ミハイル・ゴルバチョフ氏=
ロイター通信当時の状況は複雑で、矛盾していて、総じて不穏だった。(中略)そして全体的な状況が警鐘となった。アメリカの船舶がソ連の領海を「開拓」しようとしたり、アメリカが核兵器の実験を行ったり、スパイのスキャンダルを誘発したりしていた。(中略)米ソの協議を、裏で別段何も起こらないような衝立に変えてはいけないと考えていた。核軍拡競争も続いていたし。そのため、私は協議を前進させるために会わないかと、アメリカ大統領に提案した。会談が決まり、準備を始めた。レイキャビクには、建設的な提案を持って行く必要があった。
ロナルド・レーガン大統領は少し困惑していた。(中略)大統領はSDI計画(宇宙に兵器を配備する戦略防衛構想)を続けたがっており、さらに世界的なNMD(米ミサイル防衛)配備でソ連から承認を得たがっていた。これを私は承諾できなかった。
(中略)第一に、多くの問題について我々(レーガン大統領と自分)は合意した。第二に、核のない世界という未来を見通した。
レーガン大統領が会談の際、決意を持って、また心から(と私は思う)、大量破壊兵器およびあらゆる種類の核兵器を世界からなくすことが必要だと話したことに、感銘を受けた。この点で、考えは同じだった。
(中略)世界は危険な境界線へと到達したと思う。具体的な指示はしたくないが、止まれと言いたい。対話を再開させる必要がある。対話の停止は最大の過ち。最優先課題に立ち戻らなければならない。それは核兵器の削減、テロとの闘い、環境災害の防止。他の残りの課題の優先順位はこれらの課題の次。
現状で核のない世界について話すのは容易ではない。それは正直に認めなければならない。だが忘れてはいけないことがある。核兵器がある限り、その使用の危険性は存在するのだと。偶発的、技術的故障、または理性を失った者やテロリストなど、人間の悪意の結果として。その影響はご想像の通り。ロシアとアメリカは核兵器の不拡散に関する条約で、撤廃までの削減交渉の実施を義務づけられている。したがって、核のない世界とはユートピアではなく、是が非でも必要なことである。だがそれが実現するのは、政治の非軍事化、国際関係の非軍事化という条件がそろって、初めて可能になる。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。