナのユキヒツジ

ユキヒツジ/ Alamy/Legion-Media撮影ユキヒツジ/ Alamy/Legion-Media撮影 プトラナのユキヒツジはロシアでもっとも到達困難な未開の地のひとつであるプトラナ台地(東シベリア北部)に生息する。空路あるいは水路でしか辿り着くことができない場所だ。プトラナ台地に行くこと自体かなりの難題であるが、そこに生息するユキヒツジに遭遇するにはさらに大きな幸運に恵まれることが不可欠だ。荒々しいと同時に優雅でもある、巻いた角と慎重な性質を持つユキヒツジは高度1700メートルの険しい崖と隣り合って生息している。

 なぜユキヒツジが生活条件が厳しく危険にあふれたこの台地を生息地に選んだのかは分からない。臆病な動物は誰にも邪魔される心配のない場所が好きなのかもしれない。

 

4.ヒメクビワカモメ

ヒメクビワカモメ / Alamy/Legion-Media撮影ヒメクビワカモメ / Alamy/Legion-Media撮影

 信じがたいことではあるが、このか弱いヒメクビワカモメは北極地方や東シベリアといった厳しい気候の地域、またインディギルカ、コルィマ、アナドゥイルといった北部の冷たい川のそばに生息している。かつてヒメクビワカモメはエスキモー民族の伝統的な狩猟の獲物だったが、現在ヒメクビワカモメの狩りは厳しく禁じられている。羽は雪と氷のような純白とやわらかいピンク色がかった色が組み合わさっていて、それはまるで北極地方の朝焼けとオーロラの輝きを全身に吸い込んだかのようだ。冬になると南方へ飛んで行く他の種のカモメと異なり、酷寒を好むヒメクビワカモメは北氷洋を目指して北へと向かう。

 

5.アムール・レミング

アムール・レミング / Lori/Legion-Media撮影アムール・レミング / Lori/Legion-Media撮影

 珍種動物アムール・レミングはモルモットあるいはまだらな毛を持つ大きなハムスターに似ている。東シベリアやカムチャツカのタイガに生息する。レミングをひと目見ようと思うなら、苔の生えた沼地を長い時間歩かなければならない。齧歯類のアムール・レミングはやわらかい苔の中に穴を掘り、迷宮のような巣を作る。レミングは1日に自分の体重以上の餌を食べるが、動きが活発なため体型は維持されている。

 

6.ソデグロヅル

ソデグロヅル / Alamy/Legion-Media撮影ソデグロヅル / Alamy/Legion-Media撮影

 雪のような真っ白の羽と長くて赤い嘴を持つすらりとしたツル。珍鳥ソデグロヅルはサハ共和国、西シベリア、ヤマル地方などに生息する。西シベリアの先住民族ハントゥイ族の間でソデグロヅルは聖なる鳥とみなされている。

 繊細なソデグロヅルはヒトを嫌い、ヒトが近づいてくると長い鳴き声をあげて仲間たちに危険を知らせる。それゆえソデグロヅルの見事な求愛のダンスは遠くからしか見ることができない。

 ソデグロヅルは絶滅のおそれがある野生生物を掲載するレッドリストに含められている。ソデグロヅルの個体数を維持することを目的に2012年に行われたキャンペーン「希望の飛翔」にはウラジーミル・プーチン大統領も参加した。大統領はハンググライダーに乗り、越冬のために暖かい地方へと飛んで行くソデグロヅルの幼鳥の群れを導くガイド役を務めた。

 

7.バルグジンクロテン

バルグジンクロテン / Lori/Legion-Media撮影バルグジンクロテン / Lori/Legion-Media撮影

 コーヒー色の軽くて柔らかな毛を持つすばしこい動物バルグジンクロテンは、バイカル湖東岸のタイガの森の中に生息する。バルグジンという名前は同名の川の名称と東から西に吹くバイカルの風の呼び名に由来する。

 バルグジンクロテンは好奇心旺盛でヒトを怖がらないため、とりわけ運がよければ、近寄ってなでたり、ネコの鳴き声に似た小さなうなり声を聴くことができる。銀色を帯びた美しくて高価な毛皮は「ワイルド(野生)毛皮の皇帝」あるいは「柔らかい黄金」と呼ばれる。

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