この雪のチャレンジが始まったのはロシア南部のクラスノダール地方。雪がほとんど降らないクラスノダールでは、普通雪が降ってもすぐに溶けてしまう。今年の冬のロシアは通常よりも寒かったが、地元の人々の中には、なぜこの地域では雪が溶けないのかを調べようとした人がいたのである。
「典型的なクラスノダール」というインスタグラムのアカウントが1月12日に投稿したこの動画には、庭で雪玉を作り、それをキッチンライターで燃やそうとする男性が映し出されている。ライターで火をつけて40秒ほどしても、雪は溶けず、ただ炭になるだけである。「雪ならどうなるはずだろう。溶けるはず」と彼は言い、溶けないのはきっと雪の中に化学薬品が含まれているからだと付け加える。
この動画は瞬く間に大量の人に再生された。そして同じ地方の住人たちも、自分たちの家で雪を燃やそうとした。実験をした地元住民の1人は、「冗談ぬきで、雪の一片が手に落ちたのですが、それは本当にプラスチックのようでした」とコメントしている。
雪の驚くべき化学成分に対する関心は隣接するロストフ州にも広がった。「雪が溶けないというクラスノダールの動画を見て、わたしも調べてみようと思ったのです」とある女性は書いている。「プラスチックのボトルが焼けたような匂いがしました。見事なケムトレイルです」。
この雪チャレンジは同じくロシア南部のヴォルゴグラードでも繰り返された。「雪がプラスチックだというクラスノダールとロストフの動画を見て、同じ実験をヴォルゴグラードでもやってみようと思いました」と語るのは、雪玉を作り、燃やす女性。「本当に雪は溶けないのです。こちらもプラスチックの雪であることが分かりました」。
実はこの実験、簡単に説明がつくものである。雪玉は圧縮されているので、熱伝導率が高い。そして雪玉全体が融点に達するまで、雪の粒が落ちることはないので、雪が溶けないという印象が生まれるのである。すすが出て、「プラスチックのような」においがするのは、ライターのガスによるものである。「物理学をちゃんと勉強していないと、生活には魔法のように不思議なことがたくさん起こるものだ」というのが、この動画を見たロシア人の反応である。
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