8月14日、ロシアでは「ハチミツのスパス」と呼ばれる正教の祭日と、同じくロシア正教の「マカヴァイ家の7人の殉教者」が祝われる。後者は人々の間では「マコヴェイ」と呼ばれている。この日は野で摘んだケシの花で花束(マコヴェイチキ)を作り、その花束を抱えて教会にお祈りに出かけるという伝統があった。教会で清められた花束はイコン(聖像画)の後ろに置き、お守りのように大切に保管した。言い伝えによれば、ケシは家庭に富と、良い収穫をもたらしてくれた。1年後に古くなった花束は燃やし、新しい花束をまた作った。花束と一緒に教会には清められた水とハチミツ、ケシの実とケシの実が入った焼き菓子が運ばれた。というわけで、今でもおいしく食されているケシの実を使ったレシピをご紹介しよう。
ケシの実の餡が入ったパンは17世紀にはルーシで焼かれていた。当時このパンはバザールなどで売られていたが、後にパン屋や食堂などで売られるようになった。このパンをおいしく作る秘密は、ケシの実をケチらないことである。
フランス人はクロワッサンを食べ、ロシア人はキフリを食べる。もっともキフリはパイ生地ではなく、イースト生地あるいはビスケット生地で作られることが多い。ロシアのキフリの具にはカッテージチーズ、ベリー、ナッツ、チョコレート、そしてケシの実が使われる。
もしもパンやキフリではケシの実の味を十分に味わえないという場合は、もっと大きなお菓子を食べるしかない。それはケシの実のピローグである。マコーヴニクはパスハ(復活大祭)に作られる伝統的な料理の一つであるが、マコヴェイに作るという人も多い。マコーヴニクには小麦粉よりも多いのではないかと思われるほど、ケシの実がふんだんに使われている。
マコーヴニクとは違い、ムラヴェイニクにはそれほどケシの実はたくさん入っていない。どちらかというと、ケシの実はアリをイメージする飾りに使われているのである。しかしその意外な使い方に異議を唱えた人などいるだろうか?ケーキは驚くほどおいしく、それでいいのである。
これはロシアの子どもたちが食べたケシの実を使った最初のパンの一つである。ブーブリキはそれほど甘くなく、形がガラガラに似ていることから、小さい手でもつかみやすくなっている。
中の具が真ん中から見えるふんわりしたこのパンは古代スラヴ人も作っていたものである。伝統的なのはカッテージチーズを入れたものだが、新鮮なベリーやジャム、そしてケシの実を入れてもとてもおいしい。カッテージチーズとケシの実が入ったヴァトルーシカのレシピは伝統的にほぼ同じである。ただし、カッテージチーズにケシの実を加える(割合はカッテージチーズ250gに対しケシの実大さじ6)前にハチミツ(大さじ3)と一緒に10分ほど弱火で煮ること。
これはスラヴ料理で、伝統的にクリスマスや洗礼、故人を悼む日などに作られる粥である。このカーシャは宗教的な意味を取り除いても、小麦やカラス麦、雑穀、米などの全粒穀物とドライフルーツやナッツ、ケシの実を入れて作られる非常に体によく、栄養たっぷりな一品である。
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