トヴォーログ(カッテージチーズ)入りのペイストリーは疑いようもなくわたしのお気に入りだった。ロシアの伝統的なカッテージチーズをフィリングにしたり、あるいは生地に入れ込むことで、まったく違ったお菓子を作ることができ、お菓子を新たなレベルに引き上げることができる。発酵乳製品であるトヴォーログはどんなペイストリーもより柔らかくし、ちょっと酸味のある独特のクリーミーさを加えることができる。トヴォーログのペイストリーを試すなら、真ん中に甘いカッテージチーズが入った象徴的なイースト入りの丸いタルトであるスラヴのヴァトルーシカを作るより良い方法はないだろう。
ヴァトルーシカという名前の由来ははっきり分かっていない。スラヴ語の「ヴァトラ」(火の意味)から来たという説もあるが、確かにヴァトルーシカの形は太陽または丸い暖炉の形に少し似ている。またヴァトルーシカという名前はロシア人の伝統的なカッテージチーズの名前であるトヴォーログからきたという説もある。何れにしても、ヴァトルーシカは古代ルーシでも人気があった。
ヴァトルーシカのレシピ
ヴィクトリア・ドレイ撮影古代ルーシ時代にはオープン型の太陽のようなペイストリーが焼かれ、夏至を祝うイワン・クパーラ祭など、民族のお祭りや祝日に友人や隣人に配られた。
ヴァトルーシカはロシアのどこのパン屋でもどこのお店でも見つけることができる最高のペイストリーである。肉とマッシュポテトとタマネギなどが入った香ばしいタイプのものもあるが、もっとも一般的でもっとも愛されているのがカッテージチーズの入った甘いもヴァトルーシカ。ここで紹介するのは祖母の古いソ連の料理本に載っていたレシピ。初心者にも簡単に、クリーミーなカッテージチーズが入ったサクッと柔らかい生地が作れる。
1.生地から作り始める。大きめのボウルに室温に戻した牛乳とイーストパウダーを入れ、しっかり混ぜてイーストを溶かす。卵1個、砂糖、塩、小麦粉を加え、フードプロセッサーまたは手ごねでベタつかない状態になるまでこねる。生地が柔らかくなりすぎないよう5分以内で作業を終えること。
2.生地がふわっと軽くなってきたら、溶かしたバターを加え、さらに数分こねる。丸くまとめ、別のボウルに移したら、ラップをかぶせて2倍に膨らむまで暖かい場所に置いておく。
3. 1時間半ほどしたら、生地をこぶしで押して空気抜きをし、もう一度丸くまとめてラップをかぶせ、さらに30–40分置いておく。
4.生地を10等分して丸め、パーチメント紙を敷いた天板に並べたら、少し平らになるよう押さえる。焼きあがったときにくっつかないよう、生地は間隔を開けて並べること。ふきんをかぶせて10分ほど寝かせる。
5.その間にクリームを作る。カッテージチーズまたは凝乳に卵1個、砂糖、小麦粉、バニラシュガー、塩を加えて、なめらかになるまで混ぜる。これでヴァトルーシカに欠かせないフィリングは完成。
6.ヴァトルーシカを形成する。高さのないグラスの底を使って、生地の真ん中にくぼみを作る。
7.くぼみの中にクリームを入れ、天板をふきんで覆い、きっちり20分寝かせる。焼く前につや出し用の卵黄(卵黄1個に水大さじ1を加えたもの)をたっぷり塗る。
8. 200℃に温めたオーブンに入れ、表面が黄金色になるまで15分焼く。温かいままで1つ味見したら、あとは冷えてもおいしいヴァトルーシカを紅茶かコーヒーと一緒に。どうぞ召し上がれ!
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