ロシアのクラフトビールが急成長

ビール

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=Vostock-Photo
 クラフトビールの現象が電光石火の速さで世界を席巻していることにはビール通でなくても気づくだろう。地ビール運動は1970年代にイギリスで始まったもので、現在ではロシアにも達している。だがロシアの諺にもあるように、「我々は鞍をつけるのは遅くても、乗るのは速い」。

 近年、モスクワには地ビールや醸造所併設タイプのパブ、クラフトビールバーが、雨が降った後のキノコのように(日本風に言えば、雨後の筍のように)、次々と出現した。ビールの種類やパブの数は見ただけでも圧倒されてしまうので、ロシアNOWは、I Like Barのバーテン長でロシアのクラフトビール界では名の知られたドミトリー・ナム氏に詳しく話を聞くことにした。

 

―ドミトリーさん、クラフトビールがロシアで初めて軌道に乗ったのはいつ頃だったのですか?

 2012年に、サンクトペテルブルクのヴァシリエフスキー島に所在する地ビール醸造事業所、AF Brewが初のクラフトビールを発売しました。ですからそれをロシアにおけるクラフトビール元年と位置付けることができます。そして、サンクトペテルブルクは事実上、ロシアにおけるクラフトビール文明の発祥地となっています。

―ロシアのクラフトビールにはどのようなタイプのものがあり、どのような点が違っているのか、説明していただけますか?

 ロシアでは、薄い色、濃い色、小麦を用いたビールや、熱処理または濾過処理により酵母菌が除去されておらず賞味期限の短いタイプのいわゆる「ジヴォエ (生)」 ビールが醸造されています。ビールは醸造工程によって分類されています。上面発酵ビールは、常温で (摂氏15〜27度) で出芽酵母を用いて発酵されます。これは古くから行われてきた発酵・醸造方法です。有名なピルスナーにより普及した下面発酵方法では、ビールが摂氏4〜12度の低温で醸造されます。さらにハイブリッド・ビールがありますが、これは手法、原材料と上面・下面発酵方法を組み合わせたものです。ビールは色によっても分類されます。

 独立国家共同体(CIS)の後援のもとで運営されているロシアの全国標準規格機関GOSTによる分類では、淡色と濃色の2種類があります。大麦の麦芽がどれだけ加熱されるかによって、醸造されるビールの種類や色合いが大きく左右されます。

 

―ロシアのクラフトビールは外国産のビールとどの点が異なっていますか?

 ロシアにおけるクラフトビール文化はまだ未熟です。ロシアの法律では、例えば1さじの蜂蜜を添加するなど、規定されたビールの醸造方法から少しでも逸脱する場合は、新たな品種として登録しなければならないことになっています。しかしクラフトビールは特製の飲料で、それぞれの醸造業者はアーティストであり、自社のビールについて独自のビジョンを持っています。

―これまでにロシアのクラフトビールを試したことがない人に最初にお薦めするのはどのようなビールですか?

 手始めはペールエールがいいと思います。麦芽の味はマイルドから中程度で、シトラスとフローラルの風味が特徴のアメリカのエールに似ています。インディアン・ペールエール、IPAという略称でよく呼ばれるビールはホップの風味が豊かですが、これもより広範なペールエールの一種です。大麦ワインは強力な上面発酵のエールで、そのアルコール度数は最低9%ですが、13%以上の場合もあります。米国のものは強烈なフルーツとホップの風味が特徴であるのに対し、英国風のものは麦芽とホップのバランスが特徴です。ロシアン・インペリアル・スタウト (RIS) は本格的なスタウトで、強烈に濃い色をしており、アルコール度数も高く、シロップのようでありながら、ほろ苦さも備えた、熟成するのに適したビールです。

 新しいタイプのビールを試してみるのに、強烈で苦みの強い味を楽しめるとは思えないので、まずはアメリカン・ペールエールから初めて、徐々にホップの風味の強いものを試していくのが最善でしょう。

 話していると飲みたくなってこないだろうか? そのような方のために、モスクワとサンクトペテルブルクにある評判の高いクラフトビール専門パブをご紹介しよう。

モスクワ:

 

サンクトペテルブルク:

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