«Тоже мне подарок!»:ロシア語でひと味違った意見の言い方をしてみよう

Alena Repkina
 今回は、(肯定的、否定的…)評価を表す構文について説明しよう。評価を表す構文などと言うと、難しそうに聞こえるかもしれないが、根拠を示す議論や意見交換はそれなしでは済まない。

 マルチタスクの能力は、現代では宗教のように崇められる。渋滞に巻き込まれて、仕事のメールに返信しながら、付属のオーディオブックの音量を調整する。片手でコンロ上の夕食をかき混ぜ、片手で子供の宿題を直し、目の隅でテレビのお気に入りのトークショーを見る。

 メカニズムとしての言語は、マルチタスクの原則にも沿っている!1つのフレーズで、外的状況を説明するだけでなく、評価(好き/嫌い)を表現し、しかも、もし相手と意見が違った場合には、相手を説得することもできる(つまり、「私は正しいが、君はそうじゃない」という意味を込められる)。 

 例として、«Говорю тебе, Ванечка стал выше!»(いいかい、ワーニャは背が伸びたんだよ!)というフレーズを見てみよう。ここでは、「ワーニャは背が伸びた」は、事実だ。また、イワンという男子の名前の愛称形「ワーニャ」が使われているが、これは、話者のシンパシーを示している。さらに、導入の「あのさ」「いいかい」(文字通りに訳すと「私は君に言う」)は、よく使われる言い回しだ。その機能は、伝えられた情報の信頼性を強調し、それによって相手に自分が正しいことを保証すること。

 話者は、フレーズの「小箱」にいろんな意味を詰め込んでいる。だから相手は、それを注意深く開けば開くほど、意味がよく分かってくる。B1-B2レベルでロシア語を一生懸命学んでいる学生は、「好き、好きじゃない」«Мне нравится» / «Мне не нравится»みたいに月並みでない表現がいかにたくさんあるか知っている。

 肯定的な評価と否定的な評価を表す、いくつかの「多機能」表現を考えてみよう。これらは口語的なロシア語でよく使われる。ただ、個々の要素の意味からは、実際の意味が予想できないので、誤解を招きかねないが。

1. «Чем не подарок?» (いい贈り物じゃないか)

 - Зря мы купили Игорю путеводитель по Италии на праздник.

(イーゴリの休暇のためにイタリア旅行案内なんて買うべきじゃなかった)

- А чем не подарок? Он скоро едет в Рим, ему пригодится.

(いい贈り物じゃないか。彼はもうすぐローマに行くんだから、役に立つさ)

 疑問文 «ЧЕМ НЕ + 名詞主格 ?» (どのような点でそれは〇〇でないというのか?→それは、ちゃんとした、いっぱしの〇〇だ)は、相手が何か疑問を呈した場合に、それに答える反語的な疑問文だ。相手を説得して思い直させ、自分の意見の正しさを証明する。ふつうは、これを言った後にすぐ、自分の正しさを裏付ける根拠を述べる。

 変化しない部分、 «ЧЕМ НЕ» の後に、任意の名詞(主格)が来る。与格の代名詞が追加されることもある(たとえば、 «тебе 君/вам あなた»)。

- Мне не нравится Вася!

(私はワーシャが好きじゃないの!)

- Чем тебе не пара? Работа есть, квартира есть, не курит, не пьет!

(いいパートナーじゃないか。仕事はあるし、アパートはあるし、酒もたばこもやらないしね!)

 «ЧЕМ НЕ + 名詞主格 ?» という、いわゆる「迂言法」の構文で話者は、話題となっているものが、話者の意見では、完全に基準に合致していることを主張するわけだ。迂言法とは、あることを単一の語句で表現せず、2つ以上の語句で間接的に、あるいは回りくどく表わすこと。 

 «Чем не подарок?» は、 «Я думаю, это хороший подарок, тебе тоже следует так считать»(私は、それはいい贈り物だと思う。君もそう考えるべきだよ)のような意味になる。

 «Чем тебе не пара?» = «Я думаю, что он подходящая пара для тебя, и ты тоже должна так думать»(私は、彼が君にふさわしいパートナーだと思う。君もそう思うべきだよ).

イワン : Настенька! Милая, выходи за меня замуж.(ナースチェンカ!僕と結婚してよ)

ナースチェンカ: Ишь какой быстрый!(まあ、ずいぶん早いのねえ)
イワン: А чем не жених? Не косой, не рябой.(立派な花婿じゃないか。やぶ睨みでも痘痕面でもないしさ)
ナースチェンカ: Это верно, да вот только я-то тебе не пара.(そりゃそうだけど、私はあなたにふさわしくないと思うわ)
イワン: Почему?(なぜさ?)
ナースチェンカ: Хвастаться не умею. Вот.(私は、〈あなたと違って〉自慢が苦手でね)

*ナースチェンカは、イワンが自分の美点を並べているのを軽く皮肉っている。
[アレクサンドル・ロウ監督、ミハイル・ヴォリツィン&ニコライ・エルドマン脚本。映画『モロスコ』(1964)]

2. «Город как город» (ごくふつうの都市だよ)

- Игорь, как тебе Рим?

(イーゴリ、ローマはどうだった?)

- Да ничего, город как город. Народу много, шумно, но еда – вкусная!

(まあまあだね。ごくふつうの街だよ。人が多くて賑やかだが、食事はおいしかった!)

  イーゴリはこう言いたいのだ。ローマは他のすべての大都市と似たり寄ったりで、特別な印象は受けなかった、と(もちろん、これは奇妙だけれど、それが彼の個人的な意見だ。大多数の意見とは違うかもしれないが)。

 構文 «名詞 + КАК + 名詞» は簡単に使えて、 «Так себе»(まあまあだ、ふつうだ)の別バージョンになる。

 構文中の名詞は通常、主格だが、前置詞+名詞の前置格で、場所、ケースを示すこともある。 この場合も、構文の意味は同じだ。つまり、その場所、ケースでは、すべてが通常そうであるように生起した、という意味になる。たとえば、 «На войне как на войне»(ふつうの戦時中の状況だった).

オーリャ: Ничего плохого не вижу. Девочка как девочка. 

И даже очень красивая, со всех, со всех сторон.(ぜんぜん悪くないと思うな。ふつうの女の子じゃない。どこから見てもきれいだしね)

 [アレクサンドル・ロウ監督、ヴィタリー・グバレフ&レフ・アルカージエフ脚本。映画『歪んだ鏡の王国』 (1963)]

3. «Тоже мне путешественник!»(あれで旅行者とはね!)

- Игорь вернулся! Представляешь, ему не понравился Рим!

(イーゴリが帰ってきたよ!ローマが気に入らなかったんだってさ!)

- Тоже мне путешественник! Он, наверное, из отеля даже не вышел.

  (あれで旅行者とはおこがましい!彼はたぶんホテルから一歩も外に出なかったんだろうね)

 友人たちは、イーゴリがローマから然るべき印象を受けなかったことに心底驚いている(たぶん我々と同じく)。そして彼らは、友人の無知に憤慨し、彼はダメな旅行者だ、旅行者失格だと言った。

 ここでは、すべての感情が «Тоже мне + 名詞!» という構文に込められている。話者はこれを次のような場合に使う。評価の対象になっている事物が標準を下回っている場合、必要な機能がすべて備わっていない場合、またはまったく対応していない場合だ。

 «Тоже мне путешественник!»

(君はそれでも旅行者か!)

 = «Если ты нормальный путешественник, то Рим тебе понравится»

(もし君がまともな旅行者なら、ローマは君の気に入っただろう) 

 批判、非難、皮肉がふつう感情的な色彩をともなって示される。

 このネガティブな判断を示す構文では、変化しない部分 «Тоже мне» が、変化する部分――名詞あるいは形容詞(主格であることが多い)、さらには動詞、副詞と結合する。

1) Ты даже не прокатился на американских горках! Тоже мне смелый!

(君はローラーコースターにさえ乗らなかった!ぜんぜん勇気がないね!)

2) Ты сказал, что починишь компьютер, а она завис! Тоже мне помог!

(君はコンピュータを直すと言ってたけど、フリーズしてるじゃないか!まったく助けにならないなあ!) 

3) Мы шли до магазина всего 10 минут! Тоже мне далеко!

(私たちは店までたった10分で着いた!ぜんぜん遠くないね!)

 ただし、ご注意!3つの評価フレーズはすべて、相手を怒らせかねない感情を含んでいる。本音で意見を交わしたのはけっこうだけれど、その後も、イーゴリと友人たちがまだちゃんとコミュニケーションできればいいが…。

[通りで] アレクセイ・トロフィーモフ: Вот эти львы, Вань.(ほら、ライオンだよ、ワーニャ)

ワーニャ: Тоже мне львы. У них и клыков-то нет.(ぜんぜんライオンなんかじゃないよ。牙もないじゃないか) 

[ウラジーミル・ロゴヴォイ監督、ボリス・ワシーリエフ&キリル・ラポポルト脚本。映画『将校』(1971)]

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