ロシアの大砲が「遠隔操作」できるようになる

Dmitry Fedyushko/TASS
 史上初めて、指揮官らは安全な場所にいながらタブレット端末で自動的に標的をロックオンし、大砲で敵を攻撃することができるようになる。

 ロシアの「高精度兵器」社が、戦場での大砲の完全な遠隔操作の能力を砲兵隊に与えるタブレット端末を開発した。この「タブレットA」と呼ばれる製品は、2020年9月にモスクワ郊外で行われた兵器展示会で公開された。

 同社によれば、この技術の主な特徴は、ロシア軍が現在運用している大砲の射撃精度を劇的に高められることだという。

 ロシアは203 mm自走砲2S7M「マルカ」や自走迫撃砲2S4「チュリパン」など、あらゆる口径の強力な大砲を持つ世界有数の先進的な砲兵隊を有している。

 一方でロシアは、152 mm自走榴弾砲2S19M2「ムスタ-S」や新型の152 mm自走榴弾砲2S35「コアリツィヤ-SV」などの新しい大砲も追加し続けている。

 またロシアの技師らは、82 mm口径の2S42「ドロック」(Дрок)や120 mm口径の2S40「フロックス」(Флокс)などの新しい装輪自走迫撃砲の開発にも取り組んでいる。これらの自走砲は数年以内に公開される予定だ。

「タブレットA」

 このシステムは砲兵隊の指揮官用に作られた。すでに国家軍事試験に合格にしており、このタブレットと大砲用のコンピューターシステムの第一弾をすでに国防省が購入している

 これはもっぱらロシアのコンピューター技術で作られており、自走砲や多連装ロケットシステム、迫撃砲、牽引砲の中隊や師団での使用を念頭に置いている。

 タブレット端末のソフトウェアを使えば、可能な限り短い時間で砲兵隊のさまざまな課題を解決できるようになる。このアプリによって、弾道の計算時間が格段に短くなり、大砲の精度も向上する。

 タブレットAは、レーザー距離計やさまざまな天候分析システム、弾道測定基地などの最先端の機器と連携して機能し、あらゆる情報を自動的に受け取る。目標の座礁や天候の影響、弾道射撃の結果などの情報がすべてコンピューターに送られる。

 このシステムは多機能だ。ロシアの現代の大砲システムをすべてコントロールでき、さまざまな発射物の装填を管理できる。タブレットAは耐久性と防水性にも優れ、数時間水に沈めた後でも正常に動く。

 コンパクトで軍装「ラトニク-2」とも併用できる。

 「これは指揮官が戦場ですべての砲戦力をタブレット端末から同時に操作できる初のテクノロジーだ。ロシアは外国の軍に倣って軍の自動化とロボット化を進めているところで、したがって世界の軍で最初の遠隔操作タブレット端末というわけではないが、これは大砲と迫撃砲を同時にカバーする世界唯一のタブレット端末だ」と軍事科学アカデミーのヴァジム・コジュリン教授は話す。

 彼によれば、このテクノロジーはすでにシリアの紛争で実戦に投入されており、ロシアのパラシュート部隊が迫撃砲を載せたティーグル軽装甲車で敵の基地を急襲した際に使用されたという。

 「端末のコンピュータープロセッサーは、家庭用コンピューターに比べてかなり遅いが、タブレット端末自体は耐久性が高く、戦車の下に放り込んでも壊れない。耐水性もあり、特定の作戦地帯にあるすべてのコンピューターを使用不能にする強力な放射電磁界にも耐え得る」と専門家は指摘する。

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