2000年代初頭、ロシア軍は軽くて効果的な新しい拳銃を求めていた。マカロフ拳銃よりも強力で服の下に隠せるようなものだ。そこでロシアの銃器メーカーはこの要求に応え、世界で最も軽量な拳銃「GSh-18」を開発した。この拳銃は間もなくロシア軍の全軍種に供給され、ロシアの治安維持職員に好まれる銃の一つとなった。
治安部隊では今後制式拳銃としてGSh-18をPLKに更新する計画だが、筆者はその前に射撃場でこの銃の性能を試してみた。
クローズアップ
筆者がこの銃を試射したのは2021年9月初旬、モスクワ郊外の射撃場においてだ。
外観から始めよう。一見すると金属のフレームにプラスチックのグリップを備えたグロックの簡易版のようだ。しかしオーストリアの拳銃とロシアの拳銃の間には大きな違いがある。グロックはスタイリッシュで使い心地が良く、握り心地も良いが、GSh-18は角ばっており不格好だ。
「外見はロシアの設計者にとって重要な要素ではなかった。この銃は市販品として世界中の銃砲店で売られるために作られたのではない。GSh-18はロシアの他の拳銃と同じく、国防省の要求に応えて作られたものだ」と特殊部隊の教官であるアンドレイ・ピスクノフ氏は話す。
射撃場の技師らによれば、国防省は可能な限り軽い拳銃を求めていたという。
「GSh-18は世界一軽い拳銃を目指して作られたわけではなく、軽さは偶然の産物だった。2000年代当時、設計者らはグリップに特殊なポリマーを使い、フレーム内の重要な金属部品だけは銃の操作性と頑丈さを保つために残した」と高精度兵器社の主導的な技師、ユーリー・オメリン氏は言う。
拳銃のフレームは角ばっており、グローブなしで発砲すると手が擦れる。だが、マガジンの装填はスムーズかつ楽にできる。
グリップは幅が広く握り心地が悪い。トリガーは長く、グロック式のセーフティーが備わっている。これは前代のトカレフ拳銃やマカロフ拳銃に比べて非常に実用的な改良点だ。
GSh-18は慣れるのに時間がかかる。標準的な1キログラムの拳銃と同じようにきつく握ると、発砲時に銃身が下がってしまう。できるだけ手の力を抜き、20~25㍍先の標的をできるだけ正確に撃つ必要がある。
治安部隊員はGSh-18の火力を重宝する。マカロフ拳銃が貫けない防弾チョッキを貫けるからだ。
性能
GSh-18は世界で最も普及している9×19 mmパラベラム弾(ルガー弾)を使う。この拳銃はマガジンが大きく、最大18発装填できる(ちなみにマカロフ拳銃の装弾数は8発だ)。
GSh-18は第2級の防御力を持つ防弾チョッキを貫ける。2021年には第3級の防御力を持つ防弾チョッキをも貫通する弾薬を使用できるようになった。
GSh-18の寿命は3万発だ。重さは580グラムで、軍用としては今でも世界で最も軽い拳銃であり続けている。しかし民間市場にはより軽い拳銃が存在する。
「こうした拳銃は婦人用拳銃と呼ばれている。小口径でハンドバッグに隠せる。戦闘では全く効果がないが、護身用には十分だ」とオメリン氏は指摘する。
この拳銃は今日まで20年間ロシア軍で運用され続けているが、今後カラシニコフのPLKに更新される予定だ。