ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相とアメリカのレックス・ティラーソン国務長官=
ロイター通信セルゲイ・ラブロフ氏のワシントン訪問は、4月11日のレックス・ティラーソン氏のモスクワ訪問をそのまま鏡に映すようなものとなった。その際、同国務長官は、ラブロフ氏に続いてウラジーミル・プーチン氏と会談したが、今回、ラブロフ氏は、米国の外務担当大臣に続いてドナルド・トランプ氏と会談した。
ロシア国際問題評議会のアンドレイ・コルトゥノフ会長は、ロシアの有力電子新聞「ガゼータ・ルー」の取材に対し、トランプ氏とラブロフ氏の直接の会談が単なる表敬の印ではない点を強調し、「国務長官のポストは重要であるものの、米国の外交を牛耳っているのは大統領である。トランプ氏には、ラヴロフ氏を通じて直接に伝えたいプーチン氏への何らかのメッセージがあるのではなかろうか」と述べた。
ラブロフ氏は、首脳会談までに「具体的で目に見える成果」を準備すべくシリア問題をはじめとする諸問題を詳細に検討する必要がある点を強調し、私とレックス・ティラーソン氏がこれに取り組むと述べた。
記者会見で、アメリカのジャーナリストらは、ジェームズ・コミー連邦捜査局(FBI)長官の解任(アメリカのメディアの一部は、米国での選挙へのロシアの介入の疑惑をめぐるFBIによる捜査と今回の解任を関連づけている)が露米関係に及ぼす影響について質した。ティラーソン氏との会談の前に、ラブロフ氏は、記者団を揶揄するように「彼が解任された? ご冗談でしょう!」と訊ね返した。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、5月10日の晩、CBSNの女性ジャーナリストの質問に応えて(その際、プーチン氏は、アマチュアのアイスホッケーの試合に出場するためにリンクへ出ていた)、コミー氏の解任は米国の内政問題でありロシアには何の係わりもない、と述べた。一方、ラブロフ氏は、アメリカの選挙へのロシアの介入に関する噂について協議することを拒否し、そうした噂は事実に合致しない「狂騒(バッカナリア)」であると述べた。トランプ現政権とオバマ前政権を比較しつつ、セルゲイ・ラブロフ氏は、トランプ政権になって露米対話が脱イデオロギー化した点を強調し、「トランプ氏およびその陣営は、合意を欲する行動の人々である」述べた。
自身の記者会見で、ラブロフ氏は、シリア問題に最も大きな注意を割き、米国がシリアにおける安全地帯(戦闘は禁止される)の設置に貢献しうる点を強調した。同氏は、そうした地帯がどこに設置されるべきかやどのように機能するかについての相互理解が露米間に存在する点を指摘したうえで、露米両国にはシリア問題で協力する用意があるとし、「シリアにおいて米国にとって重要なのは、テロルに勝利することである。両国は、この面で完全に連帯している」と述べた。
ラブロフ氏とトランプ氏は、2016年12月にオバマ政権によって導入された一方的な対露制裁については協議しなかったものの、ラヴロフ氏は、その際に実施されたロシア人外交官らの資産の凍結が違法であることを米国は認識していると述べた。
ドナルド・トランプ氏は、今回の会談に満足していると語り、露米関係を改善したい意向を表明する一方、ホワイトハウスの報道官の公式の声明から判断して、ロシアにはシリアにおいてアサド政権およびイランを「牽制する(トゥー・レイン・イン)」必要がある点を強調し、声明では、「また、同氏は、中東その他の地域での紛争の解決におけるより幅広い協力の可能性を示唆した」と述べられている。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。