冬のエカテリンブルクで何をする?

Public Domain, Firewind Kyoto (CC BY-SA 3.0), Mark Zazen (CC BY-SA 4.0)
 ブラッド・ピットが愛するバイクの生産地を訪れるもよし、19世紀の鉱石探しを体験するのもよし。ウラルの首都には、酷寒の季節でも楽しめるものがある。

 ウラル最大の街で、非公式ながら「ロシア第三の都市」とされる歴史ある美しい街エカテリンブルク(人口150万人)へは、モスクワまたはペテルブルク(そこのカリツォヴォ空港がロシア最高の空港の一つ)から数時間のフライトで行ける。道路(鉄道)インフラが発展しており、ウラルを旅行するにもとても便利である。野外レジャー(美しい山々、洞窟、タイガの森、パワースポットなど)があるや産業ツーリズム(多くの工場が敷地内をめぐるエクスカーションを実施している)の愛好家がここを訪れる。しかもエカテリンブルクは冬でも、夏以上に楽しめる場所である。

1. 「もっともコンパクトな100万人都市」を散策する

セヴェスチアノフの大邸宅

 エカテリンブルクは言ってみればウラルのモスクワである。近隣の都市の多くの人々が、勉学のため、仕事のため、そして文化的なイベントのためにウラルを訪れる。ここには近代的な高層ビルが立ち並び、有料の駐車場があり、山スキーのセンターがあり、またクラフトバーガー店からグルテンフリーのデザートを用意したカフェまで、ヒップスターに人気のレストランが多数ある。

 エカテリンブルクには有名なものが3つある。1つは最後の皇帝が銃殺された場所であること(中心部には皇帝一家が処刑されたニコライ・イパチエフ館が撤去された場所に建てられた血の教会がある)。2つめは初代ロシア大統領のボリス・エリツィンの故郷であること(街には博物館とお土産店が入ったエリツィンセンターがある)。そして3つめはロシアでもっとも「コンパクトな」100万人都市であること。つまり、150万人の住民が比較的、小さな面積に住んでいるということである。しかし実際には、都市自体はかなり大きい。エリツィンセンターと血の教会は地図で見ると正反対の場所に位置しているが、この間は歩いて30分。またここから「チェキストの町」または歩行者天国「ワイネル通り」へもさらに30分で行くことができる。

 エカテリンブルグには地下鉄があり、路線図には英語表記がついている。地下鉄はそれほど大規模ではないが、鉄道駅から中心部に行くのには歩いて行くよりずっと便利だ(1時間かかるところを10分で行ける)。乗車にはモスクワ地下鉄の古いトークンが使えるので、もしまだ残っているなら、持っていくといい。

2. 最大の軍事博物館を訪れる

ウラル鉱山企業の軍事博物館で展示されているT-28戦車

 軍事技術には興味がないという人でも、一度入ればなかなか出ることができない興味深い博物館である。ウラル鉱山企業の軍事博物館はエカテリンブルク北部の近郊ヴェルフニャヤ・プィシマ(地下鉄コスモナフトフ駅から111番のバスでメタルルゴフ通り駅下車)に大きな敷地を保有している。戦闘機や大砲から、有名な戦車T–34のいくつかの改良版、1125型河川砲艇、スターリングラードの戦いで使用された兵器や1943年製の装甲列車といった歴史的な戦車まで、展示物はすべて屋外の敷地内にある。

 屋外にいるのが寒くなったら、軍事博物館(雪上装甲車が展示されている)あるいは自動車博物館(エストニアのフォーミュラ1が展示されている)の中に入ろう。博物館によれば、パレード用の兵器博物館と空軍博物館の開設の準備が進められているとのこと。つまり、一度入ったら出られないこと請け合いだ。入場料は300ルーブル(およそ550円)、屋外の敷地は無料で入れる。

3. 斜塔を支える 

 ロシアでは多くのものがインスタグラマーによって支えられていることはおそらくご存知だろう。あなたもぜひ参加して、倒れそうなネヴィヤンスカヤ鐘楼を支えてみてはどうだろう。実際、エカテリンブルクの周囲には、革命前の建築物が良い状態で保存されている小さな町がたくさんある。商人の館、木造の教会・・・。たとえば、エカテリンブルクの北方85キロに位置するネヴィヤンスクは、1.85メートル傾斜している塔があることで知られている。この建物はもともと、ピサの斜塔をまねて作られたものとされているが、現在は歴史博物館となっており、ロシアの観光客の間で非常に人気がある。夏の間はかなり混雑している。ネヴィヤンスクへはエカテリンブルクの鉄道駅から電車で2時間。

4. 鉱山に行く 

 ありふれた言い方になるが、ウラル山脈はまさに宝石の宝庫である。ここではクジャク石、エメラルド、アメジスト、ブルーサファイア、有色金属などが採掘されている。数多くの地元の採鉱企業が近年、産業ツーリズムを始めており、鉱山を開放し、エクスカーションを行っている。

 エカテリンブルクからもっとも近いのが鉱山博物館「ルースコエ・ゾロト」(北東にある近郊の町ベレゾフスキーで、マリンス・パルク・オテリから114番のバスで教会駅で下車)。すでにかなり前から鉱山としては使用されておらず、博物館となった場所である。(エクスカーションの申し込みはこちらから)。

 アスベスト地区では本物のエメラルド採鉱企業を訪れることができる。マルィシェフスコエ鉱山はヨーロッパで最大の規模を誇る。ここではエメラルド、アレキサンドライト、リチウム、その他多くの石が採掘されている。エクスカーションでは、鉱物を見つけるために鉱石を洗う体験など、20世紀初頭の「山師」の気分を味あわせてくれる。エクスカーションの申し込みは企業のサイトから

5. 脱工業化的未来を覗いてみる

雪に覆われたエカテリンブルク辺りのボタ山

 かつて産業中心地だった町から人が去った後、どうなっているのか知りたいという人は、デグチャルスク(南西にバスで60キロ)に行くとよい。ここには鉱山から出た捨石でできた巨大なボタ山が立っている。ソ連時代、ここにはアメリカの企業によって運営されていた銅山があり、リチャード・ニクソン元大統領の両親もここで働いていた(ニクソン大統領は1959年にこの町を表敬訪問している)。町はユネスコの世界文化遺産に登録されている。

アラパエフスクにあるロシア最大の狭軌鉄道

 エカテリンブルク の北部(列車で4時間)には古い工業都市アラパエフスクがある。ここにはタイガの森に埋れたロシア最大の狭軌鉄道が残っている。近くには環境豊かなイルビトという町があり、ここではバイク「ウラル」がいまも製造されている。ソ連時代、「ウラル」はもっとも人気のバイクであった。現在、生産は削減されており、これに乗っているのはブラッド・ピットくらいだろう。

 なお、エカテリンブルク からはペルミ、チェリャビンスク、チュメニ、ノヴォシビルスクなどの大都市にも数時間で行くことができる。

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