セルゲイ・リャザンスキー宇宙飛行士=
エフゲニー・オディノコフ/ロシア通信生物学者なのに、宇宙船の船長になった。宇宙飛行士なのに、宇宙に行く予定はなかった。これが変わったことだった時代もあったが、今はそうではない。
リャザンスキー氏は、特別な過程を経て、宇宙に行くことになり、ロシア最長の宇宙遊泳を記録し(8時間5分)、初めてオリンピックの聖火トーチを宇宙に持ち込んだ。リャザンスキー宇宙飛行士は、宇宙に行くチャンスに恵まれるまで、それを夢見ることなどなかった。
次のISSへの遠征は7月27日予定されている。リャザンスキー宇宙飛行士は、イタリアのパオロ・ネスポリ宇宙飛行士、アメリカのランドルフ・ブレスニク宇宙飛行士を含むクルーをまとめる船長に選ばれた。
イタリアのパオロ・ネスポリ宇宙飛行士(左側)、セルゲイ・リャザンスキー宇宙飛行士(中央)、アメリカのランドルフ・ブレスニク宇宙飛行士=エフゲニー・オディノコフ/ロシア通信
国際宇宙ステーション(ISS)は長い鉄管。長さ60メートルで、6つのキャビンがある。それでも同時に9人のクルーがいた。実験室で暮らしていた人もいれば、保管室や天井で暮らしていた人もいる。ところで、モジュールが真ん丸でも、一応床と天井がある。地球と同じような状況を頭の中で維持することは、健康のためにとても重要。
バイコヌール宇宙基地= Global Look Press
ISSから地球のまわりを一周するのに90分かかる。45分間は昼、45分間は夜。休日と勤務日の定義が違う。地球とは違い、起きると課題リストが待っている。宇宙飛行士は毎日2時間運動をする。あと、誰もチューブから食べていない。フリーズドライ食品、缶詰がたくさんある」とリャザンスキー宇宙飛行士。
「ある時、ISSで電力の70%が喪失し、結果的にコンピュータの70%が止まった。アメリカ・セグメントで発生した緊急事態だった。ミッション・コントロール・センターに連絡して、『ヒューストン、問題がある』と言った。”ヒューストン”からは、『了解。では寝るように』と言われた。とてもストレスの強い状況だった。最悪のシナリオは、帰還すること(無事に帰還できる確率は60%)。だが寝ている間、NASAは世界中からこのプロジェクトに参加した経験のある宇宙飛行士を招集して、状況の実践を行った(宇宙シミュレーション)。正直、この状況を切り抜けられるとは思っていなかった。だが翌日には、どうすべきかを指示された。ところで、宇宙で最悪なこととは、トラブルじゃない。地球にやり忘れたことがある時」
ロシアの宇宙飛行士=ZUMA Press/Global Look Press
「たとえば、宇宙飛行士は、飛行機からパラシュートを使って降下でき、パラシュートが開く前に課題を解決できなければいけない。ストレス耐性テストもある。ちょっと驚いたけど、私は平均して、地球の2倍速くできる(24秒に対して12秒)。他のテストは、小さな部屋の中で3日間、寝ずに書いたり、話したり、絶えず何かをし、課題に集中して過ごすもの。不時着を要する場合は、即座に反応できなければいけない。このような状況で1秒無駄にすると、地球上で80~200キロ場所がずれてしまうため」
無重力状態=ZUMA Press/Global Look Press
「子どもの頃の夢は、生物学者になることだった。生化学者として大学を卒業して、ロシア科学アカデミー生物医学研究所に就職した。ロシア科学アカデミーはある時、宇宙実験を行う科学者が必要だと発表した。とても賢い科学者と、とても健康な科学者が選ばれたようだった。私は後者で、私だけが調査宇宙飛行士に選ばれた。2005年までに、訓練は完了した。その2年前、アメリカ航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル『コロンビア号』が地球の大気圏で空中分解し、乗員7人全員が死亡する事故が起きていた。その後、NASAは2017までの乗員の科学者枠をすべて買収したという問題が明らかになった。12年宇宙に飛行しない者に給与を支払うところなんてない。『自分自身のせいではなくて、これはただのビジネス』だと自分に言い聞かせた。そしてこの時、本当に宇宙に行きたいという気持ちになった。
軌道上=ZUMA Press/Global Look Press
宇宙には行かなかったが、105日間の火星有人探査シミュレーション計画『Mars500』に参加した。その後の記者会見の時、上級大将のロシア連邦宇宙局(ロスコスモス)長官に、いつ宇宙に行くのかと聞かれたため、『行かない』と答えた。『宇宙飛行士なのでは』と聞かれたため、『そう』と答えた。『ではいつ宇宙に行くのか』とまた聞かれ。『行かない』とまた答えた。長官は宇宙飛行士を宇宙に送る宇宙船に関する制限を理解できず、私を例外扱いしてくれた。こうして、正式な工学教育を受けていない最初の飛行エンジニアになることができた」
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