プーチン大統領の護衛が使う2つのライフル

Ilya Pitalev/Sputnik
 これらの高精度の銃は、世界中で秘密裏に行われている作戦に不可欠なものとなっているが、大統領を含め、ロシアの要人を護衛するのにも使われている。

 ロシア連邦大統領を護衛する特殊部隊は、兵器市場に流通している最新かつ最先端の銃を手にすることができる。

 人が集まるイベントでプーチン大統領を警護する隊員が所持しているのをカメラが捉えたスナイパーライフルは2つある。我々はモスクワのイベントで要人警護をしたことがある狙撃手に、これらのライフルを扱った経験について、また数あるスナイパーライフルの中から要人を守るためにこれらの銃が選ばれた理由について聞いた。

オルシスT-5000

スナイパーライフルT-5000

 軍用・警察用のスナイパーライフルT-5000はオルシス社によって2011年に作られた。兵器市場で最も高精度のライフルの一つとされ、100㍍離れた的に3発の.308ウィンチェスター弾を放てば、それぞれの弾痕の間隔は15ミリメートル以内に収まる。 

 警護部隊は市場にT-5000が現れた直後にこれを大量に購入し、翌年には連邦保安庁(FSB)のアルファ部隊がこのライフルで国際狙撃大会に優勝した。

 「このライフルは、以前ロシアの特殊部隊が購入したオーストリアのシュタイヤー・マンリヒャーSSG 08よりも精度が高いことが分かっている。あまり知られていないことだが、1990年代と2000年代には高品質の国産スナイパーライフルはなく、軍の司令部は外国製品を買わなければならなかった」と元FSB狙撃手のイワン・アレクセエフ氏は明かす。

 彼によれば、オルシス社は2000年代後半にロシアの兵器市場に登場した最初の企業の一つだ。当時は原油価格が高く、影響力と資金力のある人々は民間の銃器メーカーに投資して外国のスナイパーライフルに勝る銃を生み出す機会を狙っていた。

 「軍の上層部は、要人を守る特殊部隊のライフルや弾薬を外国から買わなければならないのが気に入らなかった」。

 T-5000はオルシスの看板商品だ。このライフルは会社に名声をもたらし、軍にも旧式のドラグノフ狙撃銃に代わる制式スナイパーライフルとして採用されかけた。しかし、密室内の官僚主義、ロビー活動、利害の衝突によってこの可能性は閉ざされ、ラトニク2兵装に統合されるべきロシアの新世代スナイパーライフルを開発する契約は未だにオープンだ。

 T-5000は世界中で販売されており、世界中の愛好家や特殊部隊員が手にしているのを見ることができる。ただし、ロシアの兵器メーカーが強いつながりを持つ中東や東南アジアがメインだ。

 T-5000はボルトアクション方式の連発式ライフルで、ボルトの前部に2つのロッキングラグが付いている。アルミニウム合金でできたストックの接合部は鍛えられたステンレス鋼でできており、リコイルが最も大きい弾薬を使っても全くずれない。

 「この銃は旧式のドラグノフ狙撃銃に比べてリコイルが小さくて快適だ。欠点と言えばたくさんのポリマー製部品だ。個人的な感想としては、トリガー機構ももっとスムーズにできたかもしれない」とアレクセエフ氏は指摘する。 

SV-98

スナイパーライフルSV-98

 SV-98はソ連崩壊後初めて作られたスナイパーライフルの一つだ。カラシニコフ・コンツェルンの子会社が開発し、現代的なスナイパーライフルを渇望としていたロシアの特殊部隊によってすぐに採用された。要人警護部隊も例外ではない。 

 ロシアの他のスナイパーライフルと同じく、SV-98はドラグノフ狙撃銃の後継となるべく開発された。しかし軍には採用されず、代わりに特殊部隊に購入された。

 筆者自身、どの車のトランクにもAKが入っているようなロシア随一の物騒な地域、チェチェンで行われた特殊部隊コンテストでこのスナイパーライフルを目撃した。

 このライフルは、現代の他のスナイパーライフルとは違ってストックが木製で、雨の後は濡れて膨らむこともあった。当初は7.62×54mmR弾を使用していたが、この弾薬は300㍍以上先の小さな標的を狙う精度の高い射撃には向いていなかった。

 後にSV-98はNATOの.308ウィンチェスター弾と.338ラプア・マグナム弾を撃てるように改良され、より精度が高くなった。

 それでも、この銃には今なお欠点も多いという。匿名希望の特殊部隊将校が語った。

 「スナイパーライフルで最も重要なのはバレルと弾薬だ。開発者らは弾薬の問題を解決したが、バレルがまだ問題だ。バレル内のライフリング(弾道を安定させる線条)がきちんと刻まれていることもあれば、十分に注意が払われていないこともある。袋に入った猫を買うようなものだ」と将校は明かす。

 彼はまた、ドラグノフ狙撃銃と同じほど粗雑なトリガーが気に入らないと話す。特殊部隊の作戦には向かないのだという。

 「軍用には十分かもしれないが、部隊に資金があるなら、司令部は他のライフルを買うだろう」と彼は言う。

 また彼によれば、SV-98は初心者向けのライフルだという。

 「このライフルは時間をかけて進化し、1990年代後半に比べて良くなった。ストックはアルミニウム合金製になった。精度も上がった。しかし、市場にはもっと良いライフルがある」。

 欠点があるものの、SV-98には用途があり、実際に初心者が使うのに適している。ロシアには何万丁ものSV-98があり、一キロメートル以上離れた標的を撃つ術を学ぶのに用いられている。

 この銃で基本を習得すれば、より先進的なロシア製ないし外国製のライフルに進むことができる。

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