突然の降雪は、都市の交通機関の故障の原因になることがある。道路は雪に埋まり、自動車は雪だまりにはまり、バスは白い雪煙の中、立ち往生する。しかし、ロシアの列車や電車はどんな吹雪や雪嵐がきても、きわめて稀なケースを除いて、走り続ける。鉄道も雪の影響を受けやすいヨーロッパやアメリカの国々と異なり、ロシアの鉄道は、冬でも、もっとも信頼できる移動手段の一つである。ではその理由とは何なのだろうか。
鉄道の除雪作業
Maxim Blinov/Sputnikロシアの多くの地域において、降雪と寒い冬は例外なく毎年訪れるものである。そこで、鉄道では、天候に応じた線路からの雪や氷の除去に関しては厳しい規定が定められている。毎晩、鉄道の地球観測ステーションが翌日の天候を予測し、吹雪や湿った雪が予想される場合は鉄道駅の駅長らが時宜良く、線路および除雪車の清掃作業を行わなければならない。悪天候の警告は最低でも2時間前には知らせることになっている。
規則では、一晩に積雪が5㌢を超え、また秒速10㍍の吹雪が3時間続くと危険が生じるとされている。
ウラル、シベリア、極東、また北方およびオクチャブリスカヤ支線では冬の季節は早く始まり、長く続くとされている。このほか、降雪の度合い(一冬の一回の積雪が10㌢までと25㌢以上)によって、地域が区分されている。規則では、もっとも雪深いのは西シベリア鉄道、それから南ウラル、クラスノヤルスク、サハリンと続き、もっとも雪がすくないのはザバイカリスカヤ鉄道とされている。モスコフスカヤ、プリヴォルジスカヤ、北カフカスはその中間ぐらいである。
モスクワとサンクトペテルブルクをつないでいる「サプサン」高速列車
Maxim Blinov/Sputnik線路を雪に埋もれさせないようにする一番よい方法は、樹木を植えることである。木が植わっていないところには、防雪柵(木製あるいは鉄筋コンクリート製)を立てる。木や柵の数量は、鉄道のタイプによって異なる。たとえば、雪の被害が少ない鉄道では、1列の樹木で十分であるが、雪深い地域になるとこれが4列必要となる。毎年、10月にはこの樹木や防雪柵をすぐに機能できる状態に整備し、必要な数にしておかなければならず、これらの状態は常に特別に管理されている。
除雪列車CM-2、ノヴォシビルスク鉄道駅
Alexander Kryazhev/Sputnik鉄道では職員らが転轍を操作しており、どんな降雪のときにもまずは転轍器の除雪を行う。しかも除雪作業は雪が降り始めた瞬間に開始することになっている。除雪機を行うことが多いが、手ですることもあるという。
線路の除雪には除雪列車が使われる。除雪列車は時速5キロから10キロで走行し、走行速度は雪の量によって変わる。
強い雪が止んだ後は、3昼夜の間に駅と線路の除雪を終えなければならない。また駅の職員らは、乗客が滑って転ばないよう、通路の雪をきれいにする。冬が終わると、すべての設備を整備し、また10月には正常に機能するようにしておかなければならない。ロシア鉄道の南部の支線では、冬支度は11月に始まる場合もある。
気温が非常に低くなった場合には、列車の運行時刻に影響が及ぶ場合もある。たとえば、マイナス40℃ になった場合は時速60キロまでスピードを落とすよう勧告されており、これが運行の遅延につながることがある。
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