タス通信
モスコフスキイ・コムソモレツ紙は、ドンバス(ドネツ炭田)における実際の停戦はいまだに訪れていないとし、こう伝えている。ドネツィク(ドネツク)州における停戦は、どうやら見受けられず、デバリツェヴォ、ドネツィク、マリウーポリが、ホットスポットとなっている。「ルハーンシク(ルガンスク)人民共和国」の武装部隊はデバリツェヴォを包囲しようとしており、そこでは町や郊外に対する砲撃が絶えない。ドネツィクでは空港に対する攻撃が見られ、周辺のペスキーやアヴジェーエフカなどでも激しい戦闘が行われ、そこは今のところウクライナ軍が堅守している。
戦闘にもかかわらず、人々は、ドネツィクへ帰還しつつある。すでに約5万人が戻り、多くは子供やお年寄りを連れている。彼らは停戦を信じて戦争に気づかないふりをしているが、砲声が止むことはない。
ヴズグリャード紙は、ペトロ・ポロシェンコ大統領の声明についてこう伝えている。ウクライナは、米国その他の西側諸国から軍備面で必要なすべてのものを得た。ポロシェンコ氏は、ウクライナの兵器の三分の二が破壊されたことを認めたものの将来を楽観視しており、兵器の損失がすでに補われたことを指摘し、最近の米国およびカナダへの訪問の過程で手に入れた新たな武器供与の確約に言及した。しかし、バラク・オバマ大統領が約束したのは、5300万ドルという僅かな額の資金提供にすぎず、ポロシェンコ氏の威勢のいい声明とは裏腹に、ウクライナの軍事アナリストらは、今のところ西側の武器の供与について語ることはできない、としている。実際、ウクライナは、現実的な軍事支援を当てにすることはできず、ポロシェンコ氏は、米国その他のNATO加盟国から旧ワルシャワ条約機構諸国の装甲兵器を手に入れるのが関の山であろう。
エクスペルト誌は、ドンバスにおける紛争へのロシアのアプローチを分析してこう伝えている。過激な愛国主義者らは、ロシア指導部の姿勢を「ドンバスの放棄」とみなし、ミンスク議定書の調印を「ロシアの国益に対する裏切り」と断じている。
しかし、ロシア指導部は、プラグマティックなアプローチを堅持しており、ウクライナ南東部をウクライナ全土を占領するための足場にするつもりはまったくない。ロシアは、欧州との対立を和らげて追加制裁に晒されないようにするためのウクライナ情勢の安定化を必要としており、反テロ作戦が今後も失敗を重ねる場合に現実味を帯びてくるウクライナ国家全体の速やかな崩壊もしくはクーデターを望んではおらず、より緩やかで予測可能で比較的安全な河床へのプロセスの移行を現在の行動の指針としている。
ウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナの連邦化の支持者であったし今もそうありつづけているが、ウクライナ当局は、成立しなかった自身の国家プロジェクトのより効率的な構造へのフォーマット換えを頑なに拒んでおり、連邦化の見通しは、日を追ってますます不透明になりつつある。緩衝国家「ノヴォロシア」の創設という「プランB」は、こうした状況のなかで実現されうる。
コメルサント紙は、EU筋の話としてこう伝えている。EUは、早くも9月30日に、対露制裁見直しのプロセスに着手する可能性がある。欧州理事会のヘルマン・ファン・ロンパイ議長は、最近の一括制裁の導入後、ミンスク合意の実現いかんにかかわらずEUは部分的もしくは完全に制裁を変更するか停止するか撤廃する可能性がある、と声明した。まさに9月30日に、EUの外交部局は、停戦体制をはじめとするミンスク和平プランの実行を総合的に検証することになっており、この報告に接した後に、対露制裁をどうするかが決定されるが、ロシアにとって最良のシナリオは、制限措置の一部の段階的な撤廃であろう。EUは、3月17日から9回にわたりロシアに対する一括制裁を実施し、これまでに119の個人および23の法人が制裁の対象となり、ロシアのエネルギーや金融や国防といった部門に制限措置が導入された。事実上どのラウンドも制裁の一部はクリミアに起因するものだったが、ドンバスにおける紛争の解決に際してもそれらの措置が効力を有している。制裁撤廃の手続きが始まれば、ロシアによる対抗措置もかなり速やかに撤廃されうる。
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