サイベリアンはもっともよく知られたロシア原産の猫である。この猫は、第一印象では、1日中森で狩りをし、それが終わると飼い主のところに戻り、可愛がってもらう。ロシアでは野生のサイベリアンに出会うこともあり、人間のペットであることよりも自由でいることを絶対にあきらめたくないように見える。しかし、この記事を読むと、彼らとも仲良くなれること請け合いだ!
サイベリアン猫は遅くとも17世紀には知られていたと考えられている。厳密に言うと、昔はシベリアから中央ロシアに持ち込まれた猫はすべてサイベリアンと呼ばれていた。当時はもっともよく見かける猫で、体色も様々で、長い毛を持っているのが特徴であった。この猫の先祖はアジア(ブハラ)猫で、シベリア入植者のネズミ対策のために商人によって持ち込まれた。そして数世紀を経て、猫は寒い気候にも適応し、特徴的な長い毛並みを持つようになった。そしてネズミをもっともよく獲ってくれる猫として知られるようになり、このサイベリアンは全国に広まった。
サイベリアン猫がソ連で正式にひとつの猫種だと認められたのは1980年代後半になってからである。1992年になって、国際機関によって最初のロシア原産の猫だと認められるようになった。この猫種の特徴は、大きくて重いこと、そしてふさふさの毛と丸い頭である。体色は様々で、ぶち、単色、錆び色などがいる。サイベリアンは、ふさふさ毛の「ズボン」と胸部の「シャツ前」が特徴的である。眼は明るい緑であることが多い。専門家は、この猫種をサイベリアン・フォレスト・キャットと呼んでいる。
サイベリアンにはネヴァ・マスカレードと栄誉ある名のついたポイント・カラーの変種がある(ネヴァとはサンクトペテルブルクにある大河で、マスカレード猫にはマスクのような模様が顔にある)。このカラーポイントは何世紀も前に現れ、サイベリアンのこの猫種の特徴のひとつとなった。1989年以降、ネワ・マスカレードはサンクトペテルブルクの養猫場で繁殖されていた。サイベリアン・フォレスト・キャットとは違い、ネワ・マスカレードは青い眼をしているが、性格は通常のサイベリアン猫と変わらない。
サイベリアン猫は飼い猫の中で最も寒さに強いと考えられている。それは長くて厚く、水分を通さない毛を持つからだ。両耳も「断熱効果」が高く、「毛房」がついている。毛皮は猫の脚や体を寒さや氷雪から護っており、零下10度から15度にもなる戸外でも平気だ。同時に、彼らの毛皮は、家にいるときも問題にはならない(もちろん、生え変わりの時は別)。
サイベリアン猫はその特徴的な四肢や尻尾のために大柄である。大人になるとメスでも5-6キロになるが、オスだと10キロにもなり、中には12キロになる個体もある。まさにロシアの英雄ボガティリなのだ!
この猫はたとえ家で飼われていても自由であることを好む。だから、いつも飼い主の膝の上でじっとしているのを期待してもそれは無駄だ。猫のエサ代や遊び道具代を稼ぐために飼い主が仕事をしている間も彼らは忙しくしている。サイベリアンは人見知りをするので、誰にでも触らせることは滅多に無い。外に出かけたと思うと、かならず「贈り物」を持って帰って来てくれる。彼らは優れたハンターなのである。魚を捕まえることすらある!
自分のテリトリーをはっきりさせる性格であるにもかかわらず、サイベリアン猫は家族の結びつきを大事にする。父親猫は母親猫と同じように子供たちの面倒を見る。人間の子供のことも好きで、自分の子どものように守ろうとする。ソーシャルメディアには彼らが赤ちゃんを「あやしている」可愛い動画がたくさんアップされている。マーシャという名のサイベリアン猫の話を聞いてことがある?このメス猫はアパートの敷地に置き去りにされた生まれたばかりの赤ちゃんを見つけ、寒さで凍える赤ちゃんを自分の体で暖めて命を救い、鳴き声で助けを求めたのだ。
サイベリアン猫の大きな特徴のひとつはその高い知性である。シベリアの厳しい自然環境で生き抜くためには、考えて行動する力が非常に重要であった。人間が何を期待しているか理解できるし、「持ってきて」などの命令も覚え、ドアを手を使ってあけたり、電気を消したりすることも出来る。この猫は争いを避ける傾向にあり、多くの場合は戦わないで隠れてしまう。
飼い猫に今日あったことを話しかけたいって?もちろんわたしたちもそうだ。サイベリアン猫は人間の話すことに耳を傾けてくれるだけでなく、鳴き声で相づちを打ってくれる。しかも状況によって声色を変えて。仕事が大変だった日は、猫は同情的な声を出してくれるし、いい日だと、幸せそうな声で応えてくれるのだ。まるで会話をしているように感じることがあるのだが、科学者によれば、サイベリアン猫が人間について実際どう思っているかはまだわかってないようだ。ニキファという猫は、調理コンロの上で寝そべるのは禁止されているが、飼い主と最後まで言い合っているようだ。こちらの動画をチェックしてみて。
エルミタージュ美術館のサイベリアン猫
Legion Mediaチュメニ市の中心部に、サイベリアン猫に捧げられた広場がある。ここは、第二次世界大戦中のレニングラード封鎖を記念してつくられた。ロシアの有名なエルミタージュ美術館は、かつてネズミに悩まされていたことがあり、価値ある収蔵品が被害にあっていた。そのため、ソ連の他地方の市民がこれを助けようと、自分の町の中に猫を持ち寄る場所をつくったのである。その最大の場所のひとつがチュメニにあり、チュメニ、オムスク、イルクーツクから5,000頭にもおよぶサイベリアンが集められて列車でレニングラードに運ばれた。このおかげでネズミはすべて駆除され、これらの猫の子孫が今でもエルミタージュ美術館で暮らしており、ネズミ対策を担っている。この驚くべき物語はこちらから。
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