シンプルな「さくら」という名のロシア第1号となる日本食レストランがモスクワにオープンしたのは1980年代のことであるが、当時、ソ連市民の間で日本食はそれほど人気は出なかった。レストランを訪れたのは主にモスクワに住む日本人または外国人だけであった。結局、このレストランの経営は長くは続かず、ソ連邦崩壊後、閉店した。
しかし今やその状況はすっかり様変わりした。ほとんどのロシア人にとって、お寿司を食べない週末やパーティなど考えられなくなっている。とりわけロシア人が好むのが寿司ロールである。しかも、この寿司ロールにはあっと驚くようなものが具材として入っており、まったく日本のものとは異なっていたりする。
そしてシェフたちはまだまだその独自路線を極め続けており、まさに驚異的なものを作るようになっている。
2011年、エカテリンブルクでは当時のギネスブックの記録を塗り替える世界最長の寿司ロールが作られた。その長さはなんと2521メートル!!
記録を樹立したレストランの代表を務めるチムール・シトディコフさんは、「このイベントは15時間かけて行われ、60人のシェフが参加しました。お寿司には、お米1.5トン以上、海苔1万4000枚、胡麻23キロを要しました。そして、びっくりなのがきゅうり。なんと500キロも使いました」と話している。
寿司ロールが完成したあと、主催者たちは、見学者やショッピングセンターの来館者たちにこの特別な寿司ロールを振る舞った。また寿司ロール作りのワークショップも行われ、希望者らが参加した。
もう一つ、お米を使った日本のおいしいものといえばおにぎりだが、ロシアでは最近これが人気となっている。もっとも長い寿司ロールで記録を打ち立てたエカテリンブルクでは、今年の春、おにぎりが盗まれるという事件が連続して発生した。
犯人は13歳の少年で、30〜40店の食料品店で万引きをしたのだが、盗んだのは三角おにぎりだけだったという。しかも少年はまったく防犯カメラを気にしておらず、すぐさま警察に捕まった。報道によれば、少年が盗んだおにぎりの数はおよそ300個、金額にして4万ルーブルだったとのこと。
少年はおにぎりを盗んだ理由について、「おいしすぎて・・・俺の麻薬だ」と話している。
ロシアの新記録が達成されたのはモスクワ郊外のシェルコヴォ市。その寿司ロールの重さはなんと302キロ!!寿司ロールには220キロのお米、18キロのサーモン、40キロのクリームチーズ、40キロのズワイガニ、8キロのとびこが使われ、調理には8時間かかったという。
その作業は容易なものではなかった。寿司レストラン「そこ」のオーナーでシェフのニキータ・アンドレーエフさんは、「重くなるにつれて、不安定で崩れそうになり、円柱の形を保つようにするのがとても難しかったです」と語っている。
記録を達成したあと、巨大寿司ロールは日本刀で8等分にカットされ、レストランのチェーン店で振る舞われた。
寿司トランバイ(動画)
最近、インターネット上に、モスクワ中心部(コテリニチェスカヤ河岸通り)に寿司の路面電車が走っている動画が投稿された。動画の投稿元は、人気の寿司レストラン「ムノーゴ・ロソーシャ(サーモンたっぷりの意)」のテレグラム・チャンネルで、そこでこの動画は「この寿司はどこに向かうのか?」という疑問文と共に公開されている。
ユーザーからは、「寿司トランバイは走っているけど、その影が見えないね」との指摘の声も上がっている。 そう、動画はコンピュータ上で作られたもので、のちに 3D デザインスタジオがこの動画の種明かしをした。
でも、今のロシアの寿司フィーバーを考えれば、モスクワの通りに本当にこんなトランバイが走っていても不思議ではないかも。
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