不況打開のための1計画+3代替策

セルゲイ・ファテイチェフ撮影/タス通信
 ロシア政府は国内経済を危機から救うため、産業への投資を強化しようとしている。新たな経済危機対策計画で重点が置かれているのがここである。ロシアNOWは専門家とともに、この公式計画を分析し、さらに危機打開のための3戦略を考えてみる。

 今年初めに発表された複数の経済指標で、ロシアの危機的状況が示された。昨年度、GDPの落ち込みは3.7%だった。小売は10%減少、投資は8.4%減少した。

 政府はこのような状況を受けて、すべての省庁に歳出削減を求めた。削減規模はGDPの約0.9%で、これによって財政赤字を3%以下に抑えることができる。しかしながら、1月に北海ブレント原油が1バレルあたり30ドルまで値下がりしたことから(これは原油価格に左右されるロシア経済のさらなる減速を招く可能性も)、政府は特別な経済危機対策計画を策定することを決めた。

 計画の趣旨は、産業支援に7370億ルーブル(約1兆1100億円)を配分すること。配分先は自動車、輸送機械、住宅、軽工業の4分野。

 政府はこれまでとは異なり、金融機関を通じた協力なしに、実体経済を支援しようとしている。例えば、2009年と2014年、政府は対策資金を主に銀行の資本増強と融資の刺激に向けていたが、今はあらゆる助成金、政府との契約などに向けようとしている。つまり、企業は金融機関を介さずに直接資金を受け取るし、どこに大切な大金を割り当てるかを政府が決めるのである。

 3つの代替策をあげる。

 

  1. 増税

 ロシアでは現在、付加価値税18%が導入されている。政府は2014年、付加価値税を20%まで引きあげることを検討していた。

 代替策として、アメリカのような売上税を3%で導入することも検討された。だが独立系経済学者が売上税に反対した。というのも、同様の税が1990年代にロシアで導入されたものの、徴収率が30%以上にならなかったため。つまり、国民の3分の2が支払わなかったということだ。

 この議論に終止符を打ったのはウラジーミル・プーチン大統領。昨年6月に、4年間増税しないと約束した。

 

  1. 国債発行

 ロシアの公的債務は極めて低い水準にある。GDP比は約12%。元財務大臣のアレクセイ・クドリン氏の試算によると、ロシアの安全な公的債務はGDP比30%。ロシアの昨年の予算が約75兆ルーブル(約113兆円)だったことを考えると、ロシア政府は国外市場で最大1700億ドル(約20兆4000億円)を”無痛”で調達できる。

 困難なところは、現在、対ロシア経済制裁が発動中という点である。国際的な格付機関は、ロシアの経済発展を低く見通すようになってきている。ヨーロッパの格付け会社「フィッチ」は2日、今年の経済成長予測を+0.5%から-1%に下方修正した。これは資金調達コストに影響をおよぼす。

 

  1. 予算配分の変更

 ロシアはGDP比の国防・軍事予算で世界のトップ。GDPの減少にもかかわらず、これらの予算は増加の一途をたどっている。今年はGDP比4.5%に達する見込みで、アメリカや中国よりも多い。それでも軍事費は予算強制削減の対象とならない。

 別の優遇カテゴリーがある。それは年金受給者である。政府はインフレ率の上昇に合わせた年次逓増を実施している。代替策となるのは、年金受給年齢を引き上げる、逓増を廃止する、国防費を削減するなど。この場合に優先的な支援分野は教育であるべきで、ロシア最大の銀行「ズベルバンク」の総裁で元経済開発貿易大臣であるゲルマン・グレフ氏は先月初め、この必要性を訴えていた。