今年のスイス・ダボスの世界経済フォーラム会議では、ロシアの代表団を率いるのは、ユーリ・トルトネフ副首相兼極東連邦管区大統領全権代表で、以前、副首相は、ウラジオストクの経済フォーラムの組織・運営を担当していた。この情報は、メドベージェフ首相のナタリア・チマコワ報道官がロシアの経済紙「ヴェドモスチ」に伝えた。
専門家らによれば、こうした決定は、ダボスのロシア代表団にとって主要テーマが「東方シフト」となることを示している。東方シフトとはつまり、ロシアとアジア諸国の協力関係拡大に関する、2014年に発表されたアプローチだ。
「ロシアは、アジアの投資家に対し、特に極東での多様なプロジェクトを共に発展させていく用意を広く示す意向だ。極東地域は、アジア諸国の経済利益に適うものをもっているから」。こう述べるのは、投資会社「フリーダム・ファイナンス」のロシア金融市場局長、ゲオルギー・ヴァシチェンコ氏だ。氏によると、おそらく、エネルギー、石油・ガス開発、航空機製造の各分野のプロジェクトが話し合われることになるだろうという。特に、昨年1月初めにもう明らかにされたことだが、ロシア最大の金属生産企業の一つ、「ノリリスク・ニッケル」は、一億ドル(約118億円)で中国の企業連合「Highland Fund」に、埋蔵量でロシア最大の銅山「ブイストリンスコエ」の 株式13,33%を売却している。
チマコワ報道官がヴェドモスチ紙に説明したところでは、ロシアはダボス会議で、アジア太平洋地域の行事日程および極東経済フォーラムについて紹介する。これは、トルトネフ副首相の管轄だという。また、ダボスのロシア部会では、マクロ経済、原油の安値、アジアでの新たな貿易・投資の統合、国際安全保障におけるロシアの役割についても話し合う予定だ。
投資会社「フィナム」のアナリスト、アナトリー・ヴァクレンコ氏によれば、ロシアの提案は、中国の投資家だけでなく、欧州さらには中東の投資家をも対象とするだろうという。
昨年、ダボスでのロシア代表団団長を務めたのは、イーゴリ・シュワロフ第一副首相で、その1年前には、アルカジー・ドヴォルコヴィチ副首相だった。ダボスの主催者は、プーチン大統領とメドベージェフ首相も招待したが、最近、二人は出席していない。
とはいえ、ロシアの大統領と首相は、定期的にダボスに参加しており、2009年には、プーチン首相(当時)が、2013年にはメドベージェフ首相がそれぞれ団長を務めている。ヴァシチェンコ氏の意見では、ロシア政府は、ダボスから距離を置いていることを強調しているのだろうという。その理由は、「最近ダボスは、西側諸国からの参加者が根拠もなしにロシアの内政外交を批判する場としてのみ、利用されているから」
いずれにせよ、ヴァクレンコ氏によると、「ロシア代表団のメンバー達は、次の点を強調するだろう。対露経済制裁は、効力のなさをさらけ出し、ヨーロッパ経済にかなり深刻な打撃を与え、しかも、ロシアに政策変更を強いることはできなかった、と」
ユーリ・トルトネフ氏が副首相兼極東連邦管区大統領全権代表に任命されたのは2013年のこと。昨年9月には、ウラジオストクで第1回東方経済フォーラムを開催。その結果として、総額172億ドル(約2兆300億円)にのぼる、80件以上の大規模投資契約が調印された。かつてトルトネフ氏は、ロシア大統領補佐官を、2004~ 2012年には、8年間にわたり天然資源相をそれぞれ務めている。同省は、油田開発の許認可も管轄している。
なお同氏は、2009年と 2012年には、それぞれ500万ドル(約5億9000万円)と700万ドル(約8億3000万円)を稼ぎ出し(当時の為替レートで計算)、「最もリッチな政府閣僚」となった。
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