AFP/East News撮影
-アサド大統領閣下、今日の喫緊の問題についてお伺いします。シリアの現状はどのようなものでしょうか。どの地域が反体制派の支配下にあるのでしょうか。
テロリストの支配下にある地域、または軍(政府軍)の管理下にある地域を明確にわけることはできません。世界のいかなる国のいかなる軍隊も、自国の全領 域で完全な即応態勢を維持することは無理で、テロリストはこれを利用して、軍隊不在のあらゆる地域に侵入しようとしてきます。テロリストがいる地域は毎日、毎時間変わっています。問題は外国から多数流入している義勇兵です。
軍事活動を続けている主な理由は、シリア国内に外国のテロリストが潮の如く押し寄せているからなのです。さらにテロリストに対する、外国からの資金援助や武器供給も続けられています。
-このインタビューは何ヶ国語にも翻訳され、世界の最高指導者も読むことと思います。何かおっしゃりたいことはありますか。
テロとは、自分の欲求に従って、ポケットから出し入れする切り札ではありません。テロとは突然かみつくサソリなのです。したがってシリアのテロを支持してマリ共和国のテロに反対したり、チェチェン共和国のテロを支持してアフガニスタンのテロに反対したりしてはならないのです。
-先週水曜日、化学兵器を使用したとして、反体制派がシリア政府を非難しました。そして西側諸国の最高指導者はすぐにこれに反応しました。これについてどのようにお答えになりますか。
これはナンセンスです。最初に非難を表明して、後で証拠を集めようとしているのですから。先週水曜日にシリア政府は非難されましたが、その2日後にアメリカ政府はようやく証拠集めを始めると発表したのです。
反体制派の管理下にある地域で、軍が化学兵器を使用したとして、非難を受けています。ですが、この地域では、軍と反体制派の前線を明確にわけることはでき ないのです。自国の軍が集中している地域で、国が化学兵器や大量破壊兵器を使用できると思いますか。したがってこれは政治にすぎないのです。
ここ数週間、我々は国連調査委員会と協議を続け、ようやく専門家がシリア入りしました。調査結果は国連に提出されます。
-アメリカがシリアへの軍事介入の口実を見つけ、イラクと同様の活動をシリアで行おうとしたらどうしますか。
シリアへの軍事介入の問題は、これまで何度も持ちあがっています。紛争が始まってすぐに、アメリカ、フランス、イギリスは軍事介入しようとしましたが、 それぞれの国民や世界に、そのような政策が賢く有益であるとは評価されませんでした。また、シリアの状況は、エジプトやチュニジアの状況とは異なります。
もう一つ軍事介入の障壁になっているのは、これが市民革命や改革の要求ではないと誰もが理解していることです。これはテロです。西側の最高指導者はこの状況下において、「テロを支援するためにシリアに向います」とは言えないでしょう。
-ロシアについてのご意見をお伺いします。ロシアが西側諸国の圧力に屈したらどうしますか。
ソ連が崩壊して、アメリカはロシアが完全に滅んだと思ったでしょう。ですがウラジーミル・プーチン大統領が就任してから、ロシアは自国の立場を強固に守り続けています。その結果、新たな冷戦が始まりました。
ロシアがなぜシリアを支持しているのか、疑問に思う人もたくさんいるでしょう。ロシアは今日、バシャール・アサド大統領を擁護しているわけではありませ ん。シリア国民は好きな大統領を選ぶことができるのですから。ロシアは独立を重視し、外国による内政干渉を容認しないという、独自の原則を貫いています。
さらにロシアは中東での自国の利益とその権利を守っています。利益とは、タルトゥース港に限りません。テロリストがシリアを攻撃すると、中東全体が不安定になり、それがロシアにも波及してしまうのです。ロシア政府は西側諸国の多くとは異なり、これを理解しています。
-ロシアからの燃料、製品、兵器の供給について、協議が行われているのでしょうか。特にS-300防衛システムの供給契約についてお伺いしたいのですが、すでに納入済みでしょうか。
自国の軍備や兵器の供給契約とは、国家や軍の機密ですから、公表する国はありませんね。
ですがロシアと結ばれた契約は、すべて履行されていると申し上げておきたいです。シリアの紛争、またアメリカ、ヨーロッパ、湾岸諸国の圧力によって、履 行不能になっていることはありません。シリアの防衛およびシリア国民の保護に必要な物は、ロシアからシリアへ供給されています。
-シリアはロシアからどのような支援を期待しているのでしょうか。経済的支援でしょうか、それとも軍事的支援でしょうか。
ロシアの政治的支援、またアメリカからの圧力にもかかわらず履行されている軍事契約は、シリアの経済状況を大きく改善しました。
-大統領閣下、シリアの重要な同盟国と、その反対の国をあげていただけますでしょうか。
国際舞台でシリアと協調しているのはロシアと中国で、中東地域ではイランです。しかしながら、世界では自国の立場を変え、シリア側に歩み寄る傾向が見られるようになってきています。
シリアのテロリストを堂々と支援した国もあります。これはカタールとトルコです。カタールはテロリストのスポンサーで、トルコはテロリストの訓練を行 い、シリアに送りこんでいます。サウジアラビアは現在、カタールに代わって我が国のテロリストに資金援助をするようになりました。
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