ロシアがOPEC(石油輸出国機構)と話し合い、原油の生産量を5%程度、または一日当たり約200万バレル削減することで合意できたなら、原油価格が上昇する可能性がある。そう語るのは、ロシアNOWの取材に応じた証券会社「MFXブローカー」のアナリスト、アントン・クラスコ氏だ。氏によれば、世界市場における供給過剰分が現時点で一日当たり150万バレル程度であることを考えると、5%の減産で十分市場を安定させ、少なくとも1バレル=40ドルまで価格を回復できる。
ロシア・エネルギー資源省のアレクサンドル・ノワク大臣は28日、「ロシアは、2月に開催されるOPEC臨時サミットへの参加要請を受け入れた」と述べた。大臣によれば、サウジアラビアとOPECは、5%の減産の可能性を討議する用意を進めている。
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当のOPECはこの情報を否定している。にも関わらず、ブレント原油は値上がりし、今年最高となる1バレル=35.8ドルをつけた。投資信託「UFS IC」のアナリスト、アンドレイ・ソロジコフ氏は語る。「大事なのは大臣の言葉でなく、ロシアやサウジアラビアといった大産油国の姿勢。それが原油市場の需給不均衡問題が解決される期待感を呼んだ」。なお、原油値上がりのもうひとつの要因として、FRB(米連邦準備制度理事会)が基準金利を現状のまま維持する決定をとったことを挙げる専門家もいる。
ただ、ロシア政府は、エネルギー資源の大半は民間企業によって採掘されているため、国内減産に向けて影響力を行使することはできない、との立場だ。「ロシアの石油部門はかなりの程度、商業的であり、国の直接的な管理下にはなく、個別の企業決定によって運営されている」。これはモスクワで29日に開かれた記者会見における、アルカージイ・ドヴォルコヴィチ副首相の発言だ。
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副首相によれば、生産量を減らすか否かは、市場の参加者が自分で決める。価格が安いと、石油企業は、税負担が軽減される。しかし、価格が安定して低いと、投資の下方修正が不可避となり、それは減産への圧力となる。いずれにせよ、それは国の決めることではない、とドヴォルコヴィチ副首相。
ロシア企業はさしあたり減産を拒否するかもしれない。しかし、「長期間にわたって原油安が続けば、生産量は自動的に縮小する。そして、生産量を減らすことはロシアの得にはならない。イランやサウジアラビアにシェアを奪われるリスクがあるからだ」と投資会社「フリーダム・ファイナンス」ロシア債券市場取引局長ゲオルギー・ワーシチェンコ氏。事実、イランは、原油生産量を一日当たり100万バレル増大させる意向を表明している。
「産油国の間で本当に合意が得られ、それにとどまらず、その合意が順守されたなら、ロシアにとってはプラスだ」とワーシチェンコ氏。
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