4月1日、ザリャジエコンサートホールに、世界的に有名な盲目のピアニスト、辻井伸行氏の美しい音色が鳴り響いた。同公演は、3月27日から4月3日にかけてモスクワ市内で行われたロストロポーヴィッチ音楽祭の一貫であり、辻井伸行氏は山田和樹氏率いる横浜シンフォニエッタ管弦楽団と共演した。
辻井氏の演奏は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第二番の一曲のみ。来場者は「指揮者に連れられて入ってきた瞬間から、素晴らしい存在感でした。」と語り、「その音色は広い客先の奥まで届く様で、心が震えました。ロシア人の観客も皆、スタンディングオベーションで、同じ日本人としてとても誇らしく思いました。」とコメントを寄せた。
ロストロポーヴィッチ音楽祭は、20世紀を代表するチェリスト、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチを記念して2010年から毎年春に開催されている。チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院をはじめとしてロシア国内のコンサートホールで開催され、2019年は、昨年新しくオープンしたザリャジエコンサートホールでの公演も行われた。
ザリャジエコンサートホールは、2017年にクレムリン横に新しくオープンしたザリャジエ公園内に位置し、音響設計の巨匠、豊田泰久氏により設計された。同氏は、東京のサントリーホールをはじめ、米国ロサンゼルスのウォルト・ディズニー・コンサートホールなど、世界で50以上の劇場・コンサートホールを設計している。
辻井伸行氏は2009年に、米国ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで日本人として初めて優勝し、盲目の天才ピアニストとして世界にその名を轟かせた。海外でも積極的に活動を行っており、次回のロシアでのコンサートは、5月31日にサンクトペテルブルクのマイリンスキー劇場で予定されている。
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