パトリアルシエ池周辺は高級でファッショナブルなエリアで、ここにある「バトラー」というレストランでは、イタリア人シェフ、ジュゼッペ・ダヴィが伝統的シチリア料理を現代風に仕立てた料理を供している。
ヴェネト州出身のジュゼッペは子供のころシシリアの祖母と夏の間を過ごしていた。彼はそこで料理に興味を持ち、16歳のころまでにプロの料理人になる決心をした。そして、クラウディオ・ルタやピノ・クタイアといったミシェランの星がつくシェフのもとで腕を磨くようになった。
28歳の時にモスクワに来るまで、ジュゼッペはラゴ・ディ・ガルダの近くのレストランで働いていた。モスクワに来て最初に任されたのが「セミフレッド」で、そこに7年半勤めた。自身の店「バトラー」に移ったのは1年半前のことだ。
このレストランは高級感(19世紀に建てられた豪奢な邸宅の2フロアを使っている)があり、少し入りにくいが、新鮮な食材を使ったこの上ない料理の質は価格に見合ったものだ。
さて、ジュゼッペがこのコーナーの趣旨を聞き、多くの料理の中から選んだのがシシリア風にアレンジされた人気のロシア料理、ホロジェッツ(煮こごり)である。
モスクワに来たのは働くためですが、それはとても素晴らしいことでした。ロシア人のメンタリティーはイタリア人と似ています。もちろん最初のうちは、言葉の壁(ジュゼッペのロシア語は完璧だが)があったので、大変でしたが、2年たてば大体理解できるようになりました。でも、実際いまだに困ったことだと思うのは、ロシアにはプロの料理人を育てる学校や機関がないことです。もちろん変わってきてはいますが、全体的に見て、ロシアではレストランで働く人は、仕事として料理をする人が多いと思います。これがイタリアとの大きな違いです。イタリアでは、料理を愛し、情熱を持っている人がレストランで働いています。単に仕事ではなくて、魂そのものなんです。
とにかく食材が一番です。わたしたちが使う食材はフレッシュで季節に合ったものでなくてはなりません。またわたしたちの厨房ではクリームやバターはほとんど使わず、オリーブオイルや魚介類など地中海的な材料に焦点を当て、料理をよりヘルシーでよりダイエット志向のものにしています。わたしはクラシカルな料理を新しく美しいものにしようと心がけていますが、一方で伝統的な食材やレシピを大切にしています。わたしはきわめて保守的で、フュージョンは好みません。最高に新鮮な材料を使うこと以外では、美しさと新しい技術を取り入れることが大事だと思っています。
それはもうたくさんあります。バトラーほど豪華でない店を始めたいと思っています。この4年間、イタリア料理はもう面白くない。経済制裁が始まってから良い材料が十分手に入らないからと言われるようになりました。しかしわたしはイタリア料理はいつでも愛されるものだと思っていますし、「バトラー」よりもっと庶民的なものを作りたいと思っています。
ええ、好きですよ。お気に入りの料理は・・・わたしはキャベツは好きではないのでそれ以外ですね。わたしはホロジェッツ(煮こごり)が好きです。シシリアにも似たものがあるのでね。
肉をきれいに洗い、煮こごりにするすべての材料と水10リットルを鍋に入れ、沸騰させる。灰汁をとり、105℃まで温度を下げ、14時間煮る。材料を鍋から取り出し、野菜と肉を分ける。煮出した汁を3回漉して、澄んだ液体にする。肉を30x40cmのトレイ(高さ5センチ)に入れ、上から煮出した汁をかけ、冷蔵庫で12時間4℃で冷やす。12時間後、出来上がったホロジェッツを冷蔵庫から取り出し、脂肪の膜を取り除く。
まず10x2.5センチの大きさに切り、野菜、ホースラディッシュ、オリーブオイルでドレッシングする。
次に直径6センチの円形の抜き型を使って、丸く抜き、ミックスサラダと赤タマネギと25年熟成バルサミコ酢でドレッシングする。
もう一つを今度は直径4センチの円形の型抜きを使って、型を抜いたら、ハツカダイコンとマスタードでドレッシングする。
新コーナー「外国人シェフがアレンジしたロシア料理」シリーズでは、モスクワのもっとも優れた外国人シェフたちに食についてお話を伺い、家庭でも簡単に作れる彼らのオリジナルロシア料理レシピを紹介していただいています。
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