極東発展基金理事にインタビュー

政府主導で創設された「極東バイカル地域発展基金」のアレクセイ・チェクンコフ理事=

政府主導で創設された「極東バイカル地域発展基金」のアレクセイ・チェクンコフ理事=

ミハイル・ヴォスクレセンスキー撮影/ロシア通信
 ロシア極東のウラジオストク市に近々、証券取引所「ヴォスホト」が創設される。アジア諸国のベンチャー・キャピタルの呼び込みも主要な活動の一つ。第2回「東方経済フォーラム(EEF)」(9月2~3日、ウラジオストク市)に先立ち、政府主導で創設された「極東バイカル地域発展基金」のアレクセイ・チェクンコフ理事に、ヴォスホトや他の極東のプロジェクトについて、ロシアNOWが聞いた。

-基金の活動の具体例を教えてください。どのようなプロジェクトを支援しているのですか。

 主な活動は、極東の具体的な投資プロジェクトへの資金提供です。基金のポートフォリオは10あります。主に交通インフラの建設ですが、工業プロジェクトもあります。

 例えば、アムール州にロシア初の大豆タンパク質単離物の生産工場を建設する計画を支援しています。ロシアは大豆の生産大国であるにもかかわらず、大豆タンパク質をいまだに輸入しているので、国内市場の大豆タンパク質の需要の40%を満たすことを目指し、生産能力を拡大していきます。アジアの投資家との協力を含め、農業分野を重視しています。最近では中国と「露中農工発展基金(RKFAR)」を設立いたしました。RKFARの資本は最大100億ドル(約1兆円)で、うち9割を中国の投資家が構成しています。

 もう一つ新たな活動があります。極東での投資システムの取引プラットフォーム「ヴォスホト」の創設です。我々はこれを「ロシア・ナスダック」と呼んでいます。金融市場の専門家である「金融市場開発(RTS)非営利パートナーシップ」と提携しながら、実施しているプロジェクトです。

 

-極東に証券取引所をつくるということですか。

 そう、まさにここにです。極東には新しい商慣行があり、国家規制の新しい原則が用いられ、税制上の障害がありません。ロシアの金融市場の柱の一つとなり続けてきたRTSインフラに、新しい電子取引システムを創設しています。このプラットフォームには極東で上場するのに快適で簡易な規則が適用されます。証券の発行体はロシアやアジアのプレイヤーです。

 

-なぜ新しい証券取引所が必要なのですか。

 集団投資は極めて重要なツールだと思います。ソ連崩壊後、証券取引所には強力なプレイヤーしか参入していませんでした。現在、MICEXは大手企業の関係者にとって便利なプラットフォームとなっていますが、ロシアにはよりリスクの高い資本を必要とする中小企業の割合が高いのです。最近まで、それらの企業はナスダックや、トロント証券取引所、香港証券取引所などの他のプラットフォームを利用していました。当基金が検討中のプロジェクトは約130件あり、総額2兆ルーブル(約3兆円)の借入資本および株式資本を呼び込んでいます。これらのプロジェクトの多くは、ロシアの投資家にとっても、外国の投資家にとっても興味深いものである可能性があります。

 

-現代の証券取引所には、上場のしやすさだけでなく、相応のインフラ整備も必要ですから、ロシアで規制の変更が必須となってきますが。

 ロシアでは近々、規制の変更があります。ブローカーの関与なしに投資口座を開くことが可能になります。スマートフォンのアプリ経由を含め、株式や債券への投資は簡単であるべきです。スマートフォンで簡単に物が買えるように、債券も買えるようにならなくてはいけません。また、このような投資は個人所得税から解放されるべきで、そうなれば債券投資と預金の政治的刺激が消費者にとって均等化されることになります。債券はよりリスクのある財産ですが、収益も高いです。8%ではなく、12~15%を得ることができます。株式への集団投資は、重要な直接機関投資よりもはるかに柔軟ですが、市場の占有はより小さいです。

 

-極東発展の主な分野は何だと思いますか。

 私なら、「4+1テーマ」にわけます。天然資源、物流、食品、観光、そして多くの人にとってわかりにくい工業です。いわゆる資源の呪いを恐れておらず、天然資源分野から資金を最大限に集めて、他の分野に再投資することが必要だと考えています。資源基盤の観点からすると、極東の潜在性を今日、活用しきれていません。ここには海洋生物資源の70%、金の50%、森林の25%、石炭の20%、大豆の40%強があり、これらすべてが流通可能です。

 次の重要な分野は物流です。極東はシベリア鉄道ができた頃から中継地域になっていますが、現在は新たな可能性を秘めています。沿海地方南部は、海と中国東北部を隔てています。東北部とは人口5000万人が暮らし、年間8000万トンの穀物が生産される黒龍江省と吉林省です。中国の生産者にとって、国内の最も近い港は大連港です。この貨物をロシア極東の港に向けることができたら、中国東北部は1000キロ短縮できます。

 

-ロシアは食料供給国になれるとのご意見ですが、中国でのびている水と食料の需要を、ロシアは満たすことができるのでしょうか。

 中国ではすべての種類の食料と水の需要が昔から増え続けていますが、中流層はタンパク質を多くとり始めており、それが食品の構成にあらわれています。その結果、中国は食料輸入国になりました。極東には今日、中国に食料を輸出するプロジェクトに着手できる可能性があります。これ以外に、中国はロシア東部の観光発展の原動力になり得ます。今日、中国は世界最大の旅行サービス利用国であり、年間2000億ドル(約20兆円)ほどを使っています。ウラジオストクの半径1000キロ圏内には5億人が暮らしており、ロシアはそのような人々にとって、「一番近いヨーロッパ」になっています。極東には提案できる観光があります。例えば、ユジノサハリンスク市の中心部には、世界クラスのリゾート「ゴルヌイ・ヴォズドゥフ」があります。カムチャツカは、もう少し高級な観光ですが、過小評価されています。

 

-「4+1」の「1」は工業でしたが、極東で工業が成長する可能性を見出しているのでしょうか。

 どれも当てはまるというわけではありませんが、極東ではハイテク産業が勢いよく発展しています。例えば、コムソモリスク・ナ・アムーレ市では、第5世代ジェット戦闘機「スホイ」が生産されています。世界では現在、ロボット化が急速に進んでおり、電力の価格や輸送インフラへの近さなどがポイントになっています。ウラジオストクではどちらもとても発展しています。人々はシベリア鉄道の近くまたは海岸部に暮らしています。ロシア政府は「先行発展領域(TOR)」の創設について話しをした際、これらの要因を踏まえていたのです。結果として、新たなビジネスを生む競争条件ができました。