新技術はイタリアのセリエA、ドイツのブンデスリーガ、イングランドのFAカップで試験導入されたのち、ワールドカップでデビューを果たした。ビデオ判定が今回のワールドカップで初めて用いられたのはフランス対オーストラリア戦で、フランスにペナルティーキックを与える結果となり、試合の流れを決定付けた。
グループCのレ・ブルー(フランス代表)対サッカルーズ(オーストラリア代表)の試合は、0対0で膠着していた。その時主審のアンドレス・クンハがピッチ脇のモニターでリプレー映像を確認することを決めた。この技術によって彼の判定は覆った。結果的にクンハはフランスに2本のPKを認め、フランスは2対1で勝利した。
ビデオ判定はポルトガルに対するジエゴ・コスタの初ゴールを確認するのに用いられたほか、ペルー対デンマーク戦、スウェーデン対韓国戦、コスタリカ対セルビア戦でも使用された。
ワールドカップ今大会の全64試合でビデオ判定が審判団を補助することになっている。システムが用いられるシナリオは4つある。ゴールが決まった後、反則の判定がなされた後、レッドカードが出た後、選手の確認の必要がある時(例えば誤って別の選手を退場させた可能性がある場合)だ。
この技術は、33台の異なるカメラ(うち2台は選手のオフサイドを感知する特別な高性能カメラ)のネットワークを用いてリアルタイムのビデオ分析を提供する。FIFAはモスクワにビデオ判定オペレーションセンターを一箇所設けている。このオペレーションセンターは、光ファイバーのネットワークで全試合会場とつながっている。
世界の主導的な審判のほとんどがこの技術の導入を歓迎している。「ビデオ判定は我々の親友になり得る。今後は決定的な誤審をせずに済むだろう」とオランダ人審判のビョルン・キュイペルス氏は話す。しかし、ビデオ判定が審判の判定を鈍らせかねないという不安の声もある。
ロシア人審判のセルゲイ・フサイノフ氏は、新技術が助けになることは確かだが、これが審判団の集中力を低下させることもあり得ると指摘する。「リプレーを見る判断がなされるのはどういう時か。それは判定が遅れた時だ」とフサイノフ氏は言う。
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