ロシアが新しいハイテク艦載砲塔を公開

AO "NPO "Elektromashina"
 人工知能を持つこの新時代の艦載兵器は、ヘリコプターやミサイル、さらには小型ドローンを自動的に迎撃する。

 2022年、ロシアは「ナルヴァル」(海獣の「イッカク」の意)という艦載式遠隔操作戦闘モジュールの量産を始める。ロシアのメディアが報じた

 メディアによれば、この兵器を開発したエレクトロマシーナ社のイーゴリ・アファナシエフCEOは「この砲塔はすべての試験に合格しており、生産準備ができている」と話している。同社は国有の大手兵器メーカー、ロステフ社の傘下にある。

 ロシアの戦艦に今後搭載され得る砲塔の候補は、このモジュール以外にも複数あった。しかし「ナルヴァル」は2021年に国防省が行った非公開の軍事試験において、砲撃性能、コストの小ささ、扱いやすさの点で他の製品に勝ることを証明した。

 またメーカーのCEOによれば、すでに複数の国がこの兵器に関心を示しているという。ただし彼は購入を希望している国の名は明かさなかった。

 軍事の専門家によれば、可能性が高いのは東南アジア諸国、ペルシア湾沿岸諸国、インドだという。これらの国々はロシア・ソ連製の艦船を配備しているからだ。

 「最初に搭載されるのはロシアの沿岸警備用の有望な小型艦船だ。砲塔は将来的には大型艦船にも追加され、ピョートル・ヴェリーキー級巡洋艦にも搭載される可能性がある」とイズベスチヤ紙の軍事評論家アレクセイ・ラム氏は言う。

人工知能を持つ遠隔操作兵器開発の傾向

 「ナルヴァル」は12.7 mmコルド重機関銃を備えた遠隔操作モジュールだ。昼間視・暗視カメラと自動標的追跡システム、赤外線カメラ、運用区域内の標的を発見するレーダーを持つ。

 「『ナルヴァル』モジュールは自動制御兵器の開発という近年の傾向を反映したものだ。我々は、戦場で人ではなく機械が戦うという新しい次元に移行しつつある」とラム氏は言う。

 国防省はこうした兵器を歓迎し、人工知能技術を応用した兵器の開発に取り組む部署も設置している。

 「ここで重要なのは、我が国が次第に戦場から人員をなくす兵器を持っているということだ。これは戦場での人間の役割を最小限にすることを目指す、現代のロシア軍の傾向でもある。現時点で人工知能を持つ兵器は装軌・装輪車両に搭載されており、今度は艦船でも使用されるということだ」とラム氏は指摘する。

国外での展望

 「今日、兵器市場にこうした兵器はたくさんある。ロシア兵器は良いものだが、ライバル製品よりも良いとは言えない。米国は優れた光学装置、電子装置、マトリクス、チップを砲塔に備えている。ロシア製品はコルド機関銃のプラットフォームをベースとしているため、信頼性と火力で勝る」と雑誌『祖国の防衛』のイーゴリ・コロトチェンコ編集長は話す。

 また彼によれば、この砲塔の成功の鍵はマーケティング戦略にあるという。米国製品を凌ぎ、潜在的な買い手にロシア製の遠隔操作モジュールをライバルよりも上手く紹介できるか否かが問題だ。

 「インドや東南アジア、湾岸諸国はロシア製の兵器をたくさん所有しており、この新兵器は必ず興味を引くだろう。きっとこの技術に関心を持つはずだ」とコロトチェンコ氏は続ける。

 「ナルヴァル」砲塔の量産は2022年に始まる予定だ。専門家らによれば、それまでにシリアの実戦で試験運用されるだろうという。技師らには、極限の状況で砲塔と人工知能がどう機能するか、リアルタイムのデータが必要だからだ。

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