エチポチマク: タタール遊牧民のファストフード(レシピ)

ユリヤ・ムリノ
 遊牧生活を送るタタールの人々はステップ地帯の中を長距離移動していた。三角形の小さなパイ、エチポチマクは栄養価が高く、素早く食べることが出来る料理で、旅の途中の滞在時間を短縮することができた。

 エチポチマク(もしくはオスポクマク)は、タタール人やバシキール人がイースト生地から作るパン菓子で中に肉、ジャガイモ、玉ねぎでできたフィリングが詰まっている。形が三角形をしているので知られているが、文字通り「三つの角」という意味の名前が付けられている。歴史上、この料理は長期の軍事行動の際に屋外で調理されて食べられた。 

 エチポチマクには独特の調理法がある。まず、上部にあいている穴は飾りではなく、機能的な意味がある。焼けた後に肉のブイヨンをここに注ぎ、エチポチマクをよりジューシーにする。それから、きれいに編むように作られた編み目は、詰め物が飛び出さないためのものだ。ふつうは羊肉を使うが牛肉でもよい。脂身の多い肉やタマネギを多く使うとフィリングがよりジューシーになる。

 タタールではどの食事にもエチポチマクが出て来て、スープかお茶と一緒に食べられる。タタールではどこの食料品店やカフェにも置いてあるし、ロシア中のタタール料理店でも食することが出来る。

材料:(14個分)

生地:

  • 牛乳 150ml
  • 小麦粉 400g
  • 卵 1個
  • サワークリーム(脂肪分30%) 85g
  • バター 60g
  • 砂糖 大さじ1
  • 塩 小さじ1
  • イースト(生) 18g

フィリング:

  • 羊肉(脂身を含む) 400g
  • ジャガイモ 100g
  • タマネギ 200g
  • ブラックペッパー
  • クミン
  • 塩 大さじ1
  • バター 150g 

作り方:

1. 卵と牛乳を混ぜたものに砂糖とイーストを加える。イーストが溶けるまでよく混ぜる。

2. 小麦粉1/3をふるい、泡立て器でかき混ぜる。

3. 溶かしたバター、サワークリームを加え、全体をよく混ぜ合わせる。

4. 残りの小麦粉もふるい、ミキサーで15分から20分こねる。

5. 生地をラップで覆い、暖かい場所に1時間ほど置き、2倍くらいに膨らませる。

6. その間に、肉、タマネギ、ジャガイモを4~5ミリの角切りにする。肉と野菜それぞれは別にしておく。

7. 生地が2倍に膨らんだら、さらに20分休ませる。

8. タマネギは押しつぶして柔らかくする。塩、スパイスを加えて、フィリング用の材料をすべて合わせる。

9. さらに生地が2倍に膨らむまで、フィリングは置いておく。

10. 生地を取り出し、50gずつに分け、小さく丸めていく。丸めた生地にはふきんを被せておく。

11. 丸めた生地を少し上から押して潰し、大さじのスプーンを使って、真ん中にフィリングを入れていく。

12. 端を合わせて、真ん中に穴を開け、三角形にする。

13. 端がきれいに閉じられているか確認する。

14. パイを天板に並べ(近づきすぎないように並べる)、ふきんをかぶせ、さらにもう少し膨らませる。

15. エチポチマクをオーブンに入れ、180℃で45分ほど焼く。

16. 出来上がったら、穴に溶かしバターを入れつつ、表面にも塗る。

17. スープか紅茶と一緒に召し上がれ!

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