アムールトラ=福田俊司撮影、写真提供:世界自然基金(WWF)、アムール支部。
20年間ロシアの自然を撮り続ける
有名な動物写真家、福田俊司さんは、ロシア極東・沿海地方のラゾーフスキー自然保護区で撮影した野生のアムールトラの写真により、自然写真コンテスト「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー2013」の絶滅危惧種部門で「ジェラルド・ダレル特別賞」を受賞した。同氏は、賞金の1500ポンドを、20年にわたりこのレッドデータブックに掲載されている「巨大な猫」の保護に従事している世界自然基金(WWF)アムール支部に寄付した。
50日目にアムールトラの撮影に成功
福田さんは、20年以上、ロシアで野生動物を撮り続けている。初めてロシアを訪れたのは1990年で、それ以来、沿海地方、ヤクーチヤ(サハ共和国)、カムチャツカ半島、クリル(千島)列島、オホーツク海沿岸、さらには北極圏を訪れており、ウランゲリ島では、外国人カメラマンとして初めて、巣穴から出てくる子連れの雌のホッキョクグマを撮影し、クリル列島では、身につけた潜水技術を用いて、海中で作業を行った。
同氏は、野生のアムールトラの撮影に成功した最初の日本人写真家で、そのために、ロシア人写真家のウラジーミル・メドベージェフさんと1,5×2,5メートルの狭い隠れ処で何日も過ごし、その困難な撮影の開始から50日目にあたる昨年2月27日に、ついに幸運の女神が微笑んだという。
福田俊司氏=写真提供:世界自然基金(WWF)、アムール支部。
「ロシアの自然の豊かさと雄大さの象徴」
福田さんは、同氏が名誉所員となっているウラジオストクのロシア科学アカデミー極東支部海洋生物学研究所での式典でこう語った。
「私は、ロシアですでに23年間写真を撮っていますが、自分の目でアムールトラを目にしカメラに収めることをずっと夢見ていました。それが、昨年、63歳にしてついに叶ったのですが、私は、その瞬間、その感触を捉えるために生涯を捧げるつもりでいました…。トラは、タイガの帝王、ピラミッドの頂点であり、トラがいるということは、自然が健やかであるということです。そして、何と言っても、アムールトラは、ロシアの自然の豊かさと雄大さの象徴です」
祝辞を述べたロシア自然保護基金(WWF)アムール支部のユーリイ・ダルマン支部長は、その形象が日本の動物写真家にとって長きに亘る創造と成功のシンボルとなったアムールトラの保護にその賞金を役立てることを約束した。
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