日本のお餅はロシア人のストレス発散?

Russia Beyond (Liudmila Chernetska/Getty Images; Judyjump;Getty Images)
 メドヴィク、ナポレオンケーキ、パヴロワケーキ、モチ・・・。ロシアのカフェではすでにこんなメニューが珍しくなくなっている。この日本のお菓子は、かつてのラーメンや寿司のように、ロシアで温かく、そしてクリエイティブな形で受け入れられたのである。そして中にはこれがストレス発散になっているという人もいるようだ。

コスプレ・フェスティヴァルに現れた台湾のおやつ

 ロシアの若者たちがお餅を知ったのは2000年代の初め。このお菓子が地元のコスプレ・フェスティヴァルの屋台に並んだときである。もっとも、当時、そのお餅は基本的には台湾のものがほとんどであった。しかしそれでも、このお菓子は今もロシア人にとっては日本を連想させるものであり、東南アジアの同じようなお菓子は今でも人気があり、それと並んで、ロシア製のお餅まである。

 ロシア人の間で一番人気があるのが大福の味であるのは興味深い。そしてその中身はあんではなく、クリームチーズであったり、ミルクチョコレートであったり、あるいはコンデンスミルクやフルーツ、ベリーだったりする。日本製品が買えるオンラインショップ「フジサン」には100種類以上の大福が売られており、またロシア版のAmazonであるインターネットショップ「Ozon」で、「日本のお餅」と検索をかけると、実に700以上の商品がヒットする。その中には、「ゼリーデザート」と名付けられているものもある。

 このように面白い味のお餅が数多く作られていることも、ロシアでお餅が人気を博している理由の一つである。加えて、お餅は甘いお菓子でありながら、太る心配をすることなく食べることができ、しかも精進期に振る舞うことができるという点もロシアで好まれる理由の一つであろう。これは1年に200日ほどの精進期があるロシア正教徒にとっては非常に重要な意味を持つ。

 それと同じ理由により、ロシアでもハワイで餅をモチーフに生まれた「ディッピンドッツ」アイスが人気を獲得している。

ホーム餅屋さん 「餅づくりは一種のストレス発散」

 餅ブームは、つい最近まで、超人気の「弁当ケーキ」のオーダーに追われていたホームメイド菓子職人の間にまで広まっている。「弁当ケーキ」とは、小さな箱に入ったケーキのことである。

 ホームメイド菓子店@feyas_cakessを経営するマリーナさんは、お餅を作るというアイデアがどのようにして生まれたのかについて次のように話している。

 「和食レストランで初めてお餅を見ましたが、そのときは食べませんでした。その後で、母がSNSの中からあるオンラインのパティシエスクールのアカウントでお餅についての記事を見つけたんです。そしてその作り方を見て、インスパイアされ、一度食べてみようと思ったのです。すると、その信じられないほど柔らかい食感が大好きになり、お客様にも喜ばれるようになりました」。

 レシピと正しい作り方を知るため、マリーナさんはインターネットで冷凍のお餅を注文することにしたという。しかしこの試みは成功しなかった。「がっかりしたことに、解凍してみると、溶けたように生地が餡から取れてしまったんです。正しい作り方を知った後、そのときのお餅の生地はちゃんと作られていなかったのだと分かりました」。

 しかしマリーナさんはそんな苦労を今では笑顔で思い出す。そして、お餅に関するすべてのことは彼女にも、そして客にもプラスの感情しかもたらさないと話す。「お餅づくりは一種のストレス発散なんです。スライムのような触感の生地を作った後は、一言で言えば、スッキリするんですよね」。

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