ロシア海軍太平洋艦隊の演習=
ユーリイ・スミチュク撮影/タス通信ロシア国防省は、太平洋艦隊のために島々を調査すべくクリル(千島)列島へ調査隊を派遣した。同列島の調査には、大型揚陸艦「アドミラル・ネヴェリスコイ」をはじめとする太平洋艦隊の6隻の艦船および総勢200人以上が参加した。
ロシア東部軍管区司令官のセルゲイ・スロヴィキン陸軍大将によれば、国家は、同方面における安全保障および領土保全のための先例のない措置を講じている。とくに、ロシア国防省には、2020年までにサハリン、クリル(千島)列島、北極圏において軍事インフラを発展させるという任務が課されている。
同司令官が指摘したところでは、計画的な兵団や部隊の再軍備が進められ、すべての階級の軍人とその家族の社会的保護の充実が図られている。
イズヴェスチヤ紙のドミトリー・サフォノフ軍事評論員によれば、ロシア軍は、太平洋艦隊の新たな拠点もしくは軍隊の分散地点を探しており、東部軍管区司令部は、沿岸ミサイル部隊および防空拠点の創設のための追加の選択肢を求めている。
しかし、地域には、ロシア軍の可能性を制限する数多くのニュアンスが存在している。
サフォノフ氏は、こう述べる。「わが国の歴史には、興味深い先例があった。国防省は、占守島に防空基地を配置したが、それは、数年後に津波で流された。地域の地理的特性を把握する必要があり、すべての島へ兵団を配置できるわけではなく況してやそこに壕舎を築いて生活することなど論外であることを考慮しなくてはならない」同氏は、島々の開発にあたってソ連は一連の過ちを犯したとし、こう語る。「最初、みんなは、島々の道が金網に覆われていることを笑い、それを剥がしてコンクリートで道を固めてその脇に家を建てていった。やがて秋が来ると、道は“流れ”はじめた。日本人は、われわれよりずっと賢かった。金網は、雨でも泥を保ち、これが、島を“泳がず”に移動する唯一の方法だった」
サフォノフ氏の指摘によれば、家々は、極東の風雨に晒されてたった一シーズンで廃墟と化し、毎年、インフラ全体の復旧へ資金を費やさねばならなかった。同氏は、そうした気候的特性を考慮してロシアは(国後と択捉にあるものを除いて)ほかの島々へ兵団を配置しない、と結論する。
クリル(千島)列島の現代化および再装備は、2010年から行われている。この方面における国の安全保障の根幹を成しているのは、東部軍管区に属する第18機関銃・砲兵師団である。ここ数年間で、その兵員数は増加し、T-80BVを擁する戦車大隊がその構成下に入った。
また、昨年、防空ミサイル・システム「トール-M2U」が、クリル(千島)列島に配備された。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相によれば、2016年には、ミサイル・システムの「バール」および「バスチオン」ならびに新世代の無人飛行機「エレロン-3」が、そこに追加配備される。
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