1. アシライ
クラスノダール地方にあるアディゲ共和国では、祝日にはアシライを作る。これは牛乳とインゲン豆とトウモロコシ粉で作る濃厚な玉ねぎのスープである。インゲン豆をビーフブイヨンで1時間半ほど煮て、食べる直前に、牛乳とケフィールまたは乳清で薄め、玉ねぎを炒めたものを加える。お祝いのテーブルにどれだけの料理が出てきたとしても、このアシライは必ず食べてみる価値がある。アシライは大量に作り、隣人などに分ける。たくさんの人に分ければ分けるほど、より多くの幸福が家庭にもたらされると信じられている。
2. ズル・ベリシ
タタルスタン共和国ではお祝いのときには、必ずズル・ベリシ、エチポチマク、グバディヤなどのピローグを焼く。お祝いように飾られた特別な蓋つきのピローグがズル・ベリシで、これはタタール語で「大きなピローグ」という意味である。一般的には、牛肉がフィリングに使われるが、特別なイベントでは、鴨やガチョウを使ったり、何種類もの肉を混ぜて使ったりする。またこれにジャガイモや穀物、かぼちゃ、キャベツなどを組み合わせる。
3. グバディヤ
この甘いピローグはタタールスタン、バシキール、チュヴァシ共和国で人気がある。新年に作る場合には、イーストなしの生地で焼かれ、甘いフィリングを入れる。フィリングは、米、卵、牛乳とカティクで作る赤いカッテージチーズ(サクランボまたはビーツで色を着けたもの)で出来ている。リャージェンカで作るカッテージチーズでもよい。フィリングには、レーズンやアンズ、プルーンなどのドライフルーツが加えられることもある。
4. ストロガニナ
ヤクーチヤのお祝いのテーブルには、ストロガニナ―凍らせた魚や肉を薄く小さくスライスしたもの―が出される。魚のストロガニナには、ネルマ、ムクスン、オームリ、チョウザメ、モトコクチマスなどが使われ、肉のストロガニナには仔馬が使われる。
5. コマン・メルナ
マリ・エル共和国で作られる料理。種類の異なる粉で焼かれた3枚のブリヌィで作り、かまどで焼いた平たいパン。その後、太陽のシンボルであるカッテージチーズの丸めたものを上に置く。塩っぱいソースと甘いソースが添えられる。
6. ウアリバフ
オセチア共和国では、お祝いの日には、このチーズ入りの3つのピローグが焼かれる。3という数字は神、太陽のある空、大地を象徴している。ちなみに、新年に焼くピローグには、コインか宝石を入れる。コインか宝石の入った部分が当たった人には翌年、幸運に恵まれると言われている。
7. リブジャ
サワークリームと小麦粉で作ったソースを使った蒸し焼きの鶏肉。トウモロコシとセモリナの濃厚ソースまたは玉ねぎを加えた小麦粉のソースをかけていただく。リブジャは北カフカスの多くの地域でよく食されている。
8. ルィジェム・ザゼグ
ウドムルト共和国では、新年の主なメインディッシュに「ルィジェム・ザゼグ」を作る。この料理の名前は、地元の方言で、「蒸し焼きのガチョウ」を意味する。かつて、ウドムルトの人々が異教を信じていた時代、この料理は大きな祝祭日に、神への生贄として作られたが、現在では、家庭のテーブルにも乗るだけでなく、地元のレストランでも出されるようになっている。お祝いのテーブル用に作るガチョウの中には、白キノコやパール麦などの穀物が詰められる。
9. ペリメニ、ボーズ、クルゼ
ペリメニはシベリアの多くの家庭において、伝統的な新年料理の一つとなっている。また「ラッキー・ペリメニ」といって、中にサプライズを入れておくのも習慣の一つである。ペリメニは、大家族のメンバー全員で、数百個、あるいは数千個作り、冷凍しておく。レシピはさまざまで、氷を入れるという作り方もあれば、3種類の肉を混ぜて入れるというもの、あるいはトナカイの肉を入れるというレシピもある。
シベリア以外でも、各地にそれぞれのお祝いの日用のペリメニがある。それらのペリメニは、ダゲスタンではクルゼ(ひき肉にトマトを加える)、ブリャートでは、ボーズまたはブウズ(ひき肉に脂身を入れる)と呼ばれる。
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10. マヒスィマ
ロシアの多くの家庭では、新年にはシャンパンを飲むが、北カフカスのアディゲ人たちは、アルコール度数の低いマフスィマというお酒を飲む。このお酒は、トウモロコシとキビの粉で作られ、蜂蜜とホップとスパイスが加えられている。