ひと組のトランプを切って、左側にいる人から順に一枚ずつカードを6枚配る。ロシアで有名なトランプゲーム「ドゥラーク」を楽しもう。
路上でトランプで遊ぶホームレスの人、19世紀末
Sputnikこのゲームについての公式な記録が初めて登場するのは帝政ロシア時代にさかのぼる。18世紀終わりにロシアで出版された「Расчетистый карточный игрок」(打算的なトランプ遊び)という本の中に、他のトランプゲームとともにドゥラークについての記述がある。
しかし、この本の著者がドゥラークを考え出したわけではない。本ではこのゲームのルールが説明されているだけだが、すでにこの時、ロシア帝国の上流階級はポーカーやブリッジ、一人遊びトランプゲームをしていた一方で、ドゥラークは、国じゅうの農民や庶民階級の間で広まっていた。
おそらく、ドゥラークは、ルールがとても単純であるため、貴族階級には物足りず、お金を賭けたり、また、純粋に楽しみのためにカードゲームに慰みを感じていたあまり教養のない人たちにより広く受け入れられた。
20世紀に入り、ロシア革命が起こった後、ゲームの人気は急速に高まり、子どもを含め、文字通り誰もが遊び方を知るまでになった。
現在はやや人気が衰えているようにも見えるドゥラークであるが、それでも、多くのロシア人にとって若いうちから遊び方を知っている、人気のトランプゲームであることには変わりない。
ポーカーと同じように、遊び方には何種類かある。しかし、どの遊び方にもいくつか共通の特徴がある。
プレーヤーは2人以上だが、参加者が多いほど、よりダイナミックに楽しめる。
ドゥラークは4種類のスートのエースから6までの36枚のカードを使って遊ぶ。それぞれの参加者には6枚ずつカードが配られる。親の左側の人から時計回りに、1枚ずつカードを受け取る。
全員にカードが配られたら、残ったカードを一枚めくり、全員が見えるところに置き、残りをそのカード全体が少し見えるようにカードの上に置く。少し見えるカードのスートがその回の切り札スートとなる。切り札スートのカードであれば、たとえ数が小さくても、他のスートのカードを「打ち負かす」ことができる。
もっとも数の小さい切り札スートのカードを持つものからゲームを開始する。その人は、そのカードを他の人に見せなければならないが、他の5枚のカードは見せる必要はない。そして、場の中央に好きなカードを出して攻撃する。左側にいる人が防御者になり、同じスートでより高いカードを出すか、切り札スートのカードを出すことによって防御する。
勝負の後、 攻撃者は次の攻撃に移ることが出来るが、使えるカードは攻撃者か防御者のどちらかが場に出したカードと同等のものでなければならない。最初の攻撃者の番が終わると、左側にいる防御者が次の攻撃者になって同じく攻撃していく。攻撃からうまく逃れることが出来ると、場に出されたカードは「打ち負かされた」ことになり、次のゲームまでが始まるまで除外される。防御者は手持ちのカードが6枚になるように場に積まれたカードから補充し、今度は攻撃者になり、その左側の人が防御者になる。攻撃するプレーヤーはいずれも次のゲームが始まるまでに場に積まれたカードから手持ちを補充する。
もし、防御者がすべての攻撃から防御できなかった場合は、場のカードを全部回収して自分の手持ちに加えなければならない(この場合手持ちカードは6枚以上になる)。
そして、この時、最初にめくられたカードは場に積まれたカードに組み入れられることになる。
ゲームは、手持ちのカードを出来るだけ早くなくした者が勝つ。最後までカードを持っている人は、ドゥラーク、すなわち馬鹿者と呼ばれる。楽しく遊ぶカードゲームでは、負けても、馬鹿者と呼ばれる以外に罰則は設けられない。そして馬鹿者が次の回の親になる。
ソ連時代に広く使われたトランプに描かれた最後のロマノフ家の人々を知りたいならこちらからどうぞ。
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