「ロシアの季節」 まもなく日本で開幕

アンドレ・コンチャロフスキー監督、5月25日

アンドレ・コンチャロフスキー監督、5月25日

=ウラジーミル・トレフィロフ/ロシア通信
 海外にロシア文化を広く紹介する大型プロジェクト「ロシアの季節」。プーチン大統領の肝いりで、6月から1年間にわたり、日本で開催される。オープニングを飾るのは、バレエの殿堂、ボリショイ・バレエ団の日本公演だ。5月25日、開幕直前を目前に、政府関係者や、ロシア映画界の重鎮、アンドレイ・コンチャロフスキー監督、ボリショイ・バレエ期待の新星デニス・ロジキンらが参加して、モスクワで記者会見を開いた。

 「ロシアの季節」を担当する、ロシア文化省のアレクサンドル・ジュラフスキー次官が記者会見で述べたところでは、「ロシアの季節」は250以上のイベントを含み、1年間にわたり日本各地の42を超える都市で行われる。このプログラムのイベントの観客は計300万人以上に達すると見込まれているという。

「ロシアの季節」とは

 「『ロシアの季節』の趣旨は、1年間にわたり、ロシア最高の芸術団体、ソリスト、演奏家らが次々にある一つの国を訪れることで、その国民が1年間ロシア文化とともに生きることになる、という点にあります。現在、露日関係がどんどん発展していることを考えると、こういう文化的プレゼンスは極めて重要であり、とても有意義なプロジェクトになると思います」。ジュラフスキー次官はこう説明した。

 これに関連して、アンドレイ・コンチャロフスキー監督(ニキータ・ミハルコフ監督の実兄)は、「ロシアの四季」の名称と企画が、かの大芸術プロデューサー、セルゲイ・ディアギレフの「セゾン・リュス(ロシア・シーズン)」にコンセプトにもとづいている点を指摘しつつ、こう述べた。

「『ロシアの季節』を世界中で開催するというアイデアは、現在、特に重要になっています。今、世界では、ロシア人とロシアに関係するものすべてに、完全にネガティヴなイメージを与えようとする、考え抜かれた戦略が展開されているのですから。…『ロシアの季節』は、ロシア人が戦車を作れるだけでなく、“バラを咲かせる”こともできるのを示してくれるでしょう」

日本開催の意義

ではなぜ『ロシアの季節』が日本で開催されることになったのだろうか?

ジュラフスキー次官は、「日本は『日いづる国』ですから、何かプロジェクトを始めるときには、日本から始めて、だんだん西に移ってくるようにしなければなりません」とジョークを飛ばした後、これがプーチン大統領の意思であることを指摘した。

 「しかし、どこの国から始めるかについては優先順位というものがあります。それはイニシアティブをとるべき人、つまりプーチン大統領が、日本こそが『ロシアの季節』を開始する最初の国であるべきだと決定したのです」

40年にわたる日本との縁

 しかし、「ロシアの季節」開催は、政治的、経済的理由だけで決まったのではない。露日の長く深い文化的交流も重要なファクターだ。

コンチャロフスキー監督は、日本との縁が浅からぬ人物であり、若いころから、盟友アンドレイ・タルコフスキー監督とともに、日本の名匠、黒澤明、小津安二郎などに私淑していたという。

 「私にとって日本は、世界芸術の宝庫の一つです。…私とタルコフスキーは、日本の映画芸術をできるかぎり詳しく研究しました。黒澤や小津は、我々にとっては世界最高の偉大な監督です。…黒澤さんとは一緒に映画を製作したことがありました(1985年に、黒澤明の原案にもとづき、アメリカで『暴走機関車』を製作――編集部注)。それでお付き合いさせていただいたのですが、彼は私に寿司を握ってくれました。あの黒澤さんが寿司を握ったんですよ!…それからかなりウオッカの『ストリーチナヤ』を飲み、レーニンについて熱い議論になったりしましたっけ」

ボリショイ・バレエ団の日本公演で開幕

 「ロシアの季節」は、6月にボリショイ・バレエ団の日本公演で幕を開ける。期待の新星、デニス・ロジキンも、大きな期待感を表した。

 「日本での『ロシアの季節』オープニングに参加できるのは、私たちにとって大きな名誉です。すごくどきどきしてますし、たいへん光栄なことです。ですからバレエ団はすべてを挙げてこのイベントのために準備を行っています。わがボリショイ劇場は、最高のレベルの舞台をお見せするために全力を尽くします」

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