外国の都市調査員たちをインスパイアするウラル地方の立入禁止区域(写真特集)

Maksim Tarasov/Strelka Institute
 ロシアでもっとも不気味な産業荒地を訪れた外国の学生たちは、なぜまたそこに戻りたいと思うのか説明してくれた。
カラバシ

 世界15カ国の若き建築家たちから成る国際グループがチェリャビンスク州を訪れ、サトカのマグネサイト工場、カラバシのシュールな採石場、チュリロヴォの巨大な温室などを含む産業地帯の一角を調査した。旅を終えてドキュメンタリーフィルムをシリーズで制作した建築家たちは、ロシア・ビヨンドの取材に応じ、それぞれウラルでもっとも印象に残ったことなどを話してくれた。

カラバシ採石場

 クロアチアのイーゴリ・スラドリェフさんはいくつかの「パワフルかつアメイジングな場所」を案内してもらったと話す。訪れたのは採石場やサトカのマグネサイト工場、ミアスとチェリャビンスクの工場などだが、もっとも衝撃的だったのがカラバシの銅鉱山だったという。「長いケーブル式の台車搬送システムがあり、それがずっと長く伸びていて、まるでスキーリゾート地のようでした。雪がマスタード色になっていなければ、台車はスキーリフトにもなるでしょう」。

サトカのマグネサイト工場

 「路肩に車を止めるたびに眺めが景色や街が、まるで映画のように、より強力で、より共感できるものに感じられました」とイーゴリさんは言う。「そんな場所の一つが、ユーラシアの国境上にある、象徴的なヨーロッパ・アジアの境界線を示す旗竿があるズラトウスト近くのガソリンスタンドでした」

サトカのマグネサイト工場

 インドネシアの建築家ナシン・マフタニさん(27)はウラルの風景の多様さに感銘を受けた。「鉱山でもっと長い時間を過ごし、時代を経た景色の変遷についてもっとよく知るために周辺に暮らす人々と話をしたりできればいいなと思います。とくに鉱山と日常的に直接関わってきた人々がその変化をどのように感じていたのかを知ることができれば嬉しいです」。

サトカのマグネサイト工場

 アメリカの都市調査員ソフィア・ピア・ベレンキーさん(29)はチーズ製造が主な産業だった小さな街で育ったため、「モノタウン」というコンセプトに詳しい。そんな彼女は今回訪れた多くの街も唯一の産業に支えられた「モノタウン」であると指摘する。ソフィアさんはある意味これらはアメリカの巨大なグーグルキャンパスを思わせると話す。「技術的には街ではないものの、キャンパスが住宅、教育、ジム、レストランなどを供与してくれるのです。こうしたハイテクキャンパスが新たな企業都市となり、労働者の関与と製造力を最大化するために、労働力を支えていくのです」。

チュリロヴォの巨大な温室

 チュリロヴォの巨大な温室はギリシアの建築家で地理学者のゲオルク・パパマタイアキスさん(27)のお気に入りの場所である。「わたしたちはこの“野菜工場”に同じ日に2度訪れました。早朝と夜遅い時間です。朝はさまざまなセクションを案内してもらったのですが、夜に見た光景は衝撃的でした。空を照らす数千の電球と周辺の農場複合施設を見ることができたのです」。

ヴィソタ239

 ソフィアさんはクラスメートの意見にうなづく。「夜になると、温室の光が空中に広がって、化学的な日の出のようになっていました。わたしたちはその輝く水平線に向かってドローンを飛ばしました。農業複合施設の周辺はとても明るくて、近くのアパートに住む人たちは電気をつけなくてもいいほどだと聞きました」。

 旅の間、調査員たちはウラル地方の2つの異なる側面を体験した。彼らは工場や鉱山を訪れ、また自然保護区や美しい景色を目にした。ウズベキスタンのアーバンデザイナー、ナビ・アグザモフさん(29)にとって一番印象に残ったのは、もっとも汚染が進むカラバシとロシアで2番目に澄んだ湖トゥルゴヤクのコントラストだと話す。雪に覆われた湖は非常に印象的で、彼はもう一度湖を訪れたいと話す。

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 学生らはこれらの場所を訪れたことで、我々人類がこれらの景色から何を奪ったのかを理解することができるようになったと話す。ソフィアさんは回想する。「わたしたちは、飛び散る火花から遠く離れて、白衣とヘルメットをかぶって窓ガラスの反対側にある人道橋の上からパイプがカットされるのを見下ろしていました。ここで機械が風景を作り出していたのです。人間が快適なコントロール室のモニターを気楽に眺めている間にね」。

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 一方で調査員たちは、ロシアでの新発見を続けたいと話す。ペルミやイルクーツク、ウラジオストクなどの大都市と並んで、多くの学生がロシア北方、カムチャツカなどを訪れたり、1週間かけてシベリア鉄道の旅を経験したいと話してくれた。

* 取材にご協力いただいたロシアのストレルカ建築デザイン大学に感謝します。

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