ロシア下院選挙=
ユーリー・スミチュク撮影/タス通信大統領に忠実な政権与党の立場をとる「統一ロシア」は、2003年から国家会議(下院)の3会期連続で政権の座にある。現在、ドミトリー・メドベージェフ首相の率いる同党は、議会内での安定多数の維持を目指しているが、国内の危機がその妨げとなる可能性もある。
8月、「レヴァダ・センター」による世論調査は、「統一ロシア」の支持率の低下を示し、議会選挙が最も近い週末に行われた場合に同党へ投票すると答えた人は、回答者の31%にすぎなかった。これは、2016年初め以来最も低い数字である。専門家らは、「統一ロシア」の支持率低下の原因は、ロシアにおける社会的・経済的危機にある、としている。
ロシア国立研究大学・高等経済学院(HSE)・政治学部のレオニード・ポリャコフ教授は、国民は生活水準低下の責任は政権にあると考えており、危機は政権与党にとって好ましくない背景であるとし、「これは、どの国でも起こっている当たり前のことであり、すべての政治的な矛先は、まさに政権与党へ向けられる」と本紙に語る。
モスクワ国立国際関係大学の教授で政治アナリストのヴァレリイ・ソロヴェイ氏も、同じ見方をしている。同氏は、「統一ロシア」に対する社会の実際の見方は、同党が選挙で勝利したのちに結果の改竄に対する大規模な抗議や非難が始まった2011年と比べても悪化した、とし、「一部の地域では、状況が緊迫しており、人々は、その責任はまさに『統一ロシア』にあるとしている」と語る。
ソロヴェイ氏は、ロシアの指導部は、選挙を前にして、政府および政府と一枚岩の「統一ロシア」の支持率を低下させるおそれのある「バラスト(底荷)」を排除することにした、と述べる。
専門家らによれば、議員の半数(450人のうちの225人)が小選挙区で選ばれる並立制が今回の選挙で導入されることは、政権に忠実な候補が選挙において政党を代表するのではなく自分自身をアピールする可能性を与えるものであるだけに「統一ロシア」にとっての追い風となる。
ソロヴェイ氏は、「小選挙区であれば、表向きには無所属と称して実際には政権に忠実である候補を、強い反発を招くことなく当選させることができる」と本紙に語った。その一方で、同氏は、地元のエリートに支持される他党所属の有力な候補がいる選挙区では「統一ロシア」が苦戦を強いられかねない点を指摘しており、同氏の算定では、全部で225のうちの50~60ほどの選挙区においては激戦も予想される。
同氏によれば、プーチン氏のイメージに頼るならば、9月18日の「統一ロシア」の勝利は確実であり、このことは、プーチン氏が9月6日に「統一ロシア」の代表らと会談したのちに同党の支持率が39%から41%に上昇したことからも判る。
また、際立ったライバルがいないことも、「統一ロシア」にとって都合が好い。世論調査機関のデータによれば、国会に議席をもたない政党の支持率は、1%以下である。また、国会に議席をもつ共産党、極右の自由民主党、政権寄りの左派野党「公正ロシア」の3党も、人気が今一つであり、電子メディア「ガゼータ・ル」は、「それらの党は、どんぐりの背比べの観があり、自らを巧くアピールできていない」との政治工学センターのアレクセイ・マカルキン副所長の発言を引用している。
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