太陽光発電モジュール生産で世界第3位

コシュ・アガチ太陽光発電所、アルタイ地方

コシュ・アガチ太陽光発電所、アルタイ地方

アレクサンドル・クリャージェフ/RIA Novosti
世界有数の寒い国ロシアで、なぜ太陽エネルギーが発達しているのだろうか。

 ロシアでは太陽エネルギーの需要はまだそれほど高くないが、有限責任会社「ヘヴェル」は、22%という高いエネルギー変換効率の太陽光発電モジュールの生産に成功した。これほどの効率のモジュールを現在生産できているのは、世界に2社しかない。それは日本の「パナソニック」とアメリカの「サン・パワー」である。市場で大きなシェアを獲得している中国や韓国を含む、他の海外のメーカーの平均エネルギー変換効率が15%を超えることは、まれである。

太陽光発電モジュールの生産

 

ロシアの太陽光発電所の数

 ロシアでは太陽エネルギーの割合はわずか0.03%である。ガス、石油、水力、原子力といった、従来型の効率の高いエネルギー源が主に発電に使用されている。それでもここ3年で、ロシアでは太陽エネルギーが急速に発展している。2014年に国内初の太陽光発電所が建設され(2015年に稼働開始)、現在すでに12ヶ所稼働しており、今後さらに13ヶ所が開設される予定である(これらすべては国の統合電力システムに接続されている太陽光発電所)。太陽光発電所はオレンブルク州に4ヶ所、バシコルトスタン共和国に2ヶ所、アルタイ地方に2ヶ所、ハカス共和国に1ヶ所、ベルゴロド州に1ヶ所ある。それぞれの発電所の発電量は1~40メガワット。総発電量は150メガワットで、世界の発電量300ギガワットに占める割合はわずかである。  

コシュ・アガチ太陽光発電所、アルタイ地方

 太陽の照る、他のエネルギー源から隔離されている地域に太陽光発電所を設置するのが理想的である。シベリアには、平均気温が低くても、年間晴天日数が300日に達する地域もある。

 

クリミアの太陽光発電

 クリミア半島には総発電量400メガワットの太陽光発電所が13ヶ所あるが、ロシアの統合電力システムには接続されておらず、独立している。これらの太陽光発電所は2011~2012年、オーストリアの「アクティフ・ソーラー」が建設した。当時のウクライナ政府が「固定価格買い取り制度」を整備し、銀行はそれで回収できると考えて、この太陽光発電プロジェクトに融資を行った。だがウクライナ情勢に端を発して、ロシアの火力発電所の安い電力が供給されることとなり、これらの太陽光発電所の採算は合わなくなってしまった。現在、稼働しているのは一部のみである。

 

ヴァラアム島の太陽光発電所

 国の統合電力システムに接続されていない太陽光発電所もある。ザバイカリエ地方のメンザ村の太陽光発電所は、辺境の3集落に給電している。アルタイ地方ヤイリュ村の自律型ディーゼル太陽光発電所は、旧ディーゼル発電所の電力よりも地元住民にとって得だということが判明した。北部のヴァラアム島の小さな太陽光発電所は、修道院の温室に給電している。

 クリミアの全発電所、オレンブルク州の1ヶ所、ベルゴロド州の1ヶ所、ハカス共和国に1ヶ所を除き、すべての太陽光発電所は、ヘヴェルが建設したもので、うち規模の大きい2ヶ所には独自生産品の太陽電池モジュールが設置されている。同社は2022年までに発電量最大1ギガワットの太陽光発電所を建設する予定。

 

シリコンが減れば価格は安く

 大規模な新太陽光発電所の建設計画は、ヘヴェルの開発と関連している。今年、チュヴァシ共和国の自社工場を刷新し、サンクトペテルブルクの科学技術センターで開発された新しいヘテロ構造技術をもとに、太陽光発電モジュールの生産を始めた。モジュールのエネルギー変換効率は22~22.4%である。

太陽光発電モジュールの生産

 モジュール1台の発電量は平均300ワット。前世代のモジュール2台分に相当する。さらに、天気が曇りでも、うまく機能する。これは両面バージョン。セルは、雪、水、砂、土などに反射する光を吸収すると、ヘヴェルのイーゴリ・シャフライ最高責任者は話す。このようなモジュールの寿命は、気温マイナス40からプラス85℃で25年。

 セル自体は単結晶シリコン板でできていて、表面にはアモルファスシリコン、酸化インジウムスズのナノ層が吹きかけられている。「これにより、光を最大限にセルに吸収して電気に変換できる」とヘヴェルの上級技師ピョートル・イシムラトフ氏は話す。

 シリコン板の厚さはわずか180ミクロンだが、工場では150ミクロン、将来的には90ミクロンの板を生産する予定。板が薄くなれば、モジュール自体の価格が安くなる。

 工場の刷新には40億ルーブル(約77億円)が投じられた。うち3億ルーブル(約5億8000万円)を、ロシア連邦産業貿易省主導で創設された産業開発基金が配分している。

 「今のところ、太陽エネルギーの分野としては、当基金の初のプロジェクト」と産業開発基金のロマン・ペトルツァ理事は話す。基金は国内ですでに、170件の総額430億ルーブル(約830億円)のプロジェクトに融資を行っている。

 ヘテロ構造モジュールの初品ロットはすでに、アルタイ地方の新しい太陽光発電所に出荷された。発電量は20メガワットで、約4000戸の家庭に電力を供給できる。稼働開始は9月の予定。

 

ヘヴェル社

 ヘヴェル(チュヴァシ語で「太陽」の意)は、ロシアの太陽エネルギー最大手。  2009年に、ロシアの事業グループ「レノヴァ」(出資比率51%)と国営ナノテクノロジー・投資会社「ロスナノ」(出資比率49%)が設立した。

 

民間消費者は

 ヘヴェルは産業用太陽光発電所の建設により、15年で12~14%の黒字化に持ち込めると考えている。

 ロシア太陽エネルギー協会のアントン・ウサチェフ会長はこう話す。「今日、一般消費者の間で、自律型太陽光発電設備の需要が高まっている。ロシアではこのような設備の総発電量が年間6000キロワット。それぞれの発電量は約5キロワット。これは、照明、冷蔵庫、テレビなどの家電製品に電力を供給するのに十分。つまり、ヒーティング以外のすべてに太陽エネルギーを使える」

 ウサチェフ会長によれば、ロシア南部、極東、シベリア南部、ロシア西部の一部の州で太陽エネルギーを使うと、民間消費者にとって得が大きいという。これらの地域は、寒いものの、日照量はかなり多い。

もっと読む:

クリミアの電気のない生活>>

アジア電力網のロシア部分は約3兆円>>